目を覚ませ僕らのCORONAはMEXICOじゃなくなっているぞ!5

(スーパーヒューアンサムライサイバースクワッド、もう少し続けるぞ!)

⚡ S u p e r h u m a n   S a m u r a i ⚡

21世紀のインターネットに現れた新しいハイパーエージェント、グリッドベイン。彼に変身したのは30年前にキロ・カーンと協力してメタウイルスモンスターによる人類支配を目論んでいたマルコム・フリンクであった!騎士をモチーフしたグリッドマンと違ってカラーリングは黒と紫で、アーマーはジャパニーズサムライを意識した意匠が入っているが、作者は外見描写で何度も挫折したのでこれ以上詳しく書かない。黒と紫に塗ったグリッドマンをイメージすれば大体合ってる。

『フッ、毎回のことだが、この姿になると全能感が溢れて堪らぬな!』

モノモーフで最高にかっこよくなった自分の体を眺めながら、グリッドベインは感嘆めいて言った。口調まで若干かわっている。耳元にARC-CANEアーケインの声が届く。

『ナルシシズムに浸っている場合ではありません。人の命がかかわっていますよ』
『急かすなかれ、有能なる我がプログラムよ。今の私は極めて全能』

パチっと、グリッドベインは指を鳴らした。すると空間にバドワイザー福建工場サーバーに繋がるトンネルが開いた。

『こういう芸当は造作もないのだ。トォーッ!』

グリッドベインは穴に飛び込み、最高級のインターネット回線のおかげで僅か0.3秒でバドワイザーでバドワイザーのサーバーの上空へ侵入できた。ちょうどバドワイボットがダイナドラゴンにとどめを刺そうとするところだった。

『全能ゆえに登場のタイミングまでばっちり!ハハッ!』

グリッドベインは自賛しながらスカイダイビングでバドワイボットに向かう。右腕に装着しているベータ・インターセプターからピンク色のエネルギー刃を生成。真っ直ぐ伸びるグリッドライトセイバーに対し、グリッドベインのエネルギー刃は反りがついた刀身とタントーポイントの尖端でよりカタナっぽく演出する。その名もーー

『ベインブシドーブレェェェドッ!』

ベインブシドーフレードを前に突き出しながら身体を一直線に伸ばし、空気抵抗を最小限に抑える。重力加速度に相まって、グリッドベインは空対地ミサイルのごとく急降下してバドワイボットに襲い掛かる!SSLAAAASH!熱したナイフでバターに突き立てるように、エネルギー刃がいとも容易くバドワイボットの装甲を貫通した。ちなみにベインブシドーフレードはグリッドライトセイバーと同じ熱で対象物を焼き切るタイプの武装であり形をカタナに似せたところで威力に影響はない。あくまでマルコムの趣味だ。

バコン!バゴン!バドワイボット体内の燃料ビールが高熱の刃に触れて瞬時に蒸発し、機体が膨大の圧力に耐えきれず膨張して破裂!バドワイボットは泡と蒸気を噴きながら倒れた。あたりに麦汁とホップの香りが漂う。

『フッ、特殊能力を持たぬ、指令を遂行するだけセキュリティプログラム、電子生物のメタウイルスモンスターと比べて美しさが足りん』

ベインブシドーフレードを引っ込ませ、グリットベインは背後に振り向いた。ダイナドラゴンのコクピットの中で訝しげな顔で見上げているサムと目が合った。

「グリッドマン......あんた、グリッドマンだよな......?」

気持ちを抑えきれず、サムは声が震ていた。

「どこに行ってたんだよグリッドマンッ!?僕は......僕はこの30年間、きみのこと、ずっと……!」
『テイッ!』
「ぎゃあああああ!?」

返事する代わりにグリッドベインが突如にダイナドラゴンを蹴り上げる!飛んでいく先に、トンネルが開いてあった。

「うげっ」

正面から床にぶつかり、サムは少し悶えた。やがて痛みが許容範囲内に収まり、身体を起こして見回る。

COSTCOでしか見たことかいどデカいテレビ、座り心地よさそうなどデカい黒革のソファ、黒い石材のローテーブル、黒い木材の床、壁に難解な漢字を書かれた掛け軸が飾られている。どうやらリビングルームのようだ。明るすぎず暗すぎず絶妙に調整した照明が一体感を生み出す、よくデザインされた空間であることが伺える。部屋の一面がガラス張りになっており、外に星空のごとく煌めく都市夜景が広がる。

「なんだ、ここは?」
『それについては私がお答えしましょう』
『うわっ!?だれっ!?』
『驚かせて申し訳ありません。私は邸宅の管理を任されている人工知能のARCーCANEと申します。文字列は特に意味がありませんので深く考えなくていいでです。アーケインと呼んでください』
「そうか、つまりAlexaみたいなものか?」
『あの音楽を流すぐらいしか能のないポンコツと一緒にするとは心外ですね。私はこうして自我が確立しており人間あふれた会話も可能、そしていつかは宇宙の真理を知り尽くして万物の頂点に立つ存在となります』
「しれっとすごいこと言ってるけど」
『AIジョークです、あまり気にしないでください。AHAHAHA』
「ははぁ……」
『では先ほどの質問にお答えします。私たちの現在位置はアメリカ合衆国ワシントン州シアトル市のフリンクビルに中です』
「シアトル!!めちゃくちゃ遠い所じゃねえか! ん?待ってよ、今フリンクビルって言った?そのフリンクってのはまさか……」
「そのまさかだ。サム・コリンズ」

黒シャツと黒パンツ、シックな格好に着かえた家主は入室した。サムは顔をしかめた。数十年も会っていないが、その人をイラつかせる傲慢な口調、サムの知人の中にひとりしかいない。

「マルコム・フリンク……!」
「随分と落ちぶれたな。その無様な姿を見れただけで貴重なトレーニング時間を割いた分の元がとれたと言えよう」

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(スーパーヒューアンサムライサイバースクワッド、次回でつい最終回だぞ!多分!)




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