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俺は真の男になるためにガスパチョを作るしかなかった

最近はガスパチョが流行っている。これが原因。

俺は真の男になるのが夢だ。ガスパチョを作らないという選択肢は俺にはない。断じて創作が捗らず、安易に流行りネタに走ってで閲覧数を稼ぎたいわけではけっしてない。

こちらが食材だ。にんにくと玉ねぎを写真に入れ忘れた。こいつらはこれから木端微塵に粉砕されることになる。

皮を剥いたトマト。

粉砕!うぇ……トマトくせぇ……

剥いたキュウリだ。

粉砕!おぇぇ……青臭ぇ……

今更だけど、俺はキュウリが苦手で、トマトが大苦手だ。大人になるに連れて子供の頃嫌いな食べ物をたくさん克服してきたけど、トマトだけは未だに生で食べられない。なのにトマトベースのスープを作ってしまう。そんなに閲覧数がほしいのか。

パブリカ、たまねぎ、にんにくを次々粉砕し、ボウルに入れる。逆噴射総一朗の記事はオリーブオイルを大量に入れろと。大量ね、どれぐらいだろ。恐る恐るオリーブオイルを注いでいく。うん、十分だろ。瓶の1/3が減った。あとは塩、胡椒、ライム、ハーブを順次に入れる。オレガノ単品で売られていないのでイタリアンミックスハーブなるもので代用。一応オルガノが入ってる。

混ぜて味を馴染ませる中で、俺は一抹の不安を覚えた。こんな野菜を砕けて、熱も通さないものが本当にスープと言えるだろうが?ペーストやスムージーと何が違うんだ?人間は火で使って食べ物を加熱することで様々な微生物と菌から身を守れて、やがて地球生態系の頂点に登り詰めたんだ。今更生マモノ同然のガスバチョなんて、いささか野蛮では?うん?野蛮……?あっ。

真の男の映画、コナン・ザ・グレート。英語タイトルはCONAN THE BARBARIAN。BARBARIAN、すなわち蛮族。コナンは蛮族であり、真の男。コナンならば食べ物が生だろうが生焼けだろうが人を殺したばかりで血まみれているだろうと構わず手掴みで食べるはずだ。つまり、ガスパチョ同然のガスパチョを食べれるかどうかは、真の男であるかどうかたらしめる分水嶺とも言える……ってこと!?

だとしたらますます食べなければならない。五分ぐらい混ぜ続けたのでもういいだろう。

トマトの主張が強いな、大丈夫かな、心配だな。あとは一晩寝かせてチョーうまくなるまで待つだけ。ここで問題。一晩とは、一体どれぐらいの時間なのか?日没から翌日の日登までなのか?就寝から起床までの間なのか?俺の印象が正しいければ、逆噴射総一郎氏はGTAやレッドデッドリデンプションなどROCKSTARのゲームが好きだ。昔のROCKSTARゲーム、例えばGTASAでは、マップ上のフロッピーアイコンに触れてセーブを行うと、ゲーム内の時間が自動に6時間進行する、これをCJがセーブの間に6時間寝ていただと考えると、逆噴射総一郎氏の言う一晩はおよそ6時間だと俺が推測する。今の時刻は午前11時ちょうど、つまり今日のディナータイムが食べ頃ってわけだ。楽しみだなー。

今は時刻18時30分。一晩ほどの時間が経過した。オリーブオイルが表面に浮かんだためか照りが増している。

炭水化物と一緒に食べると逆噴射総一郎氏が言った。細いパスタを茹でた。いよいよ実食。はて、ずずず……

ワオ……FRESHYYY……

舌に触れた途端に爽やかな香りが口一杯に広がる。これが本当にトマトときゅうりのペーストなのかと疑うほどフルーティーだ。青臭さとえぐみがほとんど感じない。パブリカのわずかの苦味、玉ねぎの辛さが薬味としていい働きしている。そしてライムだ。ライムが生野菜のえぐみを誤魔化してくれた。でも逆に言うとライムの主張が強すぎて他の食材が目立てなくなったとも言えるか。俺にとってこれがいい。これだったら野菜が嫌いな子供でも喜んで食べれるんじゃないか?熱々のスパゲッティとギンギンに冷えたガスパチョが混ざり合ってちょうどいい温度になって食べやすい。ずずず……あっという間にずずず……完食だぜ。旨かった。

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