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婦人科医のシズ先生:シリアナマンドラゴラぶっこ抜き!

「あの、ちょっと聞きたいことがあるんですが」
「はい、なんでしょう?」
「私は便秘に悩まされて胃腸科に予約を取ったけど」
「はい」
「しかしここ、婦人科医ですよね?」
「はい」
「なんで私がここにいるんです?」

 手術台に寝かされ、拘束具でM字開脚されたいる男性の質問した。

「便秘ではないからですよロイスさん」シズはラバーグローブをはめた手でゲルを摘んだ。「ちょっと冷たくなりますねー」
「ウッ」

 婦人科で、女性医者に下腹部をゲルで塗りたくられているルイスは冷たさより恥ずかしさのほうが堪えて、下の唇を噛み締めた。

「では中を見てみましょう」

 プローブを持ち替え、ゲルを塗ったところに当てる。これはまた違う冷たさがあった。

「ふーむふーむ、なるほどね」プローブと繋がったモニター映し出す超音波画像を興味深そうに見ていた。手術台のルイスも頭を起こしてモニターを見たが、医療に関して素人の彼がわかるはずがなかった。

「あの、何が見とれましたか?」
「あ、そうですね。では説明します。まずはここ、貴方の肛門です」

 シズはレントゲン写真の下、骨盆腔の真ん中を指した。

「少し上のところ……ここ、なんか見えますか?」
「えっと……あっ、なんかニンジンっぽいのが」
「それが原因です。マンドラゴラですね」
「ま、マンドラゴラ!?抜いたら叫び声をあげて、それを聞いてしまった生物が死ぬ、あのマンドラゴラがですか!?」
「正式名称はシリアナマンドラゴラ草っていいましてね」

シリアナマンドラゴラ草。ナス科マンドラゴラ属の一年生草本植物。特殊な生態を持つマンドラゴラの仲間の中でも更に特殊な生態に進化を遂げた。
シリアナマンドラゴラは肥沃な土壌が好んで、野生動物が豊富な土地に生息している。外見は道端で見れるオオバコと似ていて見分けが難しい。マンドラゴラは一般的に、自己防衛するために叫び声をあげて捕食者を殺すが、シリアナマンドラゴラはその逆手を取る。
野生のシリアナマンドラゴラの近くに動物が便を落とすと、シリアナマンドラゴラがそれに反応し、膨圧を変化させ、土から飛び出てアスホールに入り込りこむ。

「そして動物の直腸に寄生して、宿主のプープを養分に成長するのです。宿主になった動物は一切の排便をしなくなります」
「うわぁ……」
「稀だけど人間に寄生するケースもあります。最近は野外でお尻を露出したことがありますか?」
「先月キャンプに行った時、野糞を……」
「たぶんその時シリアナマンドラゴラに尻穴ファックされましたね」
「ファックって。でも便秘ではないとわかりましたし、排便しなくなったぐらいなら、むしろアドバンテージだと思わなくもないですが……」
「ノーノーノー。そういう考えこそがシリアナマンドラゴラの戦略です。シリアナマンドラゴラは成長につれて必要の栄養量が増えて、宿主のプープじゃ足りなくなります。シリアナより多くの養分を求めて、宿主の体内に根を張ります。となるともはや対処しようがなく、宿主は内臓がシリアナマンドラゴラに蹂躪されて長く苦しんだ末に、搾りカスになってしまい絶命します」
「そ、そんな恐ろしいことが!?」
「なので今すぐここで中絶処置をお勧めします。どうしますか?」
「お願いします!どうか腹ん中のマンドラゴラを中絶してください!」
「わかりました。では手術同意書にサインお願いします」

 ロイスは躊躇もなくシズが出した書類にサインした。

「あら、内容を読まないのですね。もしそれがロイスさんのお口を他人の肛門に縫い合わせてムカデ人間にするの同意書でしたら……ふふっ、冗談です」

 驚きでボールペンが手から滑り落ちるロイスを見て、シズは心底愉快そうに目を細めた。

「ではさっそく始めましょう。手術にゆついて簡単に説明しますけど、まずはこの鋼鉄アヒルちゃんとで肛門を広げます。くぁくぁ」

 シズは鋼鉄アヒルのくちばし、もといクスコをパカパカと開閉した。

「それから私が頑張ってシリアナマンドラゴラを摘出します。わかりましたね?」
「あっはい……いやちょっと待ってください。もしシリアナマンドラゴラが抜かれた時にあげる叫び声はどうしますか?」
「よく聞きました。ジャックさん、ミュージックお願い」
「はい」

 呼びかけに応じて、シズの助手ジャックがスマホを操作し、天井の四角にあるスピーカーとBluetoothで同期した。そして音楽アプリをタップした。

ズンクズンクズンクズンクズンクズンクトッターンッ! ズンクズンクズンクズンクズンクズンクトッターンッ! 

 メタリカのFraticのイントロが爆音で流れる!重低音で部屋全体が震える!

「この通りぃぃぃ!!!!」

 シズも音楽と負けない声量で叫んだ!

「メタルを聞かせるとぉぉ!!シリアナマンドラゴラのぉぉぉ!!覚醒を抑えて大人しくなるでぇすぅぅぅ!!メタルはまだ癌に効かないけどマンドラゴラには効きますねぇぇぇぇぇ!!!!」
「う、うるさぁぁい!!なんも聞こえないよぉぉぉ!!!」
「じゃあいきますよぉぉぉ!!!ケツの穴リラックスしてねぇぇぇ!!!」
「おぉうふ!!?」

 クスコをロイスの肛門に挿入!広げる!

「まぁぁ!きれいな形ねぇ!これじゃすぐ抜けるよぉぉぉ!!!」

 ハサミを入れて、挟んで、引く!安らかに眠っている顔の形がついた茶色の芋やニンジンに似た根菜がロイスの肛門から引きずり出された。

「出ぇましたよぉぉ!!ロイスさん見てくださいぃぃ!!眠った子犬みたいおとなしいですよぉぉぉ!!!」
「鼓膜がはれつしそうだよ!」
「ではぁ!とどめぇッ!」

 シズはシリアナマンドラゴラの口のよりちょっと下の場所にメスで切断した。シリアナマンドラゴラはジェイムズ・ヘットフィールドの野太い歌声に包まれる中、苦痛もなく絶命した。

 手術が完了と認めると、シズはサムズアップして合図を送り、ジャックに音楽を止めさせた。

「お疲れ様です。お陰様で手術が大順調ですよ」
「はぁ……はぁ……み、耳鳴りが……すこし吐き気も」

 大音量のメタルに晒されたロイスは息も絶え絶えの様子だ。

「もうちょっと寝ていて休んでください。腸が正常の働きに戻るまで数日かかりますので一応軟便剤出しておきますね。それと」

 キーボードを叩く手を止め、ロイスに顔を向けた。

「シリアナマンドラゴラは結構おいしい野菜です。持ち帰って、家族で一緒に召し上がってはいかがですか?」

(おわり)

追記:あとでロイスは人間ムカデの件で病院にクレームを入れて、シズ先生は一回注意を受けました。言っていい冗談と悪い冗談があるものです。

 シズ先生の軌跡を追いましょう。


 

 


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