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ふたりはPre-cure外伝:プリキュア ムービー観たぜ!(ネタバレもあるぜ!)

Pre-cure! ふたりはPre-cure! 
未然を防ぎ、ハッピーなフューチャー
ふたりはPre-cure!
サミー・ザ・サイコロジスト、未来を覗き、現世のマジション(Pre-cure!)
クレイトン、マスター・オフ・マーシャルアーツ、舐めたやつは痛い目に遭うぞ(Pre-cure!)
Pre-cure! Two guys are Pre-cure(Pre-cure!)
Pre-cure! Two guys are Pre-cure(Pre-cure!)

 いい映画だった。

 周囲が明くなり、人が退場している中で、おれは座ったまま、カメラ野郎のこと思い返した。

 虚無、か。いい思い出がないからって、わるいことではないと思うが。

 俺は捨て子だった。物心がづいた頃すでにカトリックの教養院にいた。親の事が何一つ覚えていない。シスターたちの教えに従い、規律正しく育ったおれは七歳の時、小学項に入った初日が、赤毛と世間知らずのせいでブーリーに遭ったが、教えに従い、そいつを赦せと神に祈った。そして次に日もブーリーされた。神はおれに何も言わなかった。

 屈辱の日々に耐えられなくなり、卒業後、おれは募兵所へ逃げた。これまで全ての人間関係を切り捨て、ゼロから人生をやり直したいと、銃を撃ちたかったからだ。

 兵士の生活は学校以上に厳しいが、充実していた。成績優秀だったおれは長官の推薦でレンジャーの入隊試験を受け、華々しく世界最強部隊の一員になったが……中東アジア派遣の際、作戦中に、テロリストと見なされた男を、おれが撃ち殺したあと、その懐に怯えている幼いな姉弟がいることに気づいた。その男の子供らしい。

 孤児だったおれが、孤児を作ってしまった。苦い記憶が蘇る。頼れる人間がいない、この子たちはおれ以上のひどい目に合うだろう。そんな思いをさせたくない。

 だからおれは、二人の子供に銃を向けた。

 あの時は隣にいた同寮に阻止され、のちの報告では“アメリカ軍人として不適切な精神的欠陥”で除隊されたおれは、酒に溺れながら、バウンサーなどやって世界各地転々して、沖縄のバーで活動家と揉めることになってり、四対一でボコボコされるところ、サミーが助太刀してくれた。まあ、あし震えながら両手で警棒を構える姿はひどくダサかったが、おれにとって、彼はヒーローだった。

クレイトン。アメリカ人。戦闘術の達人。Pre-cureの戦闘要員兼軍師。好きなプリキュアはキュアショコラ。

 そいえばヒーローどうなってんだ?俺は立ち上がり、最前列に向かった。彼は映画館の来る際は「他人の頭に邪魔されたくない」と言っていつも最前列の席を取る。

「サミー、そろそろ……ってまたか?」

「アァ……ァ……なぎ……ほの……」

 サミーは目が開いたまま椅子にもだれて、うめき声発している。尊さ過剰摂取による恍惚状態だ。おれは対人用ミラクルライトーーすなわちテイザー銃を取り出し、威力を弱めに設定し、彼の手首に当てた。BAZZ!

「アッー!?ジーザスクライストッ!!!」

 電撃を食らったサミーは跳ねて、立ち上がった。

「おはよう、キュアホワイトさん。いい思い出はできたかな?」

「僕はキュアホワイトじゃない」

サミー。未来を幻視できる超能力者と自称する中年白人男性。初代プリキュアが大好き。Pre-cureの創始者。

「すまない、僕がまたしても醜態を晒して、きみを失望させただろ……」

「映画の余韻に浸るぐらいで誰でもあるだろ」

「クレイトン、きみは僕を甘やかしすぎた。Pre-cureをやる以上、僕は強くならなきゃいけないんだよ」

「OK、相棒。ではこの後のPre-cureで、お手並み拝見しようではないか」

「……そうだな。この映画の開場は横浜であった。僕らは桜木町のモール中にある映画館でプリキュアを観た。そして僕が見たヴィジョンでは、彼は桜木町で電車を降り、中華街で襲われた……ダブルシンクロニティ……これはきっと運命の導き、大いなる意思がそうさせたのに違いない……」サミーはシャーマンめいて呟くと、決断的目でおれを見つめた。「やるぞ、クレイトン。より良き未来のために、必ず今回のPre-cureに成功させないといけない」

「そうこなくっちゃな」

Pre-cure:すなわち「予防」「治療」の意味である。サミーのヴィジョンを基づき、二人の白人男性が要キュア者の元に駆け付け、不幸な未来から通さけるように説得、あるいは用心棒として雇ってもらうこと。

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