マガジンのカバー画像

灰汁詰めのナヴォー

196
小説っぽいなにかがあります
運営しているクリエイター

#炒飯神太郎

炊飯天尊比羅夫2

炊飯天尊比羅夫2

「DUMB BRO CALL! DUMB BRO CALL!DUMBでも大事なおれのBRO!」

川を降りるイカダの上で炒飯神太郎が即興のリリックを刻んでいました。上機嫌の様子です。

「DUMB BRO CALL! 無茶するBRO!腕の中おれのBROがGETTING COLD!仇を討つぞ今夜のおれは途轍もなくBRUTAL!Yeahッ」

どうやらギャングの紛争で亡くなったBROを弔う内容だそうで

もっとみる

炊飯天尊比羅夫

アジア中部某所、比羅夫の寺院は今日、ただならぬ気配が漂っていました。

宝殿の中に、皮膚が熟したカイエンペッパーのように赤く、背中の筋肉が沸騰した麻辣スープのように漲っている女と、背中に太陽のごとく輝く金色の翼と顔に猛禽類めいたクチバシを備えた男が比羅夫の前に跪いていました。

「アシュラ族の勇士、毘漓。師尊の召喚に応じて参上いたしました」
「ガルダ族の勇士、彌迩。師尊様にお仕え申し上げます」

もっとみる
炊飯仙人炊翁⑥

炊飯仙人炊翁⑥

炊飯粒子に生成に必要なカロリーを補給すべく厨房に戻った炊翁の目前、絶望的な風景が広がっていました。

炊き込みご飯が入った鍋に代り、食卓の上に一皿のチャーハンが乗っており、4人の少年少女が食卓に座っていました。

「これはっ」

炊翁の猛禽類に匹敵する視力でチャーハンを分析。確認てきたのはキノコ、タケノコ、ニンジン、そして香ばしいゴマ油のにおい。ベジタリアンも安心で食べれるベジ・チャーハンです。炊

もっとみる
炊飯仙人炊翁⑤

炊飯仙人炊翁⑤

煙幕じみた高密度炊飯粒子に包まれるなかで、全てが光より速い速度で始まり、終わりました。

屠韋汰天狗は頭部が地面に衝突し脳震盪を起こして失神、チャー・レギオンたちは手か足が折られ、関節を外され、一瞬にして無力化されましたが、が死者はひとり出ませんでした。たとえ敵対者でも極力に命を奪わない、炊飯仙人炊翁炊飯のモットーです。

しかしそんな慈悲深い彼でも、やるときはやります。炊翁は殺意に燃えている眼差

もっとみる
炊飯仙人炊翁 ④

炊飯仙人炊翁 ④

「はぁ……はぁ……クソッ」

炊翁の掌打を受けて倒れていた犬たちが体を起こしました。

「やっぱきついわ……お前ら大丈夫か?」
「……何とか」
「ガルルル……」
「おい、シバは返事してねえぞ!?」

シバとは棍棒犬のことでした。頭を強打を受けた彼は痙攣して、口から白い泡が出ています。

「様子がやべぇぞ!」
「くぅーん」
「はよチャーハンボールを食わせろっ!」

犬の一人が団子状に丸めたチャーハン

もっとみる
炊飯仙人炊翁 ③

炊飯仙人炊翁 ③

[炒飯軍団、ACTIVATE]

炊翁の小屋周囲の林の中、チャーネットに通じて炒飯神太郎を指令を受信し、炒飯軍団の男女老若が一斉に立ち上りました。ある者は素手、ある者は棍棒、斧、鉈など得物を手に持っていいます。彼らは陸上選手のような完璧なフォルムの走り出します、主である炒飯神太郎の元へ。

「……何が起きている?」

不穏な雰囲気に気づき、炊翁は警戒を強めます。

「さぁて、私はちょっと見物としよ

もっとみる

炒飯神太郎⑧

「炒飯神バンザイ!バンザイ!」
「「「バンザイ!バンザイ!」」」
「チャーハンこそ最高の米料理!」
「「「チャーハン最高!チャーハン最高!」」」

村中に響き渡るチャーハン礼賛!教祖のように祭り上げられる炒飯神太郎!新興宗教的熱狂!

「おーおー、なんか面白いことが起こってんじゃーん」

その様子を1300メートルの上空から覗く者がいました。

「チャーハンで精神支配だぁ?料理バトル漫画かよ」

もっとみる

炒飯神太郎の日常 山編

「ども!天然プロテインハンターのおじいさんです!今日もいつものように山にやってまいりました!今日はどんなピュアプロテインを見つけられるかな?」
「おじいさん、また想像の中でしか存在しない人と話しているんです?」
「おっと!いきなりゲストが勝手に入ってきました!では改めて紹介しましょう。Youtube初公開、つい最近息子になった炒飯神太郎くんです!イェーイ!」
「なんですかYoutubeって?出かけ

もっとみる

炒飯神太郎⑦

「よく聞け犬ども。人手が要る。できれば名簿に載っていない、死んでも誰も探さない惜しまない、政府に目をつけれられない使い捨てに向いた人間がいい」
「ならいい場所知っています!」
「ご案内しましょう!」
「ワンワンワンワンワン!」
「すぐに行きませんか?行きましょう!」

🐶

ここはサルベージ村。村と言ってもそれほど規模がなく。藁の小屋とテントが数個並んでいる野営地の規模。流民、札付き、不倫バレ、

もっとみる

炒飯神太郎⑥

9世紀の日本がとても危険な場所です。平安の治世の最中というものの、文明がまた行きわたっいてない場所が多く、町から離れると、そこは野蛮の世界。追い剝ぎ、盗賊、サイコパス犯罪者、肉食獣、そして人ならざる物は常に旅人を狙っています。

おばあさんとおじいさんと別れを告げてから2時間後。炒飯神太郎は包囲されていました。

「よぉ赤い膚の兄ちゃん。大きい弁当2つ持ってどこへ急いでんだい?ウーバーイーツなのか

もっとみる

炒飯神太郎⑤

炒飯神太郎の成長速度は仔犬並に早く、たったの一年間で身長178cm体重69kgの細マッチョ青年になりました。そしていよいよ旅立ちの日が来ました。

「御爺様、御婆様。短い間ですが、お世話になりました。このご恩は一生忘れません」
「いいんだよ。こっちこそ、お米たくさん頂けて有難いぐらいだ」

とおばあさんは言った。炒飯神太郎と暮らしていたこの一年は澱粉の摂取が増えて、彼女の体重は10キロ増えました。

もっとみる