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灰汁詰めのナヴォー

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2021年12月の記事一覧

お肉仮VS.ビヨンドミート仮面

お肉仮VS.ビヨンドミート仮面

お肉仮面が監禁されてから3日が経った。顔に付けているサーロインステーキは熟成しすぎて黒ずんでいる。

プラスチック複合材の天井、タイル張りの壁と床、換気扇がついた窓。4歩あるけるくらいの広さ、洗面台と便器以外に家具らしいものがない。監獄の独房、あるいはどこか廃家のトイレか。壁に嵌まった頑丈な金属ドアが唯一の出入り口だ。

3日前、お肉仮面は親友の電楽とすたみな太郎高崎店で楽しい時間を過ごしていた。

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炒飯神太郎⑥

9世紀の日本がとても危険な場所です。平安の治世の最中というものの、文明がまた行きわたっいてない場所が多く、町から離れると、そこは野蛮の世界。追い剝ぎ、盗賊、サイコパス犯罪者、肉食獣、そして人ならざる物は常に旅人を狙っています。

おばあさんとおじいさんと別れを告げてから2時間後。炒飯神太郎は包囲されていました。

「よぉ赤い膚の兄ちゃん。大きい弁当2つ持ってどこへ急いでんだい?ウーバーイーツなのか

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三位一体は天津炒飯なのか? #パルプアドベントカレンダー2021

三位一体は天津炒飯なのか? #パルプアドベントカレンダー2021

ピッピッピッ、ズゴオオオ……ガキャン!ガキャン!ズサァァァァ……ガキャン、ズサァ、ガキャン、ズサァ!ジャァァァ……パタン!ジャァァァ……パタン!カキャン!ズキャキャキャ......

12月23日、夜9時32分、クリスマスイブのイブ。洋食店”CONQUER”の厨房からランチタイムで大忙しい中華料理屋のじみた調理音が響いた。

厨房の中に男が三人いた。一人の若い男が中華鍋を振って大量の米炒めている。

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炒飯神太郎⑤

炒飯神太郎の成長速度は仔犬並に早く、たったの一年間で身長178cm体重69kgの細マッチョ青年になりました。そしていよいよ旅立ちの日が来ました。

「御爺様、御婆様。短い間ですが、お世話になりました。このご恩は一生忘れません」
「いいんだよ。こっちこそ、お米たくさん頂けて有難いぐらいだ」

とおばあさんは言った。炒飯神太郎と暮らしていたこの一年は澱粉の摂取が増えて、彼女の体重は10キロ増えました。

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