見出し画像

個人ゲーム開発記:「 #春と修羅 (仮)」前編

ピクセルアートで展開する2Dアドベンチャーゲーム「春と修羅(仮)」の開発記録です。パブリッシャーさんを探す都合で情報解禁日までにストアページが用意できず、ユーザーが調べてもなんも情報が出てこない状態になるのを避けるためこちらに開発記録を残しておきます。

2020年4月半ば:同僚に勧められて開発開始

私が昔、作りかけてたゲーム(仮名で「HG」とします)がどんなだったか、規模などを同僚から聞かれて「大体こんな感じ」と説明したところ「そのゲームをリメイクするのはどう?」と言われました。HGは同僚自作のエディタで作りかけていたため、新たに作り直すならシステム面で協力してもらわざるを得ず、そんなこと同僚自身が一番わかっているはずなので(勧めてくれたってことは協力してくれるということなのでは……?)とポジティブに捉え、全貌を共有するためざっくり企画書を用意しました。

スクリーンショット 2020-06-01 2.17.54

スクリーンショット 2020-06-01 2.18.08

スクリーンショット 2020-06-01 2.18.28

企画書の一部 今見直すとこの仕様の半分も残ってませんね……

これをみた同僚「今あるシステムを無理に利用しなくてもいいよ」、私はいつもプログラマの負担を考えて仕様を制限する癖があり、納期的にはいいことなんでしょうが、その遠慮ぐせは面白いゲームを作るという点では枷になるのを長い付き合いで同僚は知ってくれており、つまり「遠慮するなや」ということで、ここまで言ってもらえて全力で作らないと失礼というものです!!

ところでこの頃、私はDQビルダーズ2のシドーにどハマりしていて、2次創作をガシガシPixivに投稿しており、自作品以外のものを描くのが気楽で楽しくて、毎日のように「あーシドー描きてえ」と呟いていたところ、同僚が「じゃあシドーをゲームにすればいいんじゃない?」と言ってくれたことで「そんな手があったか!」とテンションがブチ上がりました。もちろんシドーをそのままゲームに出すわけではなく、シドーの「何が良かったか」、DQビルダーズ2を遊んでて「何が楽しかったか」の「何」を自作ゲームに詰め込んでみるというものです。

4月10日がファンの間では「シドーの日」と呼ばれており、私もその日イラストを投稿するために2次絵を頑張って仕上げてたので、本格的に「春と修羅」(この頃の仮名は「cdo」でした)の制作を始めたのは4月半ばからでした。

2020年4月下旬:怒涛のスケジュールと進捗

プロジェクトがまだ「HG」だった頃、大体一ヶ月くらいで作るのを目標にしてたよ〜という話をしてしまったので「春と修羅」もそのくらいで一旦完成させたい、と無茶な予定を立てました。

スクリーンショット 2020-06-01 2.28.07

BitSummitが予定に入っているのは、別のゲームを出展予定で同時進行のため

いつも通り、プロットを書かず「いきなりスクリプトを書きながらシナリオを書く」無謀な方法で作りつつ、キャラのアニメーションは私ようわからんので、同僚に依頼をかけます。これが4月20日過ぎ。

画像5

画像6

200421キャラ

同僚は頭身が低いキャラの方が得意と思いますが無視してオーダーします

背景のマップチップも私が描く空気になってきた(試しに作ったものが描き込みすぎていて、他との整合性を同僚にとってもらうのが難しくなった)ので、背景の色を中間色で統一し、キャラは白黒のみにすることで、彩度で背景色にとりまぎれてしまう可能性を下げることにしました。

画像10

開発途中の画面 エラーがガンガン出ます

この頃ちょうど自粛期間で、事務所へは最低限の日だけ同僚と入れ替わりで出勤しており、思うように進められないこともあったのですが、環境ごときに負けたと言い訳をしたくなくて、同時進行で別ゲームも追い込み時期のため壮絶な日々でしたが自分のスケジュールを一切緩めず守り、なんとかやりきりました。

画像12

ざっくり描き込んで実装したマップチップ

2020年5月GW :ゲームの大枠がエンディングまで完成

背景やデザインは最低限で置いといて、フラグやキャラが出揃い、文字数も大まかに把握できて一旦エンディングまで完成し、物語や台詞まわし、どういうことをやろうとしているかだけ同僚に遊んで確認してもらいました。「まだ途中です」「プロトタイプです」と説明しても、なぜか「ここができてない」「この確認はとったのか」と指摘してくる開発者たまにいますけど、同僚はそういうこともなくて見せやすいです。

ここからはラフで残っている部分の作業をつめていきます。ビジュアルでは上げてもらったキャラ絵に、生意気にも直しを入れます。さらに4月末時点でお願いできていなかったキャラ指定を追加。

画像8

画像9

この頃、下記イベントで紹介する個人開発ゲームを公募しているというお知らせを見かけ、広報がてら送ってみる計画を立てました。

販促の手段に乏しい今回のような個人開発にはうってつけのありがたい企画です。募集要項には特に条件とか書いていないので、ティザー映像を作り始めました。締め切りは5月末。しかし……、

2020年5月中旬〜末:ティザーが要らなくなったんや

Indie LIVE Expoに間に合わせるため、一旦ゲーム全体、大枠の制作を止めて、販促用素材のためにビジュアルを整理します。

私は絵コンテを作らずいきなり映像を作るあかんやつで、今回もその方法で進めていました。とりあえず映像に必要なところだけマップチップを突貫で用意しタイミングを合わせるため仮音をあて強引に作ります。

藤城清治さんの表現が結構好きなのでリスペクトをもってオマージュした色味なのですが、時期的に非常にセンシティブになってしまったかもしれない

ティザー音楽も、私の音感は半音ズレていることが多くコード進行すらわからんのですが作るしかありません。動画の尺優先で、秒数で割りやすいBPMにして長さも合わせます。

画像11

ニャニャニャじゃねえよ

ところが5月30日、ティザー映像が3テイク目に入って後もう一息というところで、同僚がIndie LIVE Expoの応募要項が改めて細かく決められていることを教えてくれました。私が先週見たときには特に規約はなかったのに……と愚痴っても仕方ない、ちゃんと先方に確認しなかった私が悪いのですが、とにかくティザーが必要ないというか応募対象にならないと分かって、さすがに落ち込みました。

1日充分落ち込んで、でも考えてみれば音楽など揃える懸念が減ったということなので、気を取り直してスクショなどを揃え直し応募しておきました。

画像14

画像14

2020年6月1日:久しぶりにめっちゃ休んだ

BitSummitの準備とIndie LIVE Expoへの提出も一段落したので1日休みにして、昼寝したりゴミのようだった部屋を片付けたりしました。多分まともに休んだのは1ヶ月ぶりくらい。手とか腰が割と痛んできたので、この隙に回復します。

2020年6月2〜5日:気を取り直し販促用素材を揃え直す

冒頭で書いたとおり、情報解禁した瞬間に他に検索のしようがないとユーザーに覚えてもらったり見つけてもらいにくいので、6月6日をめどとして公表してよい情報を整理し、同僚にも公開できるものの準備を依頼しておきます。

6月6日は土曜日であり、twitterのハッシュタグ「#screenshotsaturday」が使いやすいのと、先述のIndie LIVE Expo放送日でもあります。放送でどの程度採用されるかはわかりませんが、それまでにnoteの本記事、プレスキットなども準備します。あと使わなかったティザーも完成させておきたいので翻訳依頼をかけました。

ティザーごとき翻訳しなくてもいいと思ってたんですけど、pixivでDQビルダーズ2のめちゃくちゃ素敵な漫画を見つけたものの中国語で、「漢字やしわかるかな」と思ったら全くそんなことはなく、(文字が画像なので翻訳にかけにくい)切ない思いをしたので、最低限英語であるって必要なんだと思いました

この間、Indie LIVE Expo主催側から「短くなるかもしれないけど紹介します」というメールが届きました。

2020年6月6日:情報解禁日です

2Dアドベンチャーゲーム「春と修羅」は2020年11月発売予定です。予価は500円〜700円、プレイ時間は2時間程度の短いもので、夏くらいには発売したいんですが、もう言うてる間なんで秋発売ということに一旦してます。またこちらや公式twitterにて開発進捗について書いていきます。

2020年9月追記:Steamページへのリンク

PCゲームやらんわ〜という方も覗いてもらえるだけで励みになります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?