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ゲーム制作記:ADV「私は猫になりたい」前編

アドベンチャーゲーム「私は猫になりたい」略称「わた猫」の制作記です。日記というほど毎日ログを取っておらず、ある程度できてから振り返っているので内容はあやふやです。

なおこの記録だけ読むと、こんな短期間でゲーム完成するんだと思われるかも知れませんが、すでにベースとなるゲーム、絵・背景・効果音などの素材、vbaを使ってスクリプトを書き出せるシステムなどが揃っている状態であり、スタッフが二人共エディタを使い慣れていて(3年以上触っています)、かつ私は独り暮らしであり実質無職で、週休1日、起きている時間の多くをゲーム制作に充てているので、このペースで進められています。

2019年6月末ごろ:作業開始(素材集め)

製作中のアドベンチャーゲーム「P」が、ボリュームが大きいことと、同年3月に行ったテストプレイでボロカスに言われ心が折れてしまったため、リハビリも兼ねてミニマムなゲームを作り始めました。もともと「P」のスピンオフとして出す予定だったミニゲームを前倒しして出すことに決めます。タイトルは「私は貝になりたい」のオマージュで「私は猫になりたい」。

「P」で制作済みの素材を流用しながらゲームを動かしてみて、足りない素材を集め始めます。キャラクターの立ち絵のうち、新規のにわとりと猫をざっくり描いてテストしつつ手を加えます。CLIP STUDIOをメインで使用します。

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↑にわとりbefore(上) after(下) フリー写真を丸トレスしている

2019年7月初旬:素材整理、テキストを書きはじめる

「P」のデータを流用するので、使わない画像や音楽を取捨しながら、新しい背景を作って追加します。photoshopをメインで使用しています。

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↑いうても外注するお金ないので、写真を加工して使っています

ざっくりテキストを書き始める。googleドキュメントをメインで使用して自宅でも気軽に作業できるようにします。

音楽は、割と最近流行りの感じと管弦楽っぽいのの二択(フリー素材)で悩んで管弦楽っぽい方に決め、同じ作者さんの同トーンの曲を数日かけ探しまくる作業。数百曲聴かなければならないんだけど、途中でやめちゃうとどこまで聴いたかわからなくなるため、こういう作業は一気に進めます。

↑これフリー素材(※cc4.0)なんだぜ……いい時代……

2019年7月8日:テキストをゲームに落とし込み始める

自分の制作ペースがよく分かっていませんでしたが、こんな感じです。単純計算でゲーム内日数7日程度のものを作ろうとすると、丸々7日かかる計算です。「わた猫」は軽めの話で分岐も少ないので、もっとボリュームや分岐があるゲームを作ろうとすると、半年分のゲームでも1年くらいみとかないとあかんということですね。ここにさらに、「バグが出て作業が止まる」「素材を探す」などが入ってくるので「他のゲーム制作と並行して進めても完成は9月ごろ」と目処が立ちます。

2019年7月10日:α版ほぼ完成

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ゲームをタイトル〜最後まで遊べる状態(いわゆるα版)まで完成させられる目処がついたので、バイトさんに出勤お願いのメールをしました。

2019年7月14日:バイトさんに初作業依頼

バイトさんに出勤(Skypeによる在宅作業)してもらい、「申し上げにくいのですが『P』の制作が途中にもかかわらず、心のリハビリのため短いゲームを作ってリリースしたいです」と説明。本音は別にあって、うちにはバイトさんが2人おり、2人目のバイトさんに作ってもらっているゲームが短期間で頒布できそうなんだけど、1人目のバイトさんのほうが長く勤めてくれているのに、スタッフロールに載って名前が世に出るのが1人目のバイトさんが後発になるのがなんとなく申し訳なかった、いう理由もあります。

todoリストをgoogleスプレッドシートで共有してさくさく進めてもらう。

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↑todoリスト。緑色の部分はタイムスタンプで作業時間の目安にしています

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↑Skypeは基本チャット、はい/いいえで済まない質問は通話します

現行のエディタでは、文章スキップなどの停止ができないなど割と致命的な問題があるため、エディタ制作元に相談することに決めました。この時はパブリッシャーさんへの持ち込みを考えていたため、エディタ制作元に9月末を目処に現行バージョンで発生している不具合(上述のスキップが解除できない件に加え、効果音のフェードインができない等)を直して欲しいと伝えると、最新バージョンへのアップデートをして欲しいと頼まれたため了承。

α版→β版になるよう手を加えていく。テキストを修正しつつ追加。ただこの頃、エディタ使用時に強制終了されることが多く困っていました。

2019年7月15日:さらに素材を追加

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2019年7月16日:細かい指摘を受け疲れる

見せる相手によるんだけどゲームの途中経過を共有した人から、共有の本来の目的とは全然違うことについて色々突っ込まれて説明するのに疲れた。以前のテストプレイでも同等のことが起こってたのでつらい。この現象、知り合いではない人限定で発生するのが謎です。普通、顔見知りだから思ったことを言いやすいって状態になるんだと思うけど逆なのか? いわゆる匿名性に似た何かなんでしょうか。何度か書いていますが、スタッフでもなくお客さんではない(お客さんになる可能性も低い)人から、内部事情に関わることまで口出しされるのは気分のいいものではありません。

2019年7月19日:謎のバグの原因を探る

この日までにエディタ制作元とやりとりをして、とある不具合はこちらの作りに起因するものだと指摘を受けましたが、私が直せる箇所ではなかったため再びバイトさんに出勤を依頼。

2019年7月20日:あかんやつでした

再びバイトさんに出勤をお願いして、追加修正を依頼。この日までにエディタ制作元から修正されたバージョンの更新データをもらっていたためバージョンアップを行ないましたが、さらに新しい不具合が発生してしまい、指摘されていた「こちらのミスによる、とあるバグ」もバイトさんが色々やってくれたものの解決せず……ここだけで2人分×数時間の作業。

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↑オレンジ丸の列は作業目安や実際かかった時間。バグが解決せず3時間以上経過

原因がわからないため、再度DLしたばかりのエディタで色々試したところ類似のバグが発生しました。こちらに原因があるはずなのに同等のバグだったため、制作元に再度相談。すると特に説明はなく「直りました!」みたいな感じで新しい更新データが送られてきました……。

うちに原因があると指摘された点は結局何だったのだろう? そのために私とバイトさんが費やした数時間は何だったのだろう? ゲーム制作において、行き違いや不具合が発生するのは仕方ないのですが、せめて一言「こうでした」と説明が欲しかった。有料前提でお願いした案件でこれではこの先もお付き合いするのは無理だ……と判断、完成時期と正しく動作することを最優先として、バージョンアップを諦め正しく動くバージョンまでダウングレードすることを検討。最終的には先方へお金は払ったけどアップグレードを諦めました。

また、対応PCのスペックは低めでも動くよう色々な容量を削り続けていたのですが、バージョンアップするとどんどん動きがカクカクになっていくことも不安だったので、この機会に対応スペックを見直し、新しいPCの購入を考え始めます。

2019年7月27日:テストプレイの準備開始(動作確認)

どうやら完成できそうなので、テストプレイしてくれそうな友人Aさんに連絡、PCとネット、また録画環境を確認してもらう。チェック用の代替データとして、すでに「ふりーむ!」にアップ済みのゲームデータ「オトガナラナイ」をDLして録画データを送ってもらう依頼。1〜2分遊んで動くことが確認できたらOK! と伝えていたけど、最後まで遊んでもらえて嬉しかったです。

↑撮ってもらった動画。後半に間があるのはアンケートに答えてくれているため

PCのスペックは足りていそうだけどAさん宅のネット環境がADSLで、10分程度の動画をアップするのに1時間以上かかってしまったとのことから「わた猫」テストのために古風ですがUSBを購入して郵送することにしました。

2019年8月12日:最初の外部テストプレイ

Aさんとは別に、やさしめの知り合いBさんが夏休みで連絡がつきやすかったため、β版のテストプレイをお願いしました。外部のテストプレイはこれが初めて。元データのゲーム「P」を知っているせいか思ったよりずっといい反応と考察までいただいて元気が出ました。

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2019年8月中旬:β版〜製品版の作業大詰め+おまけ実装

ゲームが完成に近づいてきて、本編の作業は落ち着き始めます。

この頃から何となく「わた猫」有料版と無料版と分けて配布するのはどうか、と考えて、有料版にはおまけとして短いエピソードみっつと、音楽プレイヤーの実装を検討。おまけ用に背景を2枚とイラストも1枚追加します。

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↑上がフリー素材の写真、下は自分で撮ったものを加工

音楽プレイヤーの実装が私だけではうまくいかないけど、無料版では必要ない機能なので、まだ先でいいかなとのんびり構えています。

この頃、9月中にふりーむ!さんで無料版を公開するのはどうかな、とふんわり考える。なので、その直前の土日どちらかにバイトさんに再度出勤をお願いして最終チェックをするといいかな……と判断。

並行して3Dゲームの開発も進めていたため、そこそこいいスペックのPC購入。お盆セールで安くなっていたのと、知り合いの社長さんやバイトさんがLenovoを使っててイメージがいいので決めました。DELLも開発者さんで使ってる人が多いイメージだけど「堅牢な作り」で重いタイプが多いため断念。

2019年8月22日:無料版大体完成

7月末にテストプレイ依頼の連絡をした友人Aさんに、ゲーム本体データと録画の説明を入れたUSBを郵送。先方はゲーム関係者でもなくアルバイトとしての依頼でもないので、余裕をもって土日を二回挟み、9月1日までにできそうなところまで、とお願いしました。有料版のおまけ機能である音楽プレイヤー以外は動いている状態なので、この日で一旦作業は終わり。ほぼ最初に立てた予定通り、約2ヶ月で無料版は完成。

完成までの時間をざっくり計算すると、大体300〜400時間前後かかっていると思われます(他のゲーム制作も並行していたためあやふやです。また「わた猫」以前に「P 」を制作していた年数は含めていません)。

時間的には、ゲーム本体を作る時間:その他の時間=1:3くらいのイメージです。その他とは、バグ対応、アップデート、エディタ制作元への問い合わせ、動作確認、新しいPCの購入検討、todoリストの整理、テストプレイの段取り、など言ってしまえば雑務です。絵を表示したり音楽を鳴らしたりという楽しげで生産性のある楽しい作業よりも、地味な雑務が圧倒的に多いです。

2019年8月23日:新しいPC届いた

新しいパソコンが届きデータを旧パソコンから引っ越してみたところ、特に問題なくすんなり動いたので感動しました。発色が綺麗で動きも軽快。前のパソコンでは、雨が降る演出が入っているとき音楽を鳴らしたり絵を表示すると雨が止まってしまったのですが、新パソコンではそんなこともありません。

低スペックのパソコンで動かなければ当然対象ユーザーも減るわけですが、自分が安心してゲーム作りを進められるという精神衛生上、諦めて良かったです。

2019年8月30日:noteに記録を始めた

ある程度完成の目処がたったので、振り返りつつこの記録を書き始めました。

2019年9月3日:テストプレイの動画到着

友人Aさんが遊んでくれたプレイ動画が届きました。一通りプレイの他に、セーブロードやコンフィグもチェックしてくれました。

一見問題はなさそうなんだけど、録画してくれた動画のうちひとつだけ雑音が入っていて気になるところ。大した問題ではなさそうに見えて、雑音が残る仕様では実況で遊んでもらえないのが確実になってしまうため、宣伝的には致命傷になる。原因を探って解決しておく必要があります。

2019年9月7日:無料版最終チェック

バイトさんに再度出勤をお願いし、残っている不具合を修正のお願いと、公開準備のため無料版と有料版に分ける作業を進めてもらいました。

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録画時の雑音はWindows側の設定に原因がある可能性あり。怪しいのはイヤホン接続状態かも? と予測。友人Aさんに心当たりがないか連絡してみます。

ここまでくればすぐにでも公開できそうだけど、他のゲームを完成させてから一気に公開するか、少しずつでもいいけど出していくか悩みます。ただ広報に関しては素人なので悩んでも仕方ない気もします。

2019年10月2日:本記事を公開

本記事を公開しました。

録画時の雑音原因は解明できませんでした。結果がランダムみたいなので外部的な影響かも。しゃあないのでこのまま行きます。

簡単なテストと校正に出す準備をしています。

※2020年1月:進捗を追記

中編として進捗を別記事に書きました。

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