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シャンクス、お前船降りろ ~ネットミームでしかONE PIECEを知らないオタクがONE PIECE FILM REDを見た~
・タイトル通りのnote。見て生まれた感想の言語化をするついでに共有できれば嬉しいな、という感じで書いており、いつも通り読ませるための校正等をしてないのでよろしく。
・ワンピースのことは麦わらの一味の基本的な情報と、ネットミームになってるシーンしか知らないんだけど、FILM REDを見てきた。
・友達に「マジで面白いから見ろ」と言われた上に、その場にいた1人にイオンシネマのチケットを貰ってしまったので、流石にそこまでされたら見るか……と思って映画館に行ってきた。
・「ウタ、大体間桐桜」「実質ONE PIECE [Heaven's Feel]だよ」という話を上記の友達、大学時代の後輩という2ヵ所から聞いたので、俄然興味がわいたというのもある。
・先に結論を言うと、1つの物語としてかなり面白かったし、映像作品としても完成度が高かった。
・以下、本題。ネタバレしかしてないので、万が一まだ見てない人がいたらご注意を。
・まず全体の総括として、3点挙げる。
「Adoの歌強すぎるし、それを前提とした演出も強すぎる」
「シャンクス、お前船降りろ ~ウタ、間桐桜にシロウ・コトミネとのエッセンスを足した感じだった~」
「ワンピースの映画ってこんなにオタクにフォーカス合わせてんの?」
・上から詳細に書いていこうと思う。
「Adoの歌強すぎるし、それを前提とした演出も強すぎる」
・開幕で主題歌をフルで流してきた時点で、「これAdoの歌の上手さを利用した演出モリモリ構成のやつだな……!!」となった。少年漫画の劇場版としては割と珍しい気がする。しかし、それを成立させてしまうAdoの歌唱力もやべぇな……って感じ。
・あの歌とメロディーを強い音圧で聞けるだけで、この映画を映画館で見る価値はあると思う。実際私は、冒頭部の歌と映像の時点でかなり引き込まれた。
・序盤の歌いながら海賊たちを捕縛するシーンは、歌の強さと作画の良さも相まって1つの映像作品として完成度が高く、かなりワクワクするものだった。ストーリー性のあるMVっぽさもちょっとあったな。
・ちゃんと予算かけるべきところにかけて作ってあるな……と思った。とても好印象。
・全編を通して歌の強さが活きた構成、歌の強さを活かす構成という感じだった。
「シャンクス、お前船降りろ ~ウタ、間桐桜にシロウ・コトミネのエッセンスを足した感じだった~」
・FILM REDと銘打った映画で、映画オリキャラがシャンクスの娘ということで、がっつりシャンクスが絡んでくるのかと思いきや、全然出てこなくてびっくりしちゃった。
・一緒に見に行った弟に「シャンクス最後のいいところしか出てこんかったな」って言ったら、「シャンクスいっつもそうだもんなぁ。頂上戦争の時もワノ国の時も、最後にちょろっと出てきていいところだけ持ってくから」って言ってて笑ってしまった。
・全編を通してウタの物語だったな、と。これ、シャンクスの活躍を期待して見に来た人は肩透かしくらうんじゃねーかな……。
・純粋だった少女が幼い頃に吐かれた優しい嘘に憑りつかれて育ち、歌を愛し歌を届けたかっただけの少女が救世主という過分な役割を求められ、押し付けられた救世主像に殉じようとした少女が押し付けてきた張本人たちに否定されるお話だった。
・引き返せなくなったラスボス系ヒロインという点では間桐桜味があったし、独自な価値観からの救済を行おうとしているという点ではシロウ・コトミネ味を感じたし、救世主という偶像を押し付けられたという点ではアンリマユ味も感じた。どうあれ、私のオタク感で読み解くと、間違いなく型月ヒロインの系譜だったね。
・求められたから行おうとしたのに、いざその時になって求めてきた人たちから否定されるけど、もう引き返せないところまで来ていて止まれないとそのまま進む物語、あまりにも私好み過ぎて最高だった。
・ウタの髪型を真似している女の子がウタに否定の言葉を投げかけたときとか、もう止まれないウタがガンギマった目で突き進み始めたときとか、最高すぎてニコニコしていた。エデン条約編の聖園ミカを見ている時とだいたい同じ感情。
・シャンクスではなく自分のせいでエレジアが滅んだと知っても、拠り所にしてきた感情をそう簡単に切り捨てることができるはずもなく、さらにその頃には救世主の役割を求め始められていた彼女が、今更生き方を修正することなどできるわけなかったんだよな。
・ウタはただ歌いたかった、ただ歌を聴いてほしかっただけの普通の少女で、そんな彼女を祭り上げて「救世主」を押し付けてしまった無責任な聴衆こそが最大の悪なんだろうな、と。
・人と関わることなく余りにも純粋に育ってしまったがゆえに、求められたロールを純粋に遂行してしまったんだろう。
・映画を見る前は、「髪の色半々なのヤバいな……」って感じであんまり良い印象を持ってなかったんだけど、今は作中の諸々によって、ウタのことをとても愛おしいと思っている。
・最後にちゃんとケジメとして事態に収拾を付けたところも非常に好感が持てる。彼女は加害者じゃなくて被害者だったのに。
・最後に父から愛されていることを再確認した彼女は、きっと幸せだったのだろうな。
・しかしまあ、シャンクスめっちゃ出番少なかったなぁ……。その上、カッコいいところ全部もっていったし。
「ワンピースの映画ってこんなにオタクにフォーカス合わせてんの?」
・ウタのキャラクター性、作中における役割と、それによるシナリオラインが、少年漫画の文脈よりもノベルゲーやラノベの文脈に寄っていると感じた。さらに、そんな少女を描くストーリーだったこともあり、「ジャンプ読者」よりも「オタク」が好きな物語だと感じた。
・そういう点もあって、「ワンピースの映画」を見に来た人よりも、私みたいな「1つのアニメ作品」を見に来た人の方が楽しめる作品だとも感じた。
・繰り返し流れる歌は作中におけるキャラクターの会話回数を減らすし、二時間弱を目いっぱい使ってウタを描き切る作品は、転じて既存キャラの描写は少ない作品となるし、視聴後に改めて振り返ってみても、やっぱりワンピース好きよりもオタクをターゲットにしてるなという感覚が強いな。
・どうあれ、私にとっては面白い作品だったので、その辺は究極どうでもいいのだが。
最後に、他に良かったところを数点挙げる。
・カタクリとブリュレが兄妹の中でも特に強い絆を持っているという情報は事前に仕入れていたので、ほんのワンシーンとはいえ、カタクリとウタウタの世界から目覚めていないブリュレを戦わせたところに制作者の性格の悪さを感じてニッコニコになった。
・ヤソップウソップ親子がそれぞれの世界で司令塔となって戦ってたところとかは、ベタにアツい展開で良かった。王道少年漫画のトロやね。
・藤虎、粋な武人という感じでとても好感の持てるキャラだった。
・と、まあ、備忘録的な感想noteでした。覚えてることは大体書いたので、こんなもんで。
・またなんか抱いた感想思い出したら追記するなりツイートするなりすると思います。
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