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『Discolord』を遊んだよ。

アップルアーケードに支払う600円の対価は、ゲームを買う前のドキドキから解放してただ膨大な量の〈ゲーム〉の前にユーザーを佇ませる空しさだ。もちろんその空しさは一方的なもので、本来であれば2000円かかるゲームをわずか600円で入手し遊ぶことができる上、それに飽きたらすぐ別のゲームに乗り換えることができる自由ともセットだ。

『Discolord』は色が失われた世界の中でR・G・Bの三色のクリスタルを取り戻しながら進むゲームだ。一人称視点で、最初は小さなエレベーターから始まる。VRギミックもあるが、あまり本筋には生されていない。

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ステージは1面のみ。ロードサイドにある小さなダイナー(道路沿いの定食屋)の謎を解き明かして、巨悪を感じさせる「眼」と対決するのだ。

美しい。たしかに灰色の世界は曖昧な美しさがある。退廃的な砂塵にまみれた茫漠たる風景の間に、ぽつねん、と草原の木銃のように屹立するダイナーはわくわくさせるシチュエーションに他ならない。

中にあるクリスタルを置く場所もしゃれている。鉢植え、水流、炎。ちょっとしたギミックや、一色、あるいは二色ずつ取り戻した色が全色そろう時の感動はたしかにある。

でもそれだけ。

最後に敵を倒す巨大な閃光にも、最後に帰ってまた旅だったどこかにも、わくわくさせられない。

それが、それが、何かに繋がっていかない。

シリアスゲームの概念を待つまでもなくゲームはシリアスなものだった。遊ぶことで何かを知った。遊んだことで時間を失った。アップルアーケードのゲームはそうではない。何も得られず、何も失われない。これは不思議な感覚だけど、僕はこの空しさに若干耐えられない。こうやってゲーム評を書いてしまうのも取り戻せない何かをもう一度取り戻したいからかもしれない。。

あ、Steamにもあります。ちょっとだけ遊びたくなったら、そちらでもいいかなと思う。


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