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禍福は糾える縄の如し…今週の『カムカムエヴリバディ』

3人のヒロイン(上白石萌音さん・深津絵里さん・川栄李奈さん)が織りなす、ラジオ英語講座と共に歩んだ家族100年の物語、朝ドラ『カムカムエヴリバディ』の第4週「1943-1945」。先週の「幸せの結末(仮)」から一転、安子(上白石さん)には過酷な運命が待っていました。

安子(上白石さん)と稔(松村北斗さん)との短い新婚生活が描かれた月曜日。稔の出征を見送った後、妊娠が判明。無事出産まで描かれる相変わらずの高速展開。稔が命名した「るい」に秘められた意図が切ない。

安子がるいを連れて里帰りした火曜日。温かな時間を過ごした安子でしたが、そこからまさかの後半の地獄。岡山大空襲で、祖母のひさ(鷲尾真知子さん)と母・小しず(西田尚美さん)が、防空壕内で焼死。金太(甲本雅裕さん)の慟哭に心揺さぶられました。容赦ない藤本有紀さん脚本。

金田が寝込んでしまった水曜日。玉音放送で終戦を迎え、荒れ果てた街にも賑わいが戻りつつありましたが、金田は塞ぎ込んだまま。しかし、安子が試行錯誤で作ったおはぎが、ついに金田の心を奮い立たせました(『ショーシャンクの空に』的)。連日、甲本さんがいい芝居するなあ。

『あさイチ』鈴木奈穂子アナの号泣朝ドラ受けが、トレンドを席巻した木曜日。金太が「たちばな」を復活させる姿が描かれた今回。出征していた算太(濱田岳さん)との再会という幻!?からの、まさかの金太ナレ死。いやはや、すごい脚本です。

勇(村上虹郎さん)が無事復員した金曜日。ナレーションで稔が帰ることはないとわかっていたけれど…。稔の戦死の知らせにその場では取り乱さず、いつもの神社に向かった安子。無音の中、「稔さん」の連呼が切ない。当時の多くの日本人が味わった深い悲しみが、リアルに伝わる演出。

先週の恋愛モードから一転、容赦なかった今週の藤本脚本。藤本さんと言えば、朝ドラは『ちりとてちん』から2回目。前回は視聴率は振るわなかったものの、圧倒的な面白さでDVDがやたらを売れまくったことでも知られています。

低迷していた朝ドラを復活させたきっかけは『ゲゲゲの女房』とする説がありますが、実は『ちりとてちん』がその先駆けという意見もあります。

また、映像が汚いなどと知事が非難し、視聴率も低迷した大河ドラマ『平清盛』も藤本作品。現在では傑作という評価が定説で、朝ドラにつながる「○○絵」の発祥もこの作品と言われています。

つまり、朝ドラも大河も、藤本作品が多大な影響を与えたというわけです。女性版宮藤官九郎といういい方は失礼ですが、それぐらい日本のドラマに大きな影響を与えた脚本家として、もっと評価されるべきだと思います。


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