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映画ノート

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気になる新作や思い出の映画についての覚え書きです。
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2021年3月の記事一覧

年度末ですが…日本映画3本

3月31日は「ミミにイチバン」の語呂合わせで「オーケストラの日」。例の感染症の影響で、苦境のオケですが、映画の中でも様々な危機と共に描かれてきました。そんな中からひとつだけ、『あまちゃん』でブレイク前夜の有村架純さん主演『リトル・マエストラ』(2013年)を挙げておきます。 過疎が進む港町にあるアマチュア・オーケストラの老指揮者・吉川が急死し、急きょ孫娘の女子高生・美咲(有村さん)が指揮を務めることに。だが、実は美咲にはある秘密があった…。 映画といえば、3月31日生まれ

子供も見ていた「ベトナム戦争」映画

狭義の「ベトナム戦争」は、1964年のトンキン湾事件以後の米国によるベトナムへの軍事介入を意味しますが、1973年1月のパリ和平協定を経て、3月29日に完全撤退しました(その後サイゴン陥落を経て、1976年に南北ベトナム統一)。 世界的なベトナム反戦運動の後、米国でも“敗戦”のショックが多少和らいでいく中で、1970年代~1980年を中心に「ベトナム戦争」を描いた映画が多数制作されるようになりました。残虐なシーンも多かったですが、子供も普通に見ていましたね。 まず挙げたい

かつては国民病…「結核」を描いた作品

3月24日は世界結核デー。細菌学者ロベルト・コッホが1882年に結核菌の発 見を発表した日にちなみます。結核は 労咳や肺病、死病、国民病とも呼ばれ、1950年以前には日本人の死因のトップで、患者数は年間60万人以上、死亡者数も10万人を超えていました。 現在でも、世界では毎年1千万人近い人々が発病。エイズ・マラリアと並ぶ「世界の3大感染症」の1つ。欧米の先進諸国と比べると、日本の患者数は高い水準で、決して“過去の病気”ではなく。実際、自分も仕事で排菌患者と、それとは知らずに

相撲映画『シコふんじゃった。』回想

大相撲春場所は4日目を終えて、白鵬&鶴竜の両横綱はいつものように休場。貴景勝・正代・朝乃山の3大関にも、全員土が付くという残念な序盤。ここは気晴らしに、相撲映画の傑作『シコふんじゃった。』(1992年)を振り返りましょう。 監督は『Shall we ダンス?』(1998年)の周防正行さん。多くの才能を輩出したピンク映画出身で、デビュー作の『変態家族 兄貴の嫁さん』(1984年)は、名匠・小津安二郎監督へのオマージュで、そのカメラワークを再現。『晩春』(1949年)の続編のつ