飛沫とオーブ

本日は2週間ぶりのライブの出番がありました。

持ってきたネタに関しては過去にやった事もある、合わせもしっかり済ませたネタだった事もあり、特に不安はありませんでした。

いざ本番、上手からマイク前に掛けつけ、元気に挨拶をします。
己の台詞を言いながら、お客さんの顔を見るくらいの余裕はありました。
「暖かい空気になってるし、今日は良い感じに終えられそう」と思いました。

漫才は順調に進み、そろそろネタの中盤に差し掛かりそうな頃、
台詞を叫ぶ相方の口から多めに唾が飛ぶ瞬間がありました。

僕は「今すげー唾飛んだ。」と思いました。

ネタ合わせの時は、声量も抑えていたし、マスクをつけながらやっていた事も多かったし、外で練習していたから周りも明るかった。
でも、今日は全力で声を張り上げていて、ノーマスクで、室内。

なんなら僕が見つめる相方の先は袖で、叫ぶ相方の背景は僕には黒一色で見えていた為、飛ぶ唾がまぁ映える。
もう飛んだ唾の輪郭がハッキリ見える。

僕は「なんか心霊映像とかで見た事あるなコレ。」と思いました。
夜の廃墟で画面左上を一瞬横切るオーブに似てました。

僕は「こいつオーブ飛ばしたな」と思いました。

そんな事を考えていたら、相方の台詞が終わり、僕の番が来ていました。


僕は飛沫と一緒にネタを飛ばしました。


結局、ギリギリの所で記憶が蘇ったおかげで大事故は回避し、なんとか最後までやり遂げる事は出来ました。
今一線で活躍する先輩芸人方々さえ、たまにネタが飛んでしまう事があるとはテレビやラジオで耳にした事がありますが、こういう事なんだと思いました。

予想外の情報が脳に入ると、人は台詞を飛ばす様に出来ているのだと思います。

もう解散しましたが、次に僕がコンビを組んだ時は、出番前にしっかりと今日は唾をとばしそうかを質問する事にします。


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