読書をしない読書感想文 2020年1月

読書感想文が苦手だ。

どちらかというと本はよく読む方である。と思っている。言うのはタダなのでどうかそう言わせてほしい。
しかし、なんとなく読み進めてしまっているなぁと感じる。
面白かった箇所にラインを引くとか、メモをしながら読むとか、そういう努力をすべきということは重々承知している。しかし現状、文章で立ち止まるのは、わかりにくい概念を整理するときや、難しい熟語・ヨコモジを調べるときくらいだ。クライアントとのスケジュールをリスケしてフィックス。かっこいいね、ヨコモジ。

本の魅力のひとつは、動画のようにスキップができないところだ。文脈の繋がりが美しい物語を生む。一文を見逃したばかりにストーリーが一気にちんぷんかんぷんに、なんてこともザラにある。
サムネイルがあるわけではないので、おもしろい部分だけをかいつまむことができない。おもしろい!早く最後まで読みたい!と思ったら、一気に読み進めてしまうしかない。そのせいで、本を読むときはいつも駆け足になり、本を閉じて「ふぅ、おもしろかった」と一息つく。

そんな読書の仕方を続けているので、深い考察をしている人が輝いて見える。ちりばめられた作者の意図をひとつひとつ丁寧に拾い上げ、登場人物の揺れ動く心情を効果的に表す技法に気づいている。すごすぎる。私が「おもしろかった~」と無邪気にニコニコしている間に、である。同じ本を読んでいるはずなのに、受け取り方が全く違う。
かっこよく読書感想文を書けるようになりたい。



以前、おもしろい会に参加した。

本の感想を交換し合わない読書会。
本屋さんに集合し、普段行かないフロアにバラバラと散らばって、なんとなく気になった本を購入する。
そのあとで、なぜその本を選んだか?をみんなで発表し合うというものだった。
これがとてもおもしろかった。
なんとなく選んでいた本を、まじまじと見つめる。

なぜこれを選んだの?
今の自分はなにを知りたいと思っているの?
この本を読むことで、どうなりたいと思っているの?

今の自分、なりたい自分を映し出す鏡のような役割を、「選書」は担っていたのだ。


というわけで、1月に買った・借りた本とその理由を書いていきたい。
(買った順番はばらばらです)



・引き抜き屋 鹿子小穂の冒険/鹿子小穂の帰還(雫井 脩介)
叔父さんからお正月、「これを読んで、のんちゃんを思い出したよ~」と勧められて購入。
母の妹の旦那さんであるところの叔父さんとは、一切血がつながっていない。非常におもしろい人だが、その引き出しの数だけ謎も多い。業界人で、プロデューサーだった当時、本当にプロデューサー巻きをしていて笑ってしまった。地元すすきのの飲み屋で非常に顔が広く、豪快な人だ。人生で初めてタクシーチケットをもらったのはこの叔父さんである。
この人が一体普段どんなこと考えているのか、どんなものを面白いと感じ、私にはどういう印象を持っているのかを知りたいと思った。
本を進められたり、貸してもらうことで、自分と相手との関係性を知ることができるのがおもしろい。そういう理由でここ最近、人から勧められた本は、必ず買うようにしている。


・ザ・ゴール コミック版 1・2(エリヤフ・ゴールドラット)
上司から薦められて購入。私の上司は、いつも面白い本を薦めてくれる。
薦め方も、「いい本だから」ではなく、「ぜひあなたに読んでほしい」と。
面白い本・学びになる本を薦めてくれる人は本当に尊敬してしまう。人に薦められるというのは、たくさんの本を読み、それを自分の中で蓄積して、しかるべきときに引き出しから取り出すことができるということだ。私はまだまだ自分の中に、人におすすめできるほどの蓄積がされていない。自分が面白いなと思うから読む、それだけだ。その本を読んだときに誰かの顔が思い浮かぶような、また誰かと話しているときにおすすめの本が思い浮かぶような人になりたい。


・太閤記 上・下(司馬遼太郎)
父親から贈られた。
年末に、突然司馬遼太郎を読んでみたくなり、『燃えよ剣』『竜馬がゆく』を読んだ。物語としても史実としても、めちゃめちゃ面白かった。丹念に調査されている。司馬遼太郎の魂のようなものがひしひしと感じられ、夢中になって読んだ。古くても、面白いものは色あせない。
父親にその話をしたところ、実家に帰ったらさっそく『太閤記』をプレゼントされた。
父親は非常に温和で、感動屋で、本の虫である。多くを語ることはしないけれども、節目には必ず本を贈ってくれる。送られた本から、父が伝えたいメッセージを読み取るのだった。
今回の司馬遼太郎に関しては、単純だけれどもコミュニケーションにおいて非常に大事な”面白いと思ったものを一緒に共有したい”という気持ちを受け取った。


・愛なき世界(三浦しをん)
近所のスーパー銭湯にて。他にもおもしろそうな本が置いてあったが、お風呂上りで読むには三浦しをんさんの優しい文章が一番いいと思って選択。
お風呂上りでふやふやのすっぴんのまま、半分まで読み進めた。
東大の生物学研究室の院生の女性と、その向かいにある洋食屋の青年との恋を描いた物語である。
会社に、元東大の生物学研修室で博士課程を出た女性がいたというのも興味をもった理由のひとつだ。
その方にこの小説を伝えたところ、すぐに読んでくれて、今まで知らなかった東大情報を教えてもらった。


・わたしが正義について語るなら(やなせたかし)
リノベーションに参加したBOOK MANSIONで購入。オーナーの中西さんに新年のご挨拶をしに行ったときに。
ちょうど、お正月に『メモの魔力(前田裕二)』を読んでいた。自己啓発系の本はおもしろいが、読むのに体力を使う。そこで、やなせたかしさんに癒しを求めていたのかもしれない。また、哲学対話にしばらく参加していなかったので、「正義」という、答えがないテーマについての誰かの考え方を受け止めたかった。

他にもいくつかあるけれど、いったんここまで。
また書きます。

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