自主企画 ミャンマーレストランインタビュー🐥

この記事の主旨

 2022年3月9日、東京都曙橋のミャンマー料理店の店主さんに取材しました。「在留外国人」内部の多様性に触れるとても新鮮なお話を伺ったため、他にも関心のある方にシェアしようと思い記事にしました。


インタビュアー紹介

前川あまな: 修士2年で、在日外国人労働者について研究中(2022年4月現在)。地元の江戸川区では子どもの頃からインド人コミュニティの様子を何となく見ており、エスニックコミュニティに興味がある。ミャンマーに行ったことはないものの、高田馬場近辺にミャンマー人が集住していてエスニックストアが展開されていると知り、関心を持った。


モモさんの来歴

 今回インタビューに応じてくださったモモさんは、ミャンマー東北部に位置するシャン州出身のミャンマー人。ミャンマーレストラン「ゴールデンバガン」を営むかたわら、在日ミャンマー人の支援も行っている。初めてお店を訪ねた私にもとても気さくに話してくださった。

お店の外観
ミャンマーの地図、都市の位置関係(ラーショーはモモさんの出身地)

 ヤンゴン大学数学科を卒業。もともと日本に興味があったため、大学院では日本語を専攻し、修了後はミャンマーで日本人向けの旅行ガイドの仕事をしていた。1999年に来日してからは都内専門学校を卒業し、貿易会社やIT企業で働いた。その傍ら、在日ミャンマー人を助けるボランティア活動をずっと続けている。

 2015年から家族でゴールデンバガンを経営している。お店を始めたきっかけは、「日本とミャンマーの架け橋になりたくて」。コロナ前はビジネスマンや省庁関係者の往来も多く、ミャンマーに進出したい日系企業へのアドバイザリーもしていた。

 2015年には明治大学で政治経済学を修めた。日々勉強を続けており、取材をしていて思考の柔軟さとバイタリティを感じた。


モモさんの在日ミャンマー人支援活動

 個人で幅広く人助けをしている。日本語とミャンマー語の両方に精通していることから、ミャンマー人の通訳をすることが多い。例えば病院などに付き添うこともあれば、職場で困っている人に労働組合の支援を取りつけることもある。近隣地区の区役所からは定期的に広報文の翻訳依頼がくるそうだ。

 母国にいるミャンマー人の若者の支援もしている。シャン族の国際的なネットワークがあり、留学に行きたい学生へのアドバイスを日本から発信している。


ミャンマー人コミュニティの実態と変遷

 ミャンマーは多民族国家であり、日本にいる人たちは出身も滞在目的も多種多様だ。ビルマ族だけでなく、モモさんの出自であるシャン族、さらにチン族、カチン族なども生活しているという。宗教もそれぞれ異なる。ミャンマーといえば仏教国のイメージだが、カチン族やチン族はクリスチャンが多く、日曜日には多くの人が礼拝に訪れる。

 知り合いのつてを頼って来日する人が多いのがミャンマー人の特徴だそうだ。コミュニティは高田馬場など、山手線沿線に集中している。今は留学生やITなどの高度人材として来日するミャンマー人が増え、昔よりも日本語を話せる人が多い。しかし助けを必要としている人は依然多くいる。


日本にいるミャンマー人への思い

 今ではミャンマーよりも日本で暮らした時間の方が長いというモモさん。「日本人かミャンマー人か関係なく、私はみんな『人間』と思っている」と朗らかに話した。これまで献身的なボランティア活動をしてきたが、それは自身がボランティア好きで、目の前の対等な人間を助けたいためだという。


お店の紹介

 シャン料理を中心に多種多様なミャンマー料理が食べられる。私の予想に反し、ミャンマー人の来店は少ないそうだ。日本人の来店が多く、ミャンマーに滞在経験のある人もここに立ち寄って懐かしい味を楽しめるとのこと。

内装

 店舗はモモさん夫婦と親交の深い知人から譲り受けた。もともと天ぷら屋だったため、カウンターやお座敷にはその名残がある。


シャン料理の紹介、再現

 ミャンマーの民族多様性や山海の恵みは、バラエティーに富む食文化にも反映される。

 ビルマ料理は油たっぷりのおかずとお米を食べることが多いが、シャン州では納豆や発酵食品をよく使うそう。発酵食品はバラエティー豊かで、高菜、らっきょう、タケノコ、酸味のあるソーセージなどが食べられるという。(行ってみたい…!)

ゴールデンバガンで注文したメニュー

 写真右上のスープは発酵タケノコと豚肉と煮込んだもので、生唐辛子やニンニクの薬味も加えるとあっさりしていてとてもおいしかった。左上のひよこ豆チャーハンはゴールデンバガンのオリジナルメニュー。根が出たひよこ豆を使っていて独特な触感と甘みが楽しめた。

 発根ヒヨコマメとシャンのタケノコスープは自宅でも再現してみた。発酵食品など自力で調理するのが難しい食材もあったため完全再現はできなかったものの、高田馬場周辺にはミャンマー食品を取り扱うお店が多数あるとのこと。また新たなお店を訪れてリトライしたい。

自宅で作ってみた

(文責: 前川 あまな)


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