ナラティブとならてぃぶの幕間

ナラティブとならてぃぶの幕間

TRPGにおけるならてぃぶとナラティブについての話題である。

「ならてぃぶ」と「ナラティブ」については以前に書いている。
https://note.com/akshigi/n/na81ae0c96f77
を参照するとよい。

幕間という概念

ナラティブではシーン中にPLが語るが、ならてぃぶではどうなのか、そのポイントを考えていると幕間(ルールによっていろんな言い方がある)が浮かんだ。

この幕間というのは、シーン(場面などほかの言い方もある)とシーンの間である。

幕間とナラティブの関係

個人的な主観では、ナラティブではシーンの中で展開を考えるのに対して、ならてぃぶではシーンの前に展開を考えるのである。

つまり、ここでPLが語ることで状況が変わるようにしようではなく、次のシーンで物語をどう動かして行きたいのかをシーンが始まる前に共有するのである。
その結果、別のシーンを挟むこともあるし、予定とは異なる内容のシーンを行うこともあるだろう。
当然ながら、ここで打ち合わせ通りに行かないということも考えられる。

PL1「次のシーンではPCたちが交流するシーンをしよう、お茶会なんてどうかな?
PL2「それじゃあ、私のPCはお茶を淹れるのが得意だからお茶を淹れるよ」
PL1「それじゃあこっちはお菓子を用意しよう」
GM「楽しそうなシーンだね。それを採用しよう」

という流れから、

GM「それじゃあ、それぞれうまくいったか判定してみよう」
PL2「あ、お茶を淹れるのに失敗した!」
PL1「こっちもお菓子を用意できなかった!」
GM「これじゃあお茶会はできないね」

ということもあり得るのである。
これはほのぼのとした例だが、盗賊を捕らえる場面や一騎打ちの場面、重要な何かを手に入れる場面など、真面目な場面で予想と異なる展開が起きることもあり得るし、その展開が物語にも大きな変化を与えることもある。
また、こうして参加者全員で次のシーンについて相談することで、思わぬアイデアが浮かぶこともあるだろう。

GM「次は洞窟の前にいるゴブリンをどうにかするシーンだね」
PL1「普通に倒せる相手だね」
PL2「でも、できれば遠くから見つからないように仕留めたいな」
PL2「弓で倒せないかな?」
GM「いいね、それじゃあゴブリンを狙撃するところからはじめて、駄目だった場合は突撃することにしよう」

というようなことも可能である。
これは誰でも考えるような例だが、そう簡単に思わぬ例など出てこないのである。

物語を大きく変えるものとしては、

GM「次のシーンは領主に会いに行く場面だよ」
PL1「領主に会いに行く前に証拠の裏付けをしたいな」
GM(このままだと領主の隠しごとがばれるけど、それはそれで面白そうだな)
GM「それじゃあ宿の主人が、もう隠居した飾り職人のおじいさんがその手の話に詳しいと教えてくれるから、そのおじいさんに会いに行くことにしよう」

という話をシーンの前にすることで物語の展開が変わってくる。
なお、これはシーンの中で、

PC1「領主に会う前に証拠の裏付けをしたいな、宿の主人に聞いてみよう」
GM(宿の主人)「ああ、それならもう隠居した飾り職人のじいさんがいるんだが、そいつが詳しかったはずだ」
PC1「なるほど、さっそく会いに行ってみよう」

とすると、いわゆるナラティブ的な流れになる。

つまり、幕間で行っていることをシーンの中で行うとナラティブ的な形になる。

ナラティブでは幕間をしないのかと言うとそんなことはないし、今のTRPGが幕間を重視しているかと言われれば必ずしもそうではない。
ただ、ならてぃぶとナラティブについて考えるとそんなことを思った。

「ならてぃぶ」は、海外からの「ナラティブ」を中心とする流れが前提にあり、国内にも別の形、もしくは類似の形で発展した同じ目的のものがあったとして再発見しているが、その前提は「ナラティブTRPG」というものを大きく持ち上げることに対して、「ナラティブ」は日本でも独自の進化をして存在しているというものなのである。

日本で独自進化した「ナラティブ」を楽しむプレイスタイルこそが「ならてぃぶ」なのである。
これは「ナラティブ」に含まれることはあるが、「ナラティブTRPG」には含まれないことがある。

なお、拙作の「リッチキングKU-KAI」はこの幕間を意識した作品として作成している。
遊ぶときには幕間を意識するとよい。

Booth(リッチキングKU-KAI)
https://dreameres-shigi.booth.pm/items/5351278

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