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あなたの違和感はなんですか?

小学生の頃から新幹線によく乗っていた
姉と二人で、名古屋駅から新横浜
車内販売のバニラアイスクリームが大好きで、
大事にゆっくり 溶けていった周りから食べる
そんなことをしているとあっという間に着いてしまう
東京の叔母と一緒にディズニーランドへ行くのだ
お気に入りはダンボの回る乗り物
甘いチュロスもすぐそこだ

それでも 祖父母の影響で水戸黄門を浴びて育った私は
新幹線の窓から 飛ぶように流れる景色を一コマ一コマ追いかけながら
(そのせいもあるのか すぐに乗り物酔いをする)
確実になにかを失っていると感じ続けていた

何軒の茶店を飛ばしてしまったのだろう(うっかり八兵衛風)
どんな日常が送られているところなんだろう
この日ここでしか見られなかった景色が絶対にあったのに


もやもやは毎日の暮らしの中でも それはもう盛りだくさんで

どうして蛇口をひねっただけで水が出るのか
スイッチをパチっとするだけで明るくなるのはなんでだ
電気っていったいなんなんだ
うんこが目の前から消えるのはなんでだ
どうして水に流すのだろうか
だれがどうやって分解しているのだろうか

意味がわからなかった
もはや便利よりも
どんどん どんどん
もやもやの方が大きくなっていく

そんな中で 3.11 は起きた

もう嫌だ

こんな不安を基盤にした脆弱な便利なんて
もう沢山だチキショウ!!!

と思いつつ、勉強に専念することでそのことは頭の隅に追いやった
頑張れば普通に暮らしていけるんだ
頑張れば適応できるはずなんだ

しかし社会人になり、
もやもやと共に私を襲ったのは強い喪失感だった

看護師として働いていた
ものすごく忙しい毎日
忙しすぎて食事を疎かにする、自分の健康は後回しな生活
先輩ともうまくいかない職場はストレスの塊だった
病気の人のために働いて、自分が病気になっていく
本末転倒だった

なにかが違う
もう違和感を無視することはできなかった
頑張って普通に働いていれば 社会に適応できるようになると思っていた
家族にも友達にもわかってもらえなかった
こんなことは感じることがおかしいらしかった


看護師を辞めることは私にとって大きなチャレンジだった
社会的地位を 役割を失う
自分にとてもがっかりしたし
家族にもがっかりされることが なによりも辛かった
病院側もなかなか辞めさせてくれない
苦しいと叫んでも誰にも届かない毎日


お金でしか生きていけないことに強い不安を抱き
消費者として消費しかしない生活に疲弊した
時短で得た時間で私たちは何を得たのか
情報だけ沢山もっていて、実際に自分ができることなんて
これっぽっちもない
主食さえ、どうやって作るのかもわからない
憤りすら感じていた

もやもや
喪失感
憤り

だれにも理由は理解してもらえなかったが
やっとわたしは看護師を辞めることができた

看護師を辞めるだけでなにかが解決したわけではない
ただ、やっと向き合い始めることができただけだ
この3つの感情と一緒に 社会の表舞台から降りてしまった気分だった

情けなかったが、仕方がなかった
もう心身ともに疲弊していた

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昔から抱いていた違和感を無視しなかったこと
自分の感受性を守り続けたこと
そのことでとても苦しんだが、無視し続けていたら今頃どうなっていたか分からない

違和感やもやもやは 大切な人生の道しるべだと思う
大切に、誰とも共有できなくたって そこを歩いていけば
必ずわかってくれる人に出会える


世界はとても広い




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