イノベーションの教科書




第1章 ジョブ・マッピングでイノベーションを見出す

注目すべきは、顧客の声ではなく、顧客がその製品を使ってやり遂げたいと思っている動作や処理などの「ジョブ」の過程であり、それを要素還元して、細かいステップに分けて考え、どこで何が必要とされているのか、現状では何が足りないのかをチェックしていくことで、イノベーションのチャンスを見つけることができる。


「ジョブ・マップ」を作成する

・ジョブョブを処理するうえで必要なものを「定義する」

・必要となるインプットを特定し、「配置する」

・コンポーネントと物理的環境を「準備する」

・すべての用意が整ったことを「確認する」

・そのジョブを「実行する」

・結果と環境を「監視する」

・不具合を「修正する」

・ジョブを「完了する」


第2章 イノベーション・カタリスト

カタリスト

→イノベーションを触発し、社内改革を推進するマネージャ


アイデアを実践に移す
プレゼンテーションより「実験」を重視する
イノベーションを起こし企業文化を改革する


第3章 大文字のイノベーションも必要である

小文字で始まるイノベーション(innovation)
「改善」、つまり「継続的プロセス改善」。
小規模な漸進的改良を施すことで、大きな変容が導ける。
という発想

「リスク・マトリックス」「RWWスクリーニング」で取り組む 「大文字のイノベーション」も必要>


自社のプロジェクトをリスク・マトリックス上に並べて正しく評価し、リスクの度合いやプロジェクトの偏りやバランスを判断し、そのうえで、RWWスクリーニングによって、個々のプロジェクトを進める際に何が問題になっているのかを分析する。


RWWスクリーニング

・現実的か
①その市場は現実的といえるか。
-その製品へのニーズや欲求が存在するか。
-顧客はその製品を購入できるか。
-潜在市場はそれなりの規模か。
-顧客はその製品を買うだろうか。
②その製品は現実的といえるか。
-製品コンセプトは具体的か。
-その製品を本当につくれるのか。
-その製品は市場を満足させられるか。

・勝てるか
③その製品に競争力はあるか。
-その製品は競争力を持ちうるか。
-現在の競争優位を維持しうるか。
-ライバルはどのように対応するか。
④自社に競争力はあるか。
-他社にはない経営資源を持っているか。
-プロジェクト・マネジメントに長けているか。
-ターゲット市場を理解し、対応できるか。

・やるだけの価値があるか?
⑤その製品は、許容できるリスクに見合った利益を上げられるか。
-コストが利益予測を上回るか。
-リスクは許容範囲内か。
⑥その製品を発売することに、戦略上の意味があるか。
-製品は全社的名成長戦略に貢献するものか。
-トップ・マネジメントは支持しているか。


第4章 製品開発をめぐる6つの誤解

製品開発と製造は根本から異なる
〔誤解〕1 経営資源の稼働率を上げれば成果が上がる
〔誤解〕2 バッチサイズを大きくすると費用対効果が向上する
〔誤解〕3 我々のプランには問題はない、このままやり通そう
〔誤解〕4 プロジェクトは早く始めれば完了も早い
〔誤解〕5 製品の機能を増やしたほうが顧客は喜ぶ
〔誤解〕6 初回でうまくいけばより成果が上がる


第5章 財務分析がイノベーションを殺す

投資評価手法がイノベーションを阻害
DCF法の誤用
固定費と埋没費用の誤用
EPSの重視は近視眼的


第6章 イノベーションをめぐる対立を解消する

部門間の溝を埋める
ウェスト・パブリッシングの成功事例
イノベーションに新旧の戦いは必要ない


第7章 GEのリバース・イノベーション戦略

先進国向けの製品を新興国向けに手直しして販売する「グローカリゼーション」ではなく、新興国市場のニッチなニーズに適合させて開発した製品やアイデアが、全世界で必要とされている。

これを逆輸入して、先進国でも普及させるのが「リバース・イノベーション」


リバース・イノベーションが必要とされる理由
・新興市場は先進国と同じようには発展しない。進んだ技術を一気に導入することもあるし、所得が低いため、超低価格でそれなりの性能の製品でよい場合もある。また、インフラや課題が異なるためニーズも異なる。

・新興国のニーズに対応した製品を作っても先進国では売れないというのは思いこみで、技術は進歩するし、そうした製品でも先進国で独自の市場を築く可能性がある。

・新興国でイノベーションを行なわなければ、新興国のライバル企業に先を越される可能性がある。


ローカル・グロース・チームの五原則

・成長が見込める地域に権限を移転する。
・ゼロから新製品を開発する。
・新会社と同じくゼロからローカル・グロース・チームを立ち上げる。
・独自の目的、目標、評価基準を設定する。
・経営陣はローカル・グロース・チームを直属に置く。

第8章 イノベーションの罠

イノベーションが失敗する四つの過ち

・戦略面の過ち:高すぎるハードルと狭すぎる視野
・プロセス面の過ち:厳しすぎる管理
・組織面の過ち:弱すぎる連携と強すぎる組織の壁
・スキル面の過ち:弱すぎるリーダーシップとつたないコミュニケーション


第9章 未知の分野を制覇する仮説のマネジメント

仮説指向計画法(DDP: Discovery-Driven Planning)
・事業計画立案の際、数字よりも仮説を明確にすることが重要
・ゴール達成条件はおおよそ外れると受け止めており、計画を柔軟に修正することが必要

マイルストン計画法
仮説は外れると認識し、いつどうやって検証するのか計画していく手法

http://www.bbt757.com/servlet/content/46795.html?del=1&tFlg=1


第10章 イノベーションの機会

イノベーションのための七つの機会

①予期せぬことの生起

②ギャップの存在

③ニーズの存在

④産業構造の変化

⑤人口構造の変化

⑥認識の変化

⑦新しい知識の出現

===

目次
はじめに


第1章 ジョブ・マッピングでイノベーションを見出す ランス・A・ベッテンコート ストラテジン シニアコンサルタント/アンソニー・W・アルウィック ストラテジン CEO

「ジョブ」を処理するために製品やサービスを「雇う」
顧客のジョブを解剖する
「ジョブ・マップ」を作成する
補助ステップとしてのトラブルシューティング

第2章 イノベーション・カタリスト ロジャー・L・マーティン トロント大学 ロットマンスクール・オブ・マネジメント 学長

草の根から改革を進める
アイデアを実践に移す
プレゼンテーションより「実験」を重視する
イノベーションを起こし企業文化を改革する

第3章 大文字のイノベーションも必要である ジョージ・S・デイ ペンシルバニア大学 ウォートンスクール 教授

イノベーションはなぜ少ないのか
リスク・マトリックス
RWWスクリーニング
現実的か
勝てるか
やるだけの価値があるか

第4章 製品開発をめぐる6つの誤解 ステファン・トムク ハーバード・ビジネス・スクール 教授/ドナルド・ライナーセン ライナーセン・アンド・アソシエーツ 社長

製品開発と製造は根本から異なる
〔誤解〕1 経営資源の稼働率を上げれば成果が上がる
〔誤解〕2 バッチサイズを大きくすると費用対効果が向上する
〔誤解〕3 我々のプランには問題はない、このままやり通そう
〔誤解〕4 プロジェクトは早く始めれば完了も早い
〔誤解〕5 製品の機能を増やしたほうが顧客は喜ぶ
〔誤解〕6 初回でうまくいけばより成果が上がる

第5章 財務分析がイノベーションを殺す クレイトン・M・クリステンセン ハーバード・ビジネス・スクール 教授/スティーブン・P・カウフマン ハーバード・ビジネス・スクール 上級講師/ウィリー・C・シー ハーバード・ビジネス・スクール 上級講師

投資評価手法がイノベーションを阻害
DCF法の誤用
固定費と埋没費用の誤用
EPSの重視は近視眼的
イノベーションを促進あるいは妨害するプロセス

第6章 イノベーションをめぐる対立を解消する ビジャイ・ゴビンダラジャン ダートマス大学 タックスクール・オブ・ビジネス 教授/クリス・トリンブル ダートマス大学 タックスクール・オブ・ビジネス 非常勤准教授

部門間の溝を埋める
ウェスト・パブリッシングの成功事例
イノベーションに新旧の戦いは必要ない

第7章 GEのリバース・イノベーション戦略 ジェフリー・R・イメルト ゼネラル・エレクトリック 会長兼CEO/ビジャイ・ゴビンダラジャン ダートマス大学 タックスクール・オブ・ビジネス 教授/クリス・トリンブル ダートマス大学 タックスクール・オブ・ビジネス 非常勤准教授

新興国での成功なくして先進国での勝利はない
リバース・イノベーションがなぜ必要なのか
新興国大企業の機先を制す
グローカリゼーションとの衝突
重心を移動させる
内部の成功に学ぶ
ローカル・グロース・チームの5原則

第8章 イノベーションの罠 ロザベス・モス・カンター ハーバード・ビジネス・スクール 教授

イノベーション、その4つのうねり
戦略面の過ち:高すぎるハードルと狭すぎる視野
プロセス面の過ち:厳しすぎる管理
組織面の過ち:弱すぎる連携と強すぎる組織の壁
スキル面の過ち:弱すぎるリーダーシップとつたないコミュニケーション
イノベーションを成功させる処方箋

第9章 未知の分野を制覇する仮説のマネジメント リタ・ギュンター・マグレイス コロンビア大学経営大学院 助教授/イアン・C・マクミラン ペンシルバニア大学 ウォートンスクール 教授

なぜ一流企業が新規事業でつまずくのか
ユーロ・ディズニーと実績基準計画法
DDP計画法:ケーススタディ
マイルストーン計画表:仮説の知識への転換

第10章 イノベーションの機会 ピーター・F・ドラッカー クレアモント大学院大学 教授

起業家精神とイノベーションの関係
イノベーションのための7つの機会
体系的イノベーション

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