散歩の一枚 56
くっ、ぐわぁ〜!がぁあああ〜!
おいっ!雨だぞ!雨降ってきたぞ!雨!雨!雨!雨っつてんだろうが!聞こえてんのかっ!?あーめー・・・あ、やっと気づいたか。おい、雨降ってきたぞ。傘はどうした?持ってねえのか!?いや、違うな。
お前さん、雨に濡れてもいい格好してんな。防水ジャンパーに防水ズボン。頭もちゃんと防水で覆われてやがる。靴も防水だと?そのバッグも防水なのか!なんだよ、完璧じゃねーかよ。びっくりさせんなよ。今日は雨が降りそうな灰色の雲なのに散歩してるから、あとをつけてきたんたぜ。ス、ストーカーじゃねえよ。俺はお前さんを心配してだな・・・ま、いっか。ちゃんと雨が降ってもバッチリOKな格好してたからよ。
それにしても、その格好、田んぼや畑仕事してる連中の格好とそっくりじゃねえか。それじゃ、散歩っていうより、今から土を耕しますって感じだな。なに?雨の日は実用性を重視してると?まあ、そりゃそうだけどよ、確か晴れの日もおんなじような格好してなかったか?ああ、あれは色が似てんのか。
見た目は気にしてらんねぇってか。
見た目か・・・まあな。俺は年中無休で黒だけどよ。でも、こんな日はさ、俺のこの自慢の羽根が雨に濡れて、きらきら光るんだぜ。え?何も仕込んでねえよ。別に光るもんとか塗ってねえし、黒を増量してるわけでもねえし、そんな器用なことはしねえよ。ありのままの俺よ。カッコイイだろ?
ところで、お前さん、最近見かけなかったよな。っていうか、今年になって初めて会うんじゃねえか?そうだろ?そうだよな。あ、でも俺ちょいと耳にしたんだぜ。お前さんが違う土地を散歩してたそうじゃねぇか。なんで知ってるかって?俺たち鳥の最強のネットワークで、遠くの土地のことまで知ることができるんだぜ。
たまにちょっと隣町まで行ったりするだろ?その時にその町のヤツらと話すんだ。その話もおもしろいけど、国を渡るヤツらの話は俺の知らねぇ事ばかりでさ、そいつがいる時は、もうみんな首を出して、そいつの話を聞くんだぜ。最高だよ!
なあ、久しぶりに俺を撮ってくれよ。場所は・・・そうだなぁ、あの上なんてどうだ?俺の黒さがしっかり引き立つぜ。大丈夫。その小さいカメラでバシッと撮ってくれよ。
撮った!
どうだ?俺の自慢の羽根が、今日はさらにカッコよく写ってるだろ?雨の日の俺も最高だぜ。ん?どうした?なんで黙ってんだよ?あ!違う!ニヤけてやがる。やっぱり俺のカッコよさがお前さんにも分かってきたんだな。なぁ、正直に言ってみろよ。なになに・・・俺を探せ!みたいになってますだと?あ、おい、笑ったな。お前さんのアングルが悪いんじゃねえのか!?カメラの小さいのは、文句言わねぇけどよ、何もこのアングルで撮ることはなかったんじゃねえのか!?え?場所を選んだのは俺だったってか?ばかやろう。電柱の上が俺は引き立つんだよ!もっと電柱を選んだ方がよかったんじゃないですかって?とりあえずこの電柱しかなかったじゃねえかよ!あ!おい!待てよ!今度、城のカラスに会ったら俺のこと話してくれよな!
と、ドヤ顔でひたすら自慢してる
かもしれないカラスに出会う
散歩の日々です。
記事を書くための栄養源にします(^^;)