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建築のこと

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建築についてふれた日記のまとめです。身の回りのたてものや、建築をつくる行為について考えたことなど。
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記事一覧

180713 手応えと信用の関係

朝から、後輩たちの卒業設計の講評会を見に行く(建築学科では、卒業論文とは別に卒業設計という制作を行う大学が多くあります)。 卒業設計は相当に自由度が高く、どこに建てるのか(敷地をどう設定するか)、どんなビルディングタイプなのか(機能をどう想定するか)といったことが全員バラバラになる。 アーケード街の小さな店舗の増改築と、巨大な万博記念公園のリノベーションとが隣に並んだりする。 こうなると、ひとつの評価軸の上に並べることはとても難しい。比べる意味もないように思う。 一方で

180706 目の前の世界と未来のつなぎ方

久しぶりに、晴れ。 本屋さんと図書館で1日の大半を過ごした。 いろいろ本を読んでいて、未来を予測/予想してなにかをつくるよりも、すでに目の前にあるものから未来を想像するようにつくる、というやり方が好きだなと思った。 そう思うのには、たぶん、建築の持つ長い時間スケール(すなわち、予測/予想できうる未来のはるか先まで、建築そのものが残る可能性があるということ)が影響している。 #日記 #エッセイ #未来 #デザイン #建築

180705 部分が全体に奉仕しないデザイン

午前中からお昼過ぎまでプロジェクトの打ち合わせ(チームで、大学で使うあるプロダクトを作っています)。 かなりスピードが求められている局面ということもあり、その場の議論・判断でポンポンと決まっていく。心地よくもあり、怖さもあり。状況が変わると判断も変わることもあるので。 制作を担当してくださっている方が打ち合わせの中盤あたりで試作品を持ってきてくれて、盛り上がる。 試作品を眺めていると、先に決断したことの中でひっくり返したほうがよいかなと思うことがいくつかあり、恐る恐るアイデ

180704 メガネをかけること

アラーム音で起きた。今日も雨。 7時前に研究室に到着。午前中を目一杯使って、プロジェクトの状況整理と研究(3時間)。 お昼前に、一日のうちで1番重要なことを終えられると、午後から気楽でよい。 午後は、夏休みに予定している東北旅行の宿をとったり、読みかけだった『まなざしのデザイン』を読み終えたり、ゆるゆると過ごす。 建築を学ぶようになってから、行きたい場所がたくさん増えた。知識はメガネのようなもので、視界に入っていたのにも関わらず見えていなかったものをくっきりと浮かび上がら

180629 木、白、屋根

朝からレンタカーを借りて建築ツアー。 #日記 #建築 #写真

180619 生け捕り、AKB48、W杯

明日のゼミへ向けて、朝からひたすら研究。 仮説を走らせてみて結果を出す、結果を観察して新しい仮説を立ち上げる、そしてまたそれを走らせる、の繰り返し。 ココが面白いはず!というポイントは見えているのだけれど、まだうまく生け捕りができない。気長にやろう。 夕方、建築家の作品集(洋書)をパラパラと眺めていたら、AKB48と初音ミクが載っていて驚く。しかも隣に「THERD NATURE」なんて見出しが書いてある。どういうことだ。あとでゆっくり読むことにする。 夜、後輩がW杯(コロ

180614 都市の建築、誤読、焼肉

昼すぎから、1週間ほど前から読んでいた、アルド・ロッシ『都市の建築』の輪読会。 都市を分析することと建築を設計することの関係、ロッシの日本における建築作品の解釈、ヨーロッパの都市(石の文化)と日本の都市(木の文化)のちがいなど、さまざまなテーマを横断しながら、彼の思考と作品を読み解いていく。 実際は、読み解くというよりも、発展的に誤読する、というような雰囲気だったかもしれない。 ひとりでテキストと向き合うだけでは得られない気づきや飛躍が、輪読会の面白さであり難しさでもある。

180613 断面図、塀、ソロホームラン

朝、きのうみた建築の断面図をトレース。 見るだけではなくて書き写すことで身体的に理解できることが多々ある。 その後プロジェクトの打ち合わせ。続けて輪読会。 終わってすぐに研究室を出て、GALLERY創の坂本昭 建築模型展へ。塀の扱い方と素材の使い方が面白い。 夕方から、札幌ドームで野球観戦。日ハムvs.阪神。8-7でファイターズが勝った。 中盤のあっさりとしたソロホームランが、最終的な結果に大きく効いた。事後的にしか見出せない関係性が、世界にはたくさんある。 #日記 #

180612 スケール、そして父になる、視点

1日、雑誌でみて気になっていた建築を、実際にいくつか見て回る。 その中に想像していたよりもふた回りくらい大きかったものがあって、驚く。 紙面だとスケールが分からないことがたまにある(特にアイレベルの外観写真がない場合)。寸法の入った図面と照らし合わせながら、イメージと体験の差を埋めていく。 帰って、先日みた『万引き家族』があまりによかったので、『そして父になる』をみた。 どちらの映画も、誰の視点で物語を追うのか(追わないのか)、人によって違うだろうなと思った。 #日記

180610_2 万引き家族、世界、視野搾取

※きのう、誤って消してしまったと書いた日記を、もう一度書きました。 劇場を出たあと、風景の色が違ってみえたり目にとまるものが少しズレたりすることがある。そんな感覚が好きで、映画館にいく理由のひとつはそこにあったりする。 でも、今日ほど世界が変わってしまったように思えたのは、はじめてだった。 昼下がり、是枝監督の『万引き家族』を観た。劇場を出ると、そこにはまるで生まれ変わったかのような世界が広がっていた。 高層マンションの谷間にポツンと取り残された今にも壊れそうな

180610 万引き家族、2004、春の庭

是枝監督の『万引き家族』と、中山英之さんの『2004』と、柴崎友香さんの『春の庭』について書いた日記を、公開直後に誤って消してしまった。 これらは、わたしたちそれぞれにとっての現実世界の外側に、もうひとつの現実を立ち上げる作品である。そしてそこには3人に共通する「視野搾取」的なつくりかた(方法)が関わっているのではないか、という内容でした。 書き直す気力はないので今日はこれでおしまい。 (追記 こちらに書き直しました) #日記 #エッセイ #映画 #建築 #小説 #本

180609 スニーカー、湿気、フレキシビリティ

上空1万メートル。ふとした瞬間に隣に座っている女性と自分のスニーカーがまるかぶりしていることに気がついて、そのことに1時間近くもまるで気がつかなかったことがなんだかおかしくてなってしまって、ひとりで笑いそうになった。なんとかのみこんだ。あぶないところだった。 飛行機を降りると、たった1ヶ月ぶりの東京。けれど、この湿気のある時期の東京は6年ぶり。晴れていても、肌にまとわりつく空気の重さが懐かしい。 秋葉原で電車を降り、内田祥哉 窓と建築ゼミナール【補講】へ。 建築構法の第

180608 雨合羽、ハードル、小説と建築

朝から雨。研究室へ向かう途中、げんきに散歩中の保育園児とすれちがう。色とりどりの雨合羽。 午前中はプロジェクトのミーティング。 いま研究室では実施プロジェクトが同時に3件動いていて、そのうちのひとつの取りまとめをしている。 順調にいけば、秋口にモノとしてできあがる予定。まだまだハードルがたくさんありそう。 そとへおひるを食べに行き、戻ってきて2時間研究。 今週はなかなか思うように進まなかったので、週末の宿題にしようと思っていくつか文献をプリントした。日曜日にでも気楽に読む

180606 スケッチ、文章の姿、ミニチュア

5時間半すいみん。昨日全然動かなかったせいか、早くに目が覚めた。 そのままの勢いでノートに30分スケッチ。勢い余って45分もやってしまった。がんばりすぎは響くのでひかえたい。毎日淡々と。 研究室へ行き、何本か論文を読む。既往研究を辿っていくと、2年前に一度読んだことのあるものにぶつかった。 再読すると、当時と全く異なる見えかたがして驚く。どこかで聞いた、「文章は相手によってその姿を変える」という話はほんとうなのだと実感した。 午後は、輪読会とプロジェクトのミーティング。あ