営業において破談しそうな案件における建設的合意の活用
今回は、営業・セールスの中における建設的合意の活用についてご紹介します。
営業をしていると断られることが多く、時には商談が成約しかけたにもかかわらず破談になったということは、営業活動をされている方であれば誰でも一度は経験したことがあるのではないでしょうか?
それでも営業のみなさんは提案を続けなければならないですよね。どうすれば相手も自分も望む形で話を進めることができるのか。そこにはやはり建設的合意の概念の活用が不可欠だと考えています。
この記事が少しでもみなさんの日々の営業やコミュニケーションのお役に立てば幸いです。
破談→再提案に持っていくための5ステップ
まず最初に、建設的合意を活用した、「破談→再提案」に持ちこむための5ステップを紹介します。
1.相手の話を受け止める
2.解像度を上げる(深掘りをする)
3.なりたい姿に立ち戻る
4.とるべき選択肢を再評価する
5.具体的なアクションにつなげる
この5ステップがあれば、相手も自分の意向も汲み取りながらお互いのWin-Winを紡ぎ出すことができます!
と、並べられた言葉だけ見てもイメージが湧きにくいと思うので、実際に私が支援先として関わっている人材採用支援の事業を行ってている企業の営業活動を例にあげながら、1ステップずつお伝えしたいと思います。
人材系営業での事例
ある日、求職者の条件に近しい就職先が見つかり紹介したところ、求職者からも転職をしたいとのお声をいただきました。しかし数日後、求職者から「やっぱり転職願いを取り下げたい...」との要望がありました。この事例、人材業界に限らず、営業をやっているとたまに起こりますよね。(営業マンとしては天国から地獄に突き落とされた気分ですが...笑)
こんなとき、みなさんならこの後どのように話を展開していくでしょうか?私はここで建設的合意が大いにに活用できると考えています。先にあげた5ステップに関して説明していきます。
1.相手の話を受け止める
まずは全面的に相手を受け入れましょう!
間違っても、「この企業は本当におすすめなので...」などとこの段階で触れてはいけません。転職したくないという相手の気持ちに対して、転職させたいというこちらの思惑が真っ向から対立してしまうからです。
例えば、
「そうでしたか...。それは残念ですが、〇〇様が熟慮された上での決定だと思いますので、今回の件はストップしましょう」
というように、まずは相手の話を完全に受け入れて、転職しなくても良いのだという心理的な安心感を与えるのです。
2.解像度を上げる(深掘りをする)
ステップ1で終わってしまっては営業としては少し物足りません。心理的な安心感が十分に担保された状態で、相手が断った理由の解像度を上げていく深掘りにとりかかりましょう。
例えば、
「ちなみに、次回以降のご紹介の際に役立てることができるかもしれないので、お気持ちが変わった理由などあれば少し話していただけませんか?」
というように、あくまでも相手のためにというスタンスは崩さず、課題を明確化していきましょう。相手はステップ1で心理的な安心感を得ている状態なので、警戒心なく話してくれるはずです。もちろんここでも相手の言うことに対して否定せず、一つ一つきちんと受け入れていきます。
3.なりたい姿に立ち戻る
相手の課題が明確になったところで、ここであらためて今の会社に残りたいのか、他の会社(今回紹介した以外の会社)に移りたいのかもう一度聞いてみます。この事例では、転職希望を取り下げた理由は、ご家族からの反対によるものでした。しかし、求職者自身は今の会社には不満が多く、できれば他の会社に移りたいと引き続き考えているということもわかりました。
4.とるべき選択肢を再評価する
相手の本音を聞き出した上で、選択肢を再評価するという作業に入ります。
この事例では、
「〇〇様自身はやはり今の会社に不満がおありとのことなので、私たちも引き続き転職先を探していきます。ただ、やはり今回のように〇〇様の条件にマッチする会社は1年探してやっと見つかったものなので、またこういう会社に出会うにはかなり時間がかかると思います...」。
このように伝えることで、相手は、今の不満のある職場で働き続けるか、今回家族の反対を押し切ってでも転職をするべきか、どちらが自分にとって良い決断となるか再び評価を始めます。
5.具体的なアクションにつなげる
このように相手が迷い始めた段階ではじめて、具体的な提案を行います。
この事例ですと、
「ご家族の懸念点を解消できるかどうか、転職先の企業と少し話をしてみます」
「ご家族を説得するための方法を一緒に検討してみましょう」
などが考えられるでしょうか。
おわりに
対話を通して相手の本音を引き出した上で、お互いが納得できるように話を展開していく。建設的合意を身につけることは、Win-Winな営業活動を行うことにつながる!と感じた瞬間でした。
こんな感じで、Twitterの方でも日々建設的合意について発信していますので、興味がある方はぜひフォローをお願いします!
最後まで読んでいただきありがとうございました。