スピールの流儀(上):スプラッシュ・マウンテン019
キャストになって一番最初に苦労することと言えば、横文字文化かもしれない。ディズニーは何でも横文字だ。休憩すらブレイクと言ったり、食事もいちいちランチと呼ぶ。
それでも和製英語ならすぐ分かる。
ランチとかブレイクなら、すぐ理解できるだろう。
しかし耳で聞いただけではどういう意味か分からない単語もある。純粋な英単語は日常生活で使わないから一層厄介だ。
現場で行われるOJT(トレーニング)において、おそらく真っ先に出てくる言葉の筆頭とも言えるものに、「スピール」がある。
スピールが何かを説明するのはけっこう難しい。
意味は知りすぎるほど知っている。あまりにも基本過ぎて、今さら説明しろと言われても空気のように自然な存在になってしまうから、かえって説明しにくいのだ。
会話の中で、キャストは
「〇〇さん、スピールして」とか
「準備ができたらスピールを始めて」
などと使う。
要するに、声を出してゲストに伝える言葉、セリフのことだ。
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