最初の僕らのスキルは、まるでシステムに追いつけていなかった:スプラッシュ・マウンテン006
どこにもない職業をやりたいと思った
僕がキャストをやろうと思った理由の一つに、他のどこにもない仕事をやりたい、というのがあった。
飲食店や物販の店舗、事務職などは世界中どこにでもある。
しかしディズニーのテーマパークのアトラクションは世界中、ここにしかない。スプラッシュ・マウンテンは当時、カリフォルニア・アナハイムの一列に腰掛ける形状だったし、フロリダのディズニーワールドはこちらと同時にオープンした。
動画を探せば見られるけど、ワールドのスプラッシュは日本のTDLのとは構造が左右対称になっている。向こうは右回り、こちらは左回りだ。
つまり、事実上オンリーワンなのだ。
だから、希少な職業としての面白さが、ここにはたっぷり詰まっている。しかし反面、それを関係者以外の人へ伝える時、どんなに説明してもできない部分がたくさんある。
アトラクションは結局のところ、機械装置が動いているだけなのだが、実際には人間の動かしている要素がたくさんある。
いや、ほとんどの部分をマンパワーで担っているという方が正確だ。乗り物を動かすという作業が想像以上に、人間が介在しないと成立しないようにできている。
ある程度は機械任せだが、運営上最重要の安全に関わるプロセスは、人間による手動操作だ。乗り物が発進したり止まったりは、キャストが目視確認をして動かし、止める。それらの操作や多種多様な対応を含めてこなしていくには、現場で養ったキャストたちのスキルが必要だ。
乗り物に乗るゲストは、人間であって荷物じゃない(これはこの後、繰り返し何千回も聞くことになる言葉だ)。
ここから下は有料エリアですが、全く同じ記事がこちらのリンクから読むことができます。内容は同じですのでこちらからどうぞ。
ここから先は
2,343字
¥ 100
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?