おせっかい恐竜のはなし2🦖

「ショートカットにするなら痩せなきゃね」
君が何を言えるんだという格好で、恐竜は言った。
そもそも私はショートカットにするとは言ってないし、痩せなきゃとも思っていない。
恐竜の知り合いから「akane*さんはふくよかになった」と陰口を叩かれているらしいが、気にするまい。
そもそも女の子にいい歳して「ふくよかになった」と言う男性も、それをわざわざ本人に伝える恐竜も大した男ではない。
君はよくキュートアグレッシブという言葉を使う。
私はそれを都合よく解釈して、今回もどうせキュートアグレッシブだろうと高を括っている。

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おせっかい恐竜がおせっかい恐竜と称される理由のひとつは、圧倒的なデリカシーのなさである。
下から私の顔をのぞいては「鼻毛が見える」などと言うし、上から私をのぞいては「眉毛がつながりそう笑」なんて笑う。
〝私は妙齢の女性なんだぞ、なんなら女心がわかる男性とだって交際できる。デリカシーのない恐竜にかまっている暇はないんだ!〟そう思っても次の瞬間には恐竜の腕中に戻っている。
恐竜は今のところ好きな女に振り回されることがない。そこが私の今までの恋人達と違って、好きなところだ。
もしこの人が私の恋人になったら、だいぶん失礼なことを言わなくなるのかもしれないなぁと妄想して、やめた。彼に限ってそんなことはない。

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きっとこれからも、彼は変わることがなく恐竜のままであるし、私はあいかわらず鼻毛があって眉がつながりそうな女なのかもしれない。
永遠にショートカットにはしないかもしれないし、痩せないかもしれない。
でもそんな私でもそばに置いておいてほしいし、私は恐竜の今後を観察して文章を書いていたい。君はずっと私のネタとして消費されてください。私も君に喜んで消費されます。

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