私が両手鏡文字について考えていたこと

はじめに

このnoteは仮想SNS ”VRChat" を題材とした記事です。
私が両手鏡文字について考えていたことをまとめるために筆を起こしました。私なりの解釈を交えて両手鏡文字を説明します。


鏡文字とは

鏡文字とは文字を左右反転して筆記する書き方です。ここではVRChatにおいて主に声を使わずに遊ぶプレイヤー達を総称する無言勢がコミュニケーション手段として使う技術について書きます。

以下の記事に無言勢について詳しく記載されています。

ワールドに設置されているQVペンを用いることが多く、相手に対し正しい向きで書かれるので目と目を合わせて対話することができます。

以下の記事が鏡文字に詳しく記載されています。


両手鏡文字とは

両手鏡文字とは読んで字のごとく左右両方の手を使い鏡文字を筆記する書き方のことです。
両手でQVペンを操り筆記していきます。

また、両手鏡文字部というグループも存在し、私は副部長をやらせてもらっています。

動画で実演しているのは私です。「両手鏡文字部はいつでも部員募集中!」と書いています。少し見にくいですが2色の文字がかわいいですね。

私はよく動画のように部への勧誘をしているのですが、よく「どうやって書いてるの?」と両手鏡文字の書き方について教えを請われます。

私の回答としては「両手鏡文字でしかコミュニケーションをとらなかったら上達した」ですが、それでは味気ないのでもう少し考えてみましょう。


両手鏡文字の派閥

両手鏡文字にはいくつか派閥があります。私も全容を把握できておらず、実質一人一人に書き方があるといっても過言ではありません。

大きく区分するなら以下の二つが挙げられるでしょう。


1. 左右交互派

筆記を一画一画、左右交互に書く派閥です。

私が見た中で最も多く、始めやすい書き方だと考えています。

「両」の字を書く際、まず横棒を右手で書き、その後左手で右下に縦棒を書く、といったように書き進めます。


2. 左右同時派

筆記を一画一画、左右の手に分けて書くことは左右交互派と変わりありませんが、右手と左手のペンを同時に使用し2画をいっきに書いてしまう書き方です。

「両」の字を書く際、上の横棒を左手、右下の横棒を右手で同時に線を引きます。その後左手で横棒からの下に線を引きつつ、その書いている時間の間に右手を中央真ん中に移動させ左手の書き終わりと同時に下に降ろす、といったように書き進めます。

1字を両手で書く具体例を挙げましたが、人によってはへんとつくりがある漢字を左右同時に書き進めたり2字を同時に書いたりします。ちなみに両方とも私には出来ません。


両手鏡文字のメリット・デメリット

両手鏡文字が開発されるにあたり、その難しさからVRChat内での実生活に大して寄与しないのではと思われる方もいるかもしれませんが明確なメリットがあります。それと同時に当然デメリットもあります。


メリット

単純に筆記速度を上げることができます。

筆談のデメリットとして、書くスピードに依存して相手に伝える速度が遅くなります。当然の事実ですが人と人とのコミュニケーションにおいて声を使う方法が最も早く、筆談はそれに大きく劣ります。何人か爆速で鏡文字を書く方を知っていますが、日常会話に困らないレベルです(それはそれでとてもすごい技術なのですが)。話す速度が少し遅い方、くらいのスピードですね。

一般的な鏡文字話者は相手に待ってもらいながら伝えたいことを書いていきます。それでは物足りず、声を使う方と同等の速度で意思を伝える事を目標に私は両手鏡文字を習得しました。

あと初対面での話のタネになるくらいですね。


デメリット

ペンの不足が問題になります。

Qvペンは最近のワールドに普及してきていますが、配置しているワールドでは1セットがあるか、下手をすれば2,3本に減らされている場合もあります。筆記勢にとって1本でもありがたいペンを両手で書こうとすると一人で2倍使うことになります。QVペンは1セット15本で筆談するには充分な数ですが、両手鏡文字使いが7人もいると使い果たしてしまいます。貴重なペンを一人で2本も独占してしまうことは他の筆記勢の反感を買う可能性があります。

このVRChatというソーシャルゲームにおいて人間関係は非常に重要なもので、なるべくなら ”いい人” でありたいものです。そのために争いごとはなるべく避けたいですよね。

またQVペンには読みづらい色もあり、さらに自分の使いたい色がある場合の奪い合いもすでに起こっています。これは別問題なので今回は取り上げません。


デメリットの対策

両手鏡文字使いが常に使用されていないペンの数、インスタンスにいる人数を気にかけておく事です。

誰もが気持ちよくペンを使える状況を意識し、ペンが不足してきたら片手での筆記に変えペンを持っていない方に渡す、といった工夫を両手鏡文字使い全員が徹底することで角が立たなくなります。

集団の中で少数でも ”嫌な人” がいると、その人に接した人は集団全体を敵視する可能性があります。集団が少ないほどその傾向が強く、一人一人が ”いい人” であるように私は願います。


バズの功罪

さきほど両手鏡文字を披露する私が映ったポストのリンクを貼りましたが、このポストがバズってしまいました。いいねが3.3万、リポストが4500超です。バズは悪いことではありませんが良いことばかりでもありませんでした。

まず良かった点を上げるとするならばVRChatの知名度の向上ですね。それと無言勢のあり方の一つを示せたのは良かったかなと思いました。

しかし鏡文字をただの面白い芸の一つと見る方もいました。それはそうなのですが、鏡文字話者としてはごくごく普通のコミュニケーション手段の一つに過ぎず、変な風に鏡文字を広めてしまったことを悔みました。

この場を借りて無言勢全体に謝罪します。


おわりに

いろいろ書きましたが両手鏡文字は数あるコミュニケーション手段のひとつに過ぎません。強要をするものではありませんし両手鏡文字部員だからといって常に両手で書かなければいけないこともありません。

両手鏡文字部は挑戦する方を常に歓迎しています。巧拙に関わらず「やってみたい!」という気持ちだけで入部できるので興味のある方はぜひ門を叩いてください。2024年4月現在150人の部員があなたを歓迎します。

久しぶりの作文で読みづらい部分が多々あったと思います。ここまでお読みくださり本当にありがとうございました。

私としては両手鏡文字を好きも嫌いもなく接してもらえると助かります。私は普段からペンのある日本語話者向けワールドに遊びに行っているので見かけたら手を振ってあげてください。気分によっては両手鏡文字をお見せするかもしれません。


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