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映画「キャッツ」体験記

※ネタバレあります※

※私は映画版「キャッツ」にかなり否定的な感想を持っているので、この映画のファンの方はご注意ください※


1/31に映画「キャッツ」を観てきました。

●世界中で賛否両論(マイナス意見多々??)とは聞いているけど、観たことないのに「どーせ面白くないんでしょ!」とか言いたくないな・・・

●ミュージカル(舞台も映画も)好きだし、そもそも学生時代演劇に関わっていたので(恐らく他の大半の方よりは)多少、人間が猫に扮していることを含めたファンタジー・物語上の約束事にも免疫があるんじゃないか?

●2/1に劇団四季版「キャッツ」好きな友人と会う予定もあったので、話のネタにもなるなー

・・・などなどの理由もあり、軽い気持ちで見に行くことにしたんです。

なお、私は舞台を観ておらず、「キャッツ」がもともとどういう物語なのかを知りません。


観る前から、出来るだけまっさらな気持ちで観ようと心に決めて着席。(ちなみに予告編・CMが流れている間に夕食のホットドッグをさくっと食べました。)まあ、犬より断然!猫派だし、トム・フーパー監督の「レ・ミゼラブル」はミュージカルを上手く映画の形に落とし込んでいて大好きだったし、ダンサーさん達が表現する猫にも興味があるし!案外面白いんじゃないの?と思っていました。

※※以下、ネタバレ大いに含みます※※

気になったことをつらつら書いていきます。

①冒頭のシーン、いきなり「人間」が出てきて、(見た目はかなり人間っぽい)「猫」を捨てて去る。まだ世界観を構築できていない状況なのに、「人間」の登場人物を出すのはあまり得策とは思えなかった。

②CGの処理に違和感。顔周り(眉上~顎、もしくは首まで)毛をあまり生やさないようにしていた。キャストの顔が見えるようにという配慮?全身の毛も薄めなのは、ダンサーの動きを見せたいから?人間らしい顔立ち・全身の骨格が隠せないので、猫らしさは著しく損なわれているような…。
例)・レベル・ウィルソン演じるジェニエニドッツ、ぐうたらしている大柄猫設定だが、ぽっちゃり体形は猫のそれではなく、めちゃくちゃ人間っぽい。
・ビクトリア役のフランチェスカ・ヘイワードは可愛らしい人だが、細くまっすぐに伸びた首は猫らしくない。

無駄のない身体も、ぽっちゃりと肉付きのいい身体も、人間の骨格をよく見せてしまう。もっと毛量を増やして輪郭をふわっとさせたほうが良さそう。もしくは見え見えのCGじゃなくて、衣装等で表現するのはどうですか?

③全体的に、キャラクターを人間に見せたいのか、猫に見せたいのかが分からない。手や足先も、無毛ですべすべ五本指。タップダンスやスニーカーを履いた脚のアップ。裸足。二足歩行で背筋を伸ばす。…かと思いきや、指から鋭い爪が飛び出したり、毛玉を吐いたりミルクをお皿に入れて舐めるように飲んでみたり。全編通してほぼ出てこない鳴き声(「ニャー」)を、唯一皆一斉に叫ぶシーンの異質さも凄い。

④色々言ってきたけど、どうしてもほとんど裸の人間を「裸じゃないよ!毛がふわふわの猫ちゃんだよ!」と言い張っているように思えてならない。

つまり、ちょっとセクシャルに見えてきてしまった。

映画の序盤、猫たちのつるんとした身体を見て、「性的なものはこの映画に出てきません」という説明だと思った。なるほど分かった。そういう約束事ね。ファミリー映画だもんね。…でも、ジェームズ・コーデンが下半身を強かに打って転げまわったり「あいつ去勢されてるんじゃないの?」みたいな台詞があったりで…分からなくなってきた。去勢という概念、あるんだ?この世界…そう思ったら、長老猫がガスへの賛辞に後ろ足をヒョイと上げるシーンとか、マタタビに興奮しておかしくなる猫たちとか、みんなつるんとしてる割にテイラー・スウィフトだけ胸が大きくないか?とか思えてきて…

⑤イドリス・エルバ(マキャビティ)のダンスシーン。マキャビティは、ずっと毛色に近いこげ茶の毛皮を羽織っているが、それを脱ぎ捨てて歌って踊るこのシーンにちょっと問題あり。「あれ、性的に見えない?」「性的に見えるのは私が邪なんじゃない?」という葛藤の果てに、

他のキャラクターと違って筋肉ムキムキだけど猫毛ふわふわのイドリス・エルバ(「最もセクシーな男性」に選ばれたことのあるイケてる大男)が派手に歌って踊るんですよ?めちゃくちゃ裸に見える状態で堂々と。


私、彼のファンなので素敵なダンスを見られて嬉しい気持ちになっていいはずなんですけど。一番に思ったのは、「見ちゃいけないものを見た」。子供も見る映画なのに、規制も事前注意もなく「こんなにセクシャルなものを出しちゃうなんて」と。それで、とうとう、パニックになりました。ファミリー映画と勘違いして、ポルノ映画を観てしまったんじゃないかと。しかも、何だかマニアックなジャンルの。規制の隙間を抜けて現れたちょっとヤバい物を。(映倫さんがお仕事しているはずなので、多分きっと、多くの人はそこまで思わないような表現だったんだろうけど)

⑥思い出したので追記のトラウマ→ジェニエニドッツちゃん。家の中で、ある生き物2種を奴隷のように従えている。

それはなんと、ネズミと…G……友人曰く、舞台版でもG役の人間が出てくるそうですが、映画なのでサイズを調整して妙にリアルに。猫から見てより小さいネズミ(の恰好をした人間)と、更に小さい(の恰好をした大勢の人間‼‼‼)がキッチンテーブルの上でラインダンス(怖すぎる)をして、最後には羽根を広げて(そのリアルは要らない‼‼‼‼)飛び去っていく(あまりの恐怖に涙が出る私)。しかもジェニエニドッツ、おちゃめなのか猫の本能を表現したいのかGやネズミを食べようとする描写まで(そんなリアル要らない…)。

猫が虫を嬲る事実を私は知っています。小鳥やモグラやその他の小動物の可哀想な最期も知っています(故郷は田舎なので自然がいっぱい…猫の犠牲になった皆、ごめんね…)。猫は残酷な生き物、わかっています。が、それを限りなく人間の形をしたキャラクターで思い起こさせてくれなくてもいいと思う。それを期待して映画館に来たわけじゃないんだよ。


全体を通して、

猫だと思おうとすると「人間らしく」、
人間だと思ってみると「猫らしく」、
性的なものを排除」しているようで「不思議とセクシャルな見た目」が
観ている私の心に揺さぶりをかけ続ける2時間でした。


翌日、劇団四季版が好きな友人にこのことを話すと、「劇団四季、観に行こう」「観て、楽しんで、忘れよう」「きっと別物だから」と言われました。

近いうちに劇団四季のミュージカルも観てみたいなと思っております。

以上、映画「キャッツ」の感想でした。


※ちなみに別日に観た「ポゼッション」(81)も不倫の話と思いきやホラーっぽくなったと思ったらめちゃくちゃ不条理劇でクリーチャーも現れるとんでもない映画で、観終わった時どちらも物凄い疲労に襲われた&場内から大きなため息が複数聞こえてきたという共通点があります。2本立てで上映したら楽しいかもしれませんね!絶対に行きませんが!

※ちなみにちなみに、ポルノ映画が悪いとは全く思っていませんので悪しからず。予期しないところで予期しないものを見せられて動揺し疲労したという話です。

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