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市川の後ろで腕組みしてるヤバイやつになりたい

 今回はちょっと梅雨じみた……自分のジメジメとした湿った気持ち悪い部分を絞り出す記事にしたいと思うのですが、さすがにいきなり自分の妄想を他人にダバダバ掛けに行くのはヤバイやつなので、まあまずは健全にジャブから行こうと思います。


僕ヤバを読んでor観てほしい

 僕の心のヤバイやつ、という作品があります。おすすめです。

 根暗で中二病をこじらせた市川くんと、マイペースな山田さんがちょっとずつ近づいたりするラブコメディです。市川くんのネガティブさがはじめだけちょっと気になるかもしれませんが、だんだん魅力が出てくる味のある作品。クセがあって面白いです。


 アマゾンプライムでもアニメ1期が見放題なので、映像のほうが入りやすいよ!という方もぜひどうぞ。2期の制作も決定してるらしいぞ!



湿度を上げていくぞ

 ということで以上、僕ヤバのきれいな紹介は終わりです。ここからはネチャネチャとしたおれの湿度の高い幻覚と妄想を垂れ流していくので、自分の中に自分なりの作品像がある方、ネタバレを避けたい方はここでブラウザバックしていただければと思います。自分なりの解釈を守るっていうのもそれはそれで大事ですからね。




市川の後ろで腕組みするクラスメイトになりたい


ごめん!!!!!!!!

すんげえネッチャリした記事になるけど
今日は僕ヤバの市川がどんだけ魅力的な少年かということを
思う存分語らせてほしい!!!!!!!!!!


 おれ、あの……本当に市川の少しずつ花開いていく優しさというか、感受性が好きで……。市川の後ろで腕組みしながら「うん、うん」って頷いているクラスメイトになりたい…。
 猟奇的な本を読んでニヤッとしたまま黒いオーラを出しながらスタスタ廊下を歩いていったくせにそのへんに落ちてるパンのビニール袋を拾って教室のゴミ箱までわざわざ捨てに戻ってしまう……そんな市川の善性を目の当たりにしたいんだ……。

 もう咲き頃は過ぎてしまいましたが、梅雨といえばあじさいの蕾が開いて青や紫の美しい花を見せますでしょう。
 僕ヤバにおける市川くんは最初こそ中二病というエッジーな棘で包まれているんですが、だんだんそれがほぐれていって少しずつ柔らかな感情を見せてくれるんです…。毎話ついほころんで咲いてしまう彼の善性がたまらないんです…。
 山田が泣きそうだと思ったらカッターで模造紙を切り裂いて耳目を集めたり、いい雰囲気の男女を邪魔しないように猫のマネをしたり、セクハラとおぼしき手紙が女子に渡らないようにすり替えたり……。方法は拙いにしても、自分のキャラとプライドを引っ込めることに悩みながらも、今できそうな最善の手を考えてそっと実行してくれるすんげえ良いやつで……。

 回を追うごとにどんどん市川の優しい地の部分が見えてきて、そしてそれは気になっている山田にだけではなく意外と周囲の人に分け隔てなく向けられているんですよね……。原さんがお墓の名前を書いてしまった件でそれが明らかになってくる。


©桜井のりお

 市川、すげ~~~不器用だよ!不器用だしビビってるよ!でもお前………カッコいいよ!!!!!

 とっさに状況を理解して、「そうだ!ここは俺が犠牲になろう!」って判断できるお前、本当かっこいいよ。好きになっちゃうよ……。
 まだまだ中学1年生の子供だし、こじらせてて自己肯定感も低いしで市川はいっぱい失敗するんだけども、そのずっこけながらも頑張って必ず出すべき答えを出してくれる市川の心の美しさが本当に好きで……。
 友だちになりたい……いや、なれなくてもいい。おれは後ろでそっと市川の頑張る姿を見ていたい…。市川……カッコいいぞ……フフフ…………


市川、いろんな表情を見せてくれ

 市川のイチといえば……でつい思い出したので引き合いに出しますが「殺し屋1」っていうラブコメがありまして、垣原さんという人が主人公の「イチ」とニアミスしながらも、イチくんが残していった痕跡を見て「こんな一面もあるんだね……」って想像を働かせて自分の理想を描いたりニヤニヤしたり激怒したりするんですよ。ふだん厳格な人なんだけど気になる人の新しい一面を見るごとについソワソワするというか……。
 これ、僕ヤバの山田と市川にも結構当てはまる話で、山田のコロコロと変わる表情に感情をかき乱されてカッコつけの市川もついつい新しい表情を見せてくれる。これが本当に良いんだ……。
 その最たるものはやはりKarte.14で山田が鼻を怪我したとき……。次の日に入っていたモデルの仕事を断ることになって泣く山田と、それに思いを馳せて涙をこぼしてしまう市川。「ああ、こいつ誰かの身の上を思って泣けるやつなんだな……」と思わせてきたあとに"山田のことが好きなんだ"と自覚する畳み掛け方でもう、おれは心臓を撃ち抜かれてしまった…。


 かと思えば、反対に山田はバキの原稿を見た市川の表情に射止められたりもして……。

©桜井のりお


わかる!!!!!!!!!

 イッチがたまに見せる本心の笑顔、いいよな……。いい……。その気持ちすげえわかるよ山田。ちっちゃい市川が感情をめいっぱい出すと子リス的なかわいさがあるんですよね。あれっ?おれなんで山田側の視点に立ってんのかな……?(正気)
 僕ヤバは山田がヒロインなんだけど、ぶっちゃけ市川もヒロインのダブルヒロイン制マンガと言っても過言ではないので、一粒で二度美味しいんですよ。


 いろんな表情……悩み苦しむ市川もいい。市川そして山田の天敵、南条先輩ナンパイにすらも思い悩む……。


©桜井のりお



 かなり早い段階で、ナンパイは「嫌な奴といい人としての性格がひとりのなかに同居している」ということが市川はわかっていて、「いいところもある人を悪く思ってしまう自分はかっこわるいな」と自己嫌悪する。市川、変に鋭いから気づいちゃうんだよなそういうところに…。
 いやいやいやいやいやいやいや、だってまだ中学生だぜ?この間までランドセル背負ってたにしてはすごくしっかりしてるよ市川。ちょっとずつだけど人間が出来てるよ。下手すると大人になっても他人の気持ちわかんないやついっぱいいるので十分大人ですよ。
 "山田は自分より大人なんだ"と思ったりしているけど、イッチはイッチの方向性で結構多感と言うか、人の気持ちを想像できるカンの良さみたいなものが育ってきているのでなんも卑下することないんですよね。

 「すげー嫌な人だけど、嫌な人にも良い一面もあるし、それを邪険にしていいのかなぁ。山田がそういう邪険にする人だったら嫌だな…」という、考えすぎるがゆえの悩みと若さからくる潔癖さがイッチを苛む。そんなもん子供らしく短慮さを発揮して嫌なヤツだと切り捨ててしまえばいいのに、どうしてそんなに優しいんだ市川……。狂ってしまう……おまえの人の痛みへの想像力があまりにも射程距離長すぎておれは狂っちまうんだよ市川……………ッ!!!

 僕ヤバはこのあたりのモノローグ芸というか、変に考え込んでしまう人間の頭の中を描写するセンスが凄いんだよね。
 個人的にマンガのモノローグに関しては七転八倒しながら情けなくうつむきつつも妙に粘り強く生きていく奴の頭の中を描いた福満しげゆき先生、つま私やふたりモノローグを始めとする諸作でモンスターのように暴走する自意識を描ききったツナミノユウ先生が特にアツいツートップなのですが僕ヤバもここに比肩して食い込んでくる良さがあります。独白界のトライフォースがいまここに完成したな……。


この物語はイッチのおねぇがベスポジすぎる

 これやっぱりトータルで見ていくとイッチのおねぇが観測者としてベスポジなんすよね…。

 イッチの姉ちゃん、イッチのことを京ちゃん呼びできるし間近でからかいながらワタワタしてるところが見られるし、イッチと山田の関係が進展していくのをガッチリ見届けられる神ポジションすぎるんよね……。
 市川と山田の周囲を漂う素粒子になりたいとも思うけど、やはりベストはおねぇなんすよね。……なりたいな……おれ、イッチの姉になりたいかも………。

 まあでもイッチの姉ちゃん、よく考えてみるとイッチに投げかけてる言葉や目線が重ためなんだよな…。


©桜井のりお

 え?姉か?これ姉がするまなざしか?猛禽の目してないか???
 おれが人生の中でこんな眼つきの生き物見たのは天橋立で友達の手からモナカ掻っ攫っていった鳶以来ですね。

 ヤバいな……イッチの姉ちゃん、もしかしたら中身がイッチマニアこじらせた激重オタクなんかもしれん…。こわ……。いくら冗談でも姉貴が衆人環視のもとファストフード店で弟に"愛してるよ"って言うか……?試着室で履いたスカートのことを弟に……???市川香菜、もしかしたら前世でイッチの姉に生まれ変わることに全ツッパして功徳を積んできたギャンブラーとかでは……??????
 冗談は置いとくとして、からかってはいるけどイッチを心配するときはおふざけ抜きでちゃんと本心で心配してるのがわかる台詞回ししてるんですよね。イッチが本当はゲーム機が欲しいんじゃないかっていうのもよく見てたし、キーホルダーのくだりもそうだし……姉として弟を大切にしてるんだな~~~~って伝わってくるんですよね……。


ここで紹介した市川は原液をごく薄く希釈したものに過ぎない

 さて、ここまで市川に関して連載開始当時からひたすらこね続けてきたおれの思いをぶちまけてきたわけですがひとつお知らせしなければいけません。今書いてきた内容は原作での市川描写に比べれば物凄く薄いものでしかないということです。

 おれがここでどんな幻覚を見たところで桜井のりお先生が綿密に仕込んだ「キャラクターが何を見ているか」「キャラクターが何を意図してカマをかけているか」「キャラクターが何に気づいているか」という仕掛けに比べれば到底及び得るものではありません。桜井のりおが脳から出力してくるシチュエーションを猛虎の鋭い爪だとするならおれの妄想などネコチャンがドアをカリカリ掻いてるようなものです。


 市川の愛でかたについても公式が最大手です。
 なんか作者がTwitter上に絵を投稿することによってまるで「ザ・コア」の終盤止まってしまった地球の中心核を活性化しようと連鎖爆破した核爆弾みたいに留まるところを知らず僕ヤバ読後の感情を持続的に刺激してくるんだが………。桜井のりお???楽しいか?????神の手によって山田とイッチを供給しおれたちを翻弄するのはよ???ツイヤバとかいう形であとからでも読みやすくまとめてくれやがって忙しい中いつも供給ありがとう!!!!!!!!!


 そして最後になりますが、ここでおれが語り、示してきた市川の姿はあくまでおれというレンズを通したものに過ぎません。思い思いの僕ヤバ像があり、そしてひとによって作品の見方も違う。
 ぜひ皆さん、第一巻、もしくは一話を見て市川そして山田の原液を浴びていただきたい……。そして各々の中でイマジナリー市川とイマジナリー山田を捏ね上げ、じっくりと発酵させたあと思い思いに焼き上げて味わって欲しい……。おれの望みはそれだけです。




 ハァ………考えてたことが書けてスッキリしたな……。せっかくだし、じゃあ1巻からまた読み直して京ちゃんの姿を振り返るのもいいかな……。







お…

お……



おまえ〜〜〜〜ッ!!!!!!!


おまえおまえおまえおまえおまえおまえ
おまえおまえおまえおまえおまえおまえ
おまえおまえおまえおまえおまえおまえ
おまえおまえ!!!!!!!!!!!!


おまえ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


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