見出し画像

240817.SAT〜240823.FRI|伝えることの大切さ

AWAのシニアスタッフが、増沢洵が設計した《立体最小限住宅》の図面をプレゼントしてくれた。近代建築史に残る名作の、貴重な資料と言ってもいいぐらいの資料だ。どういう経緯で彼の手に渡ったのか分からないけど、何十年もきっと大切に保管していたのだろう。僕が持ち主だったら自分が元気なうちに然るべき人に渡したいと思うだろうから、譲る先に僕を選んでくれた事に感謝して有り難く受け継ぐ事にする。スタッフたちとじっくり読み込んでみよう。

それにしても、昔の人が描いた手描きの図面は分かりやすい。全ての線が建築家の身体で描かれていることで、一本一本の線を深く読み取れる気がするせいだろうか。CADで製作された図面はどこか借り物のような感じがして、描き手の意図が想像できないんだよね。メーカーの図面をコピペしたり、熟慮しないまま壁厚を150と入力したり、根拠の曖昧さの蓄積が図面を分かりにくくさせているのだろうか。
一方で、手垢が漂白された無菌の図面は抽象性に意識を向かわせる効果もあるように思う。ところが建設行為は今の所はまだまだ原始的な手作業だから、50年前と変わらず手垢まみれのままだ。このズレが今の建築の根本の一つだとも思ったり。

お盆中は友人と飲みにでも行こうと連絡していたんだけど、彼の身内に突然の不幸が会って飲み会は中止に。お別れの会に参列させてもらうと経緯を話してくれた。本当に突然の出来事だったみたいだ。青信号でも注意しなければ。
今生の別れというのは、大抵その時には分からないものだ。僕の人生では「これが最後の会話になるな」と確信した別れは、今のところ一回しかない。いつ来るか分からないその時に後悔しないようにしなければ。

お盆休み明けはREDOJINBOCHOの不具合確認から。配水管からトントンと音が鳴るとオーナーから動画が送られて来ていたのだけれど、音の鳴り方からウォーターハンマーではないかと予想しつつ現地に向かう。当日は音は止んでいたけれど、現地を確認してくれた業者も同じ意見。念の為ポンプメーカーなどに問い合わせてもらうことにして解散。

Aビル現場定例が30回目になり、躯体関係の工事がほぼ終わって仕上げ工事の段取りが始まっている。ウレタン断熱や墨出しの状況を確認して、屋上基礎の配筋検査。
Gビルは耐震診断の三次診断の内容をクライアントに説明。クライアントは元エンジニアで相当突っ込んだ質問を受けたのだけれど、構造家に同席してもらっていたことが功を奏してきちんとした回答ができ、安心してもらえたみたいだ。
新規プロジェクトの相談をくれていたクライアント候補とウェブ面談。新建築やAWAのウェブを読み込んでくれているようで、ぼくの考えを理解した上で連絡してくれたようだ。単に技術的なサポートだけ欲しいといったクライアントとはどうしても良い建築が作れない気がするので、こういうクライアントは大切にしたい。
週刊ビル経営に連載しているコラムもそんなことを考えながら何とか締め切り前に校了。読者に思いが届きますように。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?