白い生き物と暮らす

一人っ子だった私は、なんだかいつも淋しくて、子どもながらに温もりが恋しかった。

パパとママがケンカしている日も、
友達とうまくいかなかった日も、

どうして私はいつもひとりぼっちなんだろう。

外で猫を見るたびに、うちに連れて帰りたかった。
ハムスターを飼っている友達が羨ましくて仕方なかった。

「ママ、ハムスター飼いたい!」

かわいいのは最初だけ!
どうせ世話しないでしょ!
臭い!

…私の主張はいつも即却下。

あーあ。私はまたひとりぼっち。
あったかくて、フワフワで。
そんな子が、そばにいてくれたら
こんなにさみしくないのにな。


 大人になるにつれ、友達とも上手い距離で付き合っていけるようになるし、
恋人が温もりを与えてくれるようになり。
子どもが産まれ、なんだか丸くてかわいい
ぷにぷにした存在を知り。

人生の登場人物が増えるたびに、
幼い頃の私の小さなフワフワへの憧れは
雲のように消えかけていたのだけど。

とある夏の日。
フワフワが、家の前に落ちていた。

なんだこいつ!!!

この、死にかけの灰色のフワフワが、
白い生き物たちとの出会いに繋がるとは
この時は知る由もなかった。

つづく。

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