2022/03/21-1 御遺訓再掲(改)

徳川家康の遺訓と伝わる言葉。
(少なくとも裏付ける史料はないとのこと)
以下に引用して僕なりの訳を付しておきます。

(訳は一部改訂)

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人の一生は重荷を負て遠き道を行くがごとし。
急ぐべからず。

不自由を常と思へば不足なし。
心に望みおこらば、困窮したる時を思ひ出すべし。
堪忍は無事長久の基。
怒りは敵と思へ。

勝つ事ばかり知りて負くる事を知らざれば、
害その身に到る。
おのれを責めて、人を責むるな。
及ばざるは過ぎたるよりまされり。

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【我訳(改)】
人の一生というものは、重い荷を背負って長い旅に出る様なものだから、がむしゃらに歩みを進めることだけに心を割くべきではなくて、広く周りを見渡して、目を配る方がよい。

思いのままにならないことがあったとしても、あるがままを受け入れることができれば、不満に感じることはないだろう。
もし、己の欲に心を奪われることがあっても、日常が辛くいっぱいいっぱいであった時のことを思い出せば、今の自分が置かれた状況を見直し、心を落ち着かせることができるだろう。
何があっても周囲を落ち着いて見渡し、自らを律する心こそが、何事もなく長く安らかでいるための礎となる。いつの時も、心を乱すことは決して益とはならない。

全てが自分の思い通りになり、その時に周りのことに心を配ることができず、思い通りにならないことがあること、そうした辛さを抱える人がいることを想像できず、思いを馳せることができないのであれば、いずれ自らに禍を招く。
また、自分の思い通りにならないことがあっても、まずは自らの落ち度を考えてみる。周りのせいにして、その落ち度をあれこれ言うべきではない。
人は誰しも完全ではない。行き届かないことがあれば皆で埋めていけばいい。みんながみんな完全であるよりはそちらのほうが人間らしくて良い。

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自分と周囲という、人の世の関わりについて目を向けて、広い心で万事受け止めていくことに重きをおいて解釈し直しています。