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企業再編の手法として米国ではチャプター11(倒産)も一つの手段

1.スピンオフ(会社分割)
親会社の資産と業務の一部を切り離して設立された新しい独立した企業。
子会社の株式は親会社の株主に分配される。
親会社から完全独立する。
例)
米ファイザーが特許切れ医薬品事業を行う子会社アップジョンをスピンオフし、同業のマイラン社と合併。
あらたにViatris(ヴィアトリス)という新会社を設立した。
既存のファイザー 株主には、
1株につきVTRS(新会社ヴィアトリス)の0.124079株が割り当てられる。

2.カーブアウト(子会社上場)
新会社の株式が既存の株主に分配されるのではなく、
IPOにより売却される。
100%子会社の株式の一部を市場売却、または、公募増資。
メリットは、親会社がコントロールを維持できる。
子会社独自の資金調達が可能。
例)
ソニーのコンピュータ事業VAIOの切り離し。
社外の投資家から資金を調達する。

3.事業売却
子会社株式を第三者に売却。
子会社の価値を売却時点ですべて顕在化可能。

プライベートエクイティファンドとは、
機関投資家や個人投資家から集めた資金を基に事業会社株を取得し、
その企業の経営に深く関与して企業価値を高めた後に売却することで収益を獲得することを目的とした投資ファンドである。
日本国内では、アドバンテッジパートナーズ、カーライル・グループ、ベインキャピタル、コールバーグ・クラビス・ロバーツ、年金積立金管理運用独立行政法人が有名である。

4.倒産
米国の倒産はチャプター7とチャプター11がある。
チャプター7は、
企業の死とその解体を監督すること。
チャプター11は、
企業を健全な姿に回復させること。
破産の場合は、株主への分配はありませんので、株の価値は0となります。
そのため、破産により上場廃止となるケースでは、株価は1円に限りなく近づいていきます。
一方で、会社更生法や民事再生法の場合、上場廃止になる。
通常、会社更生法や民事再生法を適用する場合、スポンサーに新たに出資してもらい再スタートの資金にします。
そのとき既存の株主が保有する株を100%減資して、完全に価値をゼロにするのが通常です。
スポンサーの立場からみれば、既存の株主には、倒産したことによる株主としての責任を果たしてもらう必要があると考えて当然だからです。
営業黒字であれば、事業の価値があるため、
私的整理による再建、民事再生法、会社更生法の可能性がある。
しかし、日本においても破産がほぼ99%、
ここ10年間で再生法で再上場できた企業はJAL?と川崎電気(株)のみ。
私的整理は、債務者が企業のブランドや人的資源に魅力をかんじている場合であり、稀なケース。
法的整理は、債務者に有利になりがちである。
貸し手にできるだけ資金を取り戻させることを倒産制度の目的とする国もあり、
救済する価値のない事業を救済する費用について不満もある。
かたや、倒産法制が健全だったかもしれない事業を解散させしてしまうこともある。