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夏が終わる

8月31日。
夏休みが終わるから、夏が終わる。
この歳になってもその感覚が拭えないのが不思議だ。

体調不良の時、親友が東京から会いに来てくれた。
東京からわざわざ京都に。
「今のあっけに会いたい」って言う、ただそれだけの理由で。

もうずっと化粧をする気にもなれなくて、髪も整えずに過ごしていたから、写真なんて撮る気になれなかったのに、
せっかくだから撮ろう!って言ってくれて、
大丈夫!可愛く加工するから!!っていう心強い言葉もくれて笑、記念に写真を撮った。


今日、たまたま見返して、
あぁ、もう二度とこない時間を残してくれてありがとう。
って心から思った。

嬉しかったのは、あたしがきちんと可愛かったからかもしれない。


喪失。


夏が終わる。何を失ったのかも分からぬまま、あたしは夏から抜け出せない。秋になり、冬になっても、あたしはきっとこの夏に閉じ込められたままかもしれない。

誰かが「ゆっくりでいいよ」っていう。
そんな声が、経験から聞こえる。
あたしは、あたしに繰り返す。
ゆっくりでいいよ。
花が枯れたらまた差して、火が消えたらまた灯して、
気が済むまで眺めていていい。

そうして緩やかに、いつかこの夏から抜け出す。

その時溢れる言葉を、どうか疑わぬように。
喜びを幸せを受け入れられるように。

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