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認知症かも?と思う時

みなさん
認知症の人と接する時
この人が、いつから認知症を自覚して
どのような経緯を経て、今の状態に至るのか
気にされたことはありますか?

入院してくる認知症の方も
いきなり
場所がわからない
何度も同じことを聞くなどの認知機能障害が 出ているわけではありません。

私は、物忘れ外来にいらっしゃる患者様に
認知機能検査を行っています。
この物忘れ外来。
生活上の困りごとを抱えていらっしゃる方や、
家族の介護をしていて、「自分が認知症になったら困るから」の理由で認知機能が大丈夫なのか…の確認にくる方など、理由は様々です。

この「物忘れ外来」
基本的には、ご自分が認知症なのか心配
と、自覚をしている方が来ることが多く、
ほとんどの方が
HDS-Rが25点以上の「年相応の物忘れ」や
「MCI」の方であり、生活障害を持たない方が
多いです。

この様々な理由の中でも、
外来で検査を行う前に、視診だけで 
「あ、今日の方は認知機能が低下しているのかもしれない」と私が慎重に聞き取りをする心構えを持つ、そんな傾向があります。



認知機能が低下していると気づく

私が、外来に行きまず確認すること。

  1. 付き添いの方がいるかどうか
    付き添いの方がいる場合、1人では外来通院出来ていない可能性や、本人には物忘れの自覚がないが、家族には生活障害が見えている…そんな傾向があります。

 2.   身なりや、身体の清潔が保たれているか
   生活障害を抱えている場合、セルフケアの 
   充足ができるのかが鍵になります。
   髪の毛の状態や、口臭、皮膚の汚れ、着衣
   のみだれや、季節に合う服装ができている
   かなども確認しています。

 3.   診察室までの歩行状態、問いかけへの反応
   生活障害を引き起こすのは、認知機能の
   低下だけではありません。
   身体機能の低下や、活動状況
   言語的コミュニケーションを阻害する
   失語や構音障害なども確認します。

認知機能前の聴取

診察室にお通しして後、
まずはなぜ物忘れ外来へいらしたのか
「きっかけ」の聴取を行います。

この時傾向として、付き添いのご家族がいらしている場合、ご家族だけのお話ではなく
必ずご本人のお話も伺います。   
☝️ご家族が見ている生活障害
・同じものを何個も買う
・毎日同じところに行くけど、目的を果たさずに 
 戻ってくる
・公共交通機関を使わなくなる
・部屋から出てこなくなった
・何度も同じことを聞いてきて、聞いたことも
 覚えてない
・最近好きなことをしなくなった

などの、家族の見えている認知機能低下に対し
ご本人は
☝️え?そんなことあった?
 そうかな…
 そんなことないよ
 これで合ってるよね?

などの大きなギャップがある場合
認知機能の低下は疑わしくなります。

中には、仕事を辞めるもしくは、定年を迎え
24時間一緒にいるようになったら
初めて見えてくるようになった…という方が多いという事もあります。

高齢者の単独世帯が増えている昨今では、
この認知機能の低下に気づいてくれる人がいない
という事が、認知症の方が地域で生活障害を抱えている大きな要因でもあり、
認知症初期集中支援の重要さが実感できます。


傾向として、ご本人1人でいらっしゃる場合
認知機能検査、聞き取りを行っても
生活障害につながるような結果にはならないことが多いです。ではなぜ?物忘れ外来にいらっしゃるのでしょうか。

認知症かも?と心配する背景

この背景には「介護をしている」
という理由が多いです。
配偶者の認知症介護
障害者である子供の介護
自分の親と配偶者のw介護  
孫の世話もしていて、自分が倒れるわけには
いかない   など

これを理由に、物忘れ外来で確認しておきたい
安心したい…という方が多くいらっしゃるのです。特に配偶者の認知症介護をおこなっている方は、認知症の人をより近くで見ている分
認知機能の低下していく経過をご自身に当てはめることが多いようです。
主人の時も…
最初の時と似ている気がして…
と話される方がいます。

徐々にわからなくなる独特の世界に行ってしまう配偶者を目の前に、怖さや不安を抱くのは、
ご本人だけではないということが伝わり、
家族のサポートの重要性を改めて感じます。

物忘れ外来は、認知機能検査や早期診断以外にも
家族や本人の不安表出や相談の場
でもあり
大きな意味を持つと感じています。

認知症かも?と思う時
病院の生活では見えない生活障害までの聴取を
行う看護師がなかなかいないのも現状です。

せん妄症状を認知症と判断する…というような傾向もあるかもしれません。

認知症だと病院看護師が感じる時、
その人の入院前の生活でどのような生活障害があったのか…
それを聞き出せるかどうかでも、入院中の関わり方は変わってきます。

認知症かも…と思う時
医療者と、ご本人達の間には
大きなギャップが存在している。
そうも思うのです。

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