ラーメンズはいいぞ

ラーメンズとPPAPからみる、笑いと情報制限の効果と効能

おはようございます。あきめもです。
先日会社の同期に「事業部全体の集会で、推してるものを語るコーナーがあって、そこでラーメンズのことを語ってくれない?」という依頼がありましたので10秒で快諾しました。

確かDMで連絡がきてからスケジュールと時間を把握してOK出すまで2分程度だったと思います。
と、いうことでノリノリで作ったラーメンズはいいぞ、という資料を元に
ラーメンズとPPAPの相互性について考察した文章を書いていきます。

ちなみにはじめましての人向けに私は誰かという自己紹介をしますと、
7歳でニコニコ動画のフラッシュ動画で「千葉滋賀佐賀」で爆笑し、そのまますくすくと育ち大学卒論で5万字のラーメンズ評を書いた人です。
ラーメンズが好き〜〜〜〜!!!!というかお笑い文化とアートが大好き〜〜〜〜!!!!!!
すみません、落ち着きます。



今回の伝える対象整理


【聞き手】会社の事業部の社員(事業部長含む)
【属性】クリエイター
【ラーメンズについて】多分知らない人がほとんど


伝えたいこと整理



【今回のゴール】聞き手が私の話を聞き終わったあとラーメンズ公式からコントを見漁ること
【伝えること】ラーメンズの何が推していて、何がすごいのか2点にまとめる。



本編━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


さて、早速本題に入りましょう。

今回はラーメンズを知らない人に魅力を伝える前提で話すため、
PPAPの話題に入る前に個人的にラーメンズの好きな点をまず伝えました。
(書き始めたら長くなってしまいました。お付き合いください。)

ラーメンズはいいぞ

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何を言っても「優しい笑い」を徹底するストイックさ。
確かにデビュー当時はブラックユーモアが入った笑いもちらほら見られますが、公演を重ねるにつれ、以下の項目がどんどん少なくなっていきます。


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貶める笑いや、人を馬鹿にする笑い、もしくは大事件が起こるような笑いはインパクトが強いです。なので手っ取り早く笑いを起こしたり、インパクトを出そうとすると便利な表現です。

が、脚本を手がける小林氏は自ら禁止しました。
その理由について小林氏は以下のように語ってます。

事件を起こしたくないんですよ。人が死ぬとか銀行強盗とか大惨事とか。そんなのドラマがあるに決まってるじゃないですか。それがない状態で同じような見応えを作ることができるなら、絶対そっちのほうが上質だと思うんです。ラーメンズが衣装替えをしないのもそこなんです。セットがないのもそこなんです。セットや衣装に見応えがあったら、弱い脚本でも面白いかのように見えてしまって、これは損なんです。脚本家が育たない。これは僕の欲ですね。

極端でない、激しくない、登場人物にとっての日常で見応えのある作品をつくれる実力、商品としてのクオリティに昇華させるためには、ストーリーやセリフで面白さを的確に表現する脚本家と表現者の両方の実力が必須になります。


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例えば同じホラーテイストのコントを比べると、
バナナマンのコント「ルスデン」ではオチに照明や小道具で「死」を匂わせる演出をしています。
一方、ラーメンズのコント「採集」はラスト「え!!?」という瞬間で暗転。
直接描かずに、後の展開は観客の皆様の想像でどうぞ、という余韻を残した演出になっています。

どちらがいいかという話でなく、このような激しい表現を使わずにコントを書くというのは表現者小林さんのこだわりであるという点をお伝えしたかったんです。

はい、ようやくタイトルの内容を伝えていきます。

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ミニマム、とは「最小限。最小。」という意味です。

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そもそもコントとは、「短い物語、童話、寸劇」という意味でありまして
お笑いでいうコントは物語の状況と人間の関係性を伝えた上で
条件の異常さやズレを観客に伝え、観客は自分が想像する常識と照らし合わせて目の前に提示される非常識・非日常の差異に気づいて笑う、
というのがコントの笑いが起こる流れです。


例として東京03のコントを拝借して見てみますと、
衣装や小道具があって状況と関係性がわかりやすい演出です。
東京03はキャラクター同士の会話が巧みで、私も大好きなグループです。
めっちゃ面白いですよね。

さて、一方ラーメンズのコントを見てみましょう。

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「黒い!!!もしくは白い!!!!!」

そうなのです。二人の衣装も二人がいる環境も
二人の行動や言葉から察するしかありません。

小道具や大道具、装飾、衣装替えなどを制限した意図とは…


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これにつきます。
さらに言うなれば、情報不足によって観客の想像力があってこそ
コントの中の関係性の妙が際立つ構造になっています。


情報不足で笑いを最大化している例と言えば…


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そう、PPAPですね。(やっと出てきた!)

ピコ太郎の変な風貌と、軽やかにリズムに乗るシュール、だけど見入ってしまうたったの1分の動画は、世界を駆け巡り、世界的な大ブレイクしました。

ピコ太郎のプロデューサー・古坂大魔王氏は著書『ピコ太郎のつくりかた』で「見えないものを見せる」演出をし、情報を濃くしていると書いています。

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PPAPの動画で一番見せたいところ、笑って欲しいところは
「ピコ太郎のおとぼけ顔」「リズムの良さ」。

PPAPの音楽には、音楽とお笑いの共存を探り続けていた
古坂大魔王氏のこだわりのこだわりが詰まった傑作です。

しかし、もし意図的に省いた情報が動画の中に採用されていたらどうでしょうか。

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観客は別の情報に気を取られ、伝えるべき笑いのポイントがうまく伝わらなくなってしまいます。

PPAPが意図的に情報を制限し、笑いを最大化しているということを
確認した上で、ラーメンズが情報制限した意図と目的を考察してみます。


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コントで伝えるべきことは、
観客が暮らしている中で持っている日常や常識からズレを提示し、
人間関係・状況の上の面白さをきちんと伝えること。

伝える過程で、衣装がえもなくほぼ白か黒かの何もない舞台で
みじかな最小限の言葉とパントマイムのみで状況と人間関係を伝えることで、
観客が余白に自分の生活を当てはめ、よりコントの中の非日常が際立つ演出になっています。すごい。現代版落語だ。


この情報不足な舞台を作る、ということは、
ラーメンズが目指す笑いを叶えるために大きな意味をもたらします。

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流行り廃りがない言葉と事象のみを取り扱う。
小道具・大道具を省くことで時代が変わっても伝わる内容にする。

そうすることで、流行り廃りが大きな笑いの文化の中で
古くならない、古典のような笑いを作り上げることがラーメンズの目指すところ。


まとめ


ラーメンズとPPAPからみる、笑いと情報制限の効果と効能をまとめると、
情報制限をすることで
・古くならない笑い
・人種時代問わず笑える笑い
・伝えるべきことを最大限伝えられる濃い笑い

が作ることができるのではないかと思うのです。

私もクリエイターの端くれとして、意図的に情報を制限する、ということを作る時のリストとして意識していきたいと思いました。


さーて、ラーメンズのコントとピコ太郎見ようっと。

▶︎ラーメンズ公式youtubeチャンネル

▶︎ピコ太郎公式youtubeチャンネル


#ラーメンズ #考察 #お笑い

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