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瀬戸内の 海に浮かぶ雲の一片と ひとつの詩を 牛乳瓶に詰め込んで 海にかえしてやろう 雲をつ…
田の水で 洗えよ おまえの脚の指 せわしい暮らしの泥土(どろつち)の 爪の先までこびりつく 田…
きみの名前が 載っていない辞書なんて ただの大きな紙の束にすぎない きみの秘密が書いていな…
凍りついた星空をさまよう 人工衛星のスピードは 六千年分のかがくと ひとのゆめの重さに耐え…
国や社会をよりよくしたいと 一生懸命に働くよりも 毎日好きな歌を歌って暮らしてゆくほうが …
透明な指と 指のあいだから 「見えないもの」がこぼれおちる 埃まみれの手のひらには 「見え…
優しさ のようにみえるもの それは弱さかもしれない 真心 のようにみえるもの それはプライドかもしれない 美しい とかんじる絵 それは残酷な絵かもしれない 人間 のように笑うきみ きみは宇宙人かもしれない 人間 のように生きるぼく ぼくとは ぼくとはいったい なんだろう
このごろ、 悲しみが せわしない わびしさが かまびすしい。 このごろ、 思いやりが すりへ…
異郷の道で すれ違う人との即興詩 だれかがそれを 旅と名づけた 見知らぬ土地の 小さな詩の一…
とぎれとぎれになる夢を いくつかみたのさ列車に揺られ 遠くには凍りついた銀河と まぼろしの…
世界の入口は たとえば握りしめた拳のなかに 子指と手のひらとのわずかな空隙 そのささやかな…
あれもこれも ほしいのは 自分自身がからっぽだから 人が空に はばたく翼の夢をみるとき 朝鳴…
勝利の歌より やわらかな歌がいい つきさすような深夜の 自販機のあかりより 月あかりがいい …
「サヨナラだけが人生だ」 と、ある詩人が云った。 若いぼくは 詩人のキザに いやけがさした そのころぼくは まだなにも 失つてはいなかった。 ありきたりな詩が あふれかえる世の中で 「サヨナラだけが人生だ」。 いま、ぼくは その言葉だけが この世でたつたひとつの ほんとうの詩なのではないかと おもつている。