見出し画像

赤磐市子育て支援事業の背景と効果

再び赤磐市議会での質疑からの記事です。

政治的なことをあまり書くのは本意ではないので、できるだけ客観的に。

友實市長の2期にわたる市政の成果を問われての答弁の一部です

赤磐市まち・ひと・しごと創生総合戦略の目標に掲げた子育てするならあかいわ市の実現に向けて実施した子育て支援事業を上げたいと思います。具体的には、35人以下学級の実現、小中学校への全教室エアコン設置、高校生までの医療費補助、高校生の通学補助、保育園待機児童の解消、認定こども園の設立、産官学による学力向上プロジェクト、りんくステーションの設立等、様々な事業を実現いたしました。特に高校生までの医療費補助保育園待機児童ゼロの充実した子育て環境は、赤磐市へ転入された子育て世帯からの転居の動機として最も多くお聞きする理由ともなっております。

この成果を見ていく上では、背景を少し理解しておく必要があります。

データを赤磐市まち・ひと・しごと創生人口ビジョンから引っ張ってきて、考察したいと思います。

赤磐市の人口動態

まず、どこの町でも、国としても頭の痛い問題として、人口減があり、赤磐市も例にもれず人口減の可能性があります。可能性と書きましたが、何もしなければ、確実!!にというものです。様々なシミュレーションがあり、4つのケースごとの人口変動を示しています。現在の赤磐市の出生率は1.59なので、パターン2が現在の状況から予測される未来ということになります。なお報告書のだいぶ後ろのほうにあることと、別のグラフの存在から危機感のミスリードになっているように個人的に思いました。つまり、市としての目標は3万人を維持することで、これを念頭に置いた将来人口減のグラフが、報告書冒頭に掲載されています。しかし、以下のグラフのパターン4は出生率2.07+社会移動増(転入超過)を想定したものであり、結構難易度大の目標になっています。

画像1

なお、転入転出についても、報告書ではかなり詳細に分析しており、現在わずかではありますが、転出超の状態になっています。

ところで、さすがに100年のスケールでのシミュレーションは混乱を生み出すだけのような気がするので、現実的な表現の仕方をしたほうが良いようには思います。


さて、したがって、赤磐市としては、子育て世代にどんどん転入してもらって、市内での仕事や就学を増やし、限界地域を何とか回していくことをしなければいけないという目標を立てている。

若い世代の結婚・出産・子育てに関する希望を実現する
• 結婚を希望する人が結婚でき、さらに安心して出産・子育てができる環境づくりを進め、出生率の向上を図り、自然減に歯止めをかける。

市内での就職や市内への移住・定住がかなう、安心して住み続けられる赤磐市にする
• 市内の雇用創出、生活環境や子どもの教育環境の充実など、魅力的で住みやすい地域づくりを推進することで、若い世代の就職等による転出に歯止めをかける。
• また、赤磐市の魅力を積極的に発信することにより、UIJターンによる転入・定着を促進する。

将来的に人口減少が見込まれる地域にあっても、拠点的地域
において生活機能を確保し、地域活力を維持する
• 拠点的地域において、日常の買い物や医療など市民の生活に不可欠な生活サービスを確保し、市外への人口の流出を食い止めるとともに、都市部との交流人口の拡大などを通じ、地域活力を維持する。

子育て支援の成果

この目標において、子育ての充実を図り、流入者を増やすという取り組みは的を得たものであるように思います。

例えば、就学前までの人口の増減をみてみると、一貫して生まれた時よりも就学前までの人口が増えているので、いきなり3歳児が生まれることもないので、転入超過であることがわかります。

画像2

また、より直接的なデータとしては、以下のように、30-39歳の子育て世代の転入超過が一貫して大きな比率を占めていることがわかります。

画像3

このデータだけを見ると、2017年落ち込んでいた転入が2019年にかけて回復してきており友實市長がいう子育て支援の充実による成果といえるかと思います。

ただし、市長が主張する、子育てが理由で転入してきたかどうかはさらに検証が必要ではないかと思います。なぜなら、市民に取ったアンケートで、転入の理由として、子育てが必ずしも理由ではなさそうだからだ。最も高い理由は、住宅購入コストが安いからということである。子育て環境が充実しているからというのは大きな理由は大勢を占めていないことがわかる。もちろん、この一点だけのデータでは施策の効果はわからないので、今後のデータを検証したい。

なお、市長の「赤磐市へ転入された子育て世帯からの転居の動機として最も多くお聞きする理由ともなっております。」発言はこのデータからすると虚偽になるようにも思います。根拠データを引き続き探してみたいと思います。

画像4


高校生の医療費無料

高校生の医療費無料については、これは素晴らしい政策だと思います。岡山県では市としては、高梁市、備前市の3市しかありません。

高校通学補助

高校通学補助については、ないよりあったほうがいいとは思いますが、もう少し頑張ってほしいところです。

なぜならば、支給対象が非常に限られているためです。

就学の大半を占める県南部への通学に対して、赤坂、吉井地区からの通学者に対して補助が出される仕組みになっています。つまり瀬戸駅などの市外へ移動するターミナルとなる駅等までの市内の交通費に対して補助が出るという仕組みななっています。

これでは、人口の分布から考えても、転入する動機になるには弱いといえます。もちろん、人口減少が大きい地域を維持するという観点では効果があると考えられますので、一つの成果とも思いますが。

画像5

県南部への通学 1451人(96.7%)

県北部への通学 49人(3.3%)


結論

市長、方向性としては間違っていないとは思いますが、データで客観的に説明していただけると、施策のPDCAサイクルが回せるのではないでしょうか?


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?