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好きなものと売れるもの

創作活動を商業的に行う以上、避けられないのは売上の問題です。ライトノベル、漫画、小説、イラスト、ゲームなど、一定の数以上売れなければ続編の制作や活動の継続が難しくなります。

創作者としてどれほど続編を望んでも、商業的な理由で売上が伸びない作品は容赦なく打ち切られることがあります。

これは精神的に大きな打撃となります。

特に愛着を持っている作品に対しては、その苦しみは一層深く、仕事を辞めたいと思うほどです。

■自分が好きなもの=売れるものではない

創作者はしばしば、「自分が好きなものが必ずしも売れるわけではない」という現実を直視しなければなりません。

多くの場合、創作者は自分の好きなものを表現することから創作活動を始めます。

多くの人が、お気に入りのアニメ、ライトノベル、ゲームに触発されて創作を始めることでしょう。

そして、それらを広く普及させたいと考え、商業作品として制作・販売したり、インディーズでの販売、出版社による書籍化を目指す人も少なくありません。

しかし、誤解しやすいのは「自分が好きなものが多くの人に受ける(売れる)」という点です。

自分の好きなものが他人にも受け入れられると思い込むと、それは不幸の始まりかもしれません。

たとえば、70年前のモノクロ映画を愛していても、それを現代の若者に提供しても、彼らはモノクロ映画に魅力を感じないかもしれません。

現代の鮮やかなカラー映画や、人気の声優や俳優が出演する映画の方が受けが良いでしょう。

映画は一例に過ぎませんが、ニッチなジャンルや過去に流行った作品についても同様のことが言えます。

若い作家やクリエイターがヒット作を生み出しやすいのは、彼らが時代の感覚に合致しているからです。

しかし、年齢を重ねると時代の感覚とのズレが生じやすくなりますし、もともとニッチなジャンルに影響を受けていた場合、そのままでは売上を上げるのが難しいかもしれません。

■売れる作品を書けというわけではない

売れる作品を書くことが目的ではないということですね。

現代のライトノベル市場では「異世界転生」「悪役転生」「悪役令嬢」「後宮」「現代恋愛」などが流行していますが、「ロボット」「SF」「本格ミステリー」はマイナージャンルとされています。

しかし、マイナージャンルに魅力を感じて創作活動を始めたのに、主流ジャンルに合わせて作品を作るのは苦痛でしょう。

自分の好きなものを広めるために作品を作っていたはずが、気がつけば売れるために好きでもないものを書いてしまうのは本末転倒です。

実際に売れればよいですが、無理に書いたジャンルの作品は売れないことが多く、創作者の情熱がなければ、読者にもそれが伝わってしまいます。

■マイナーだから売れないわけではない

ニッチやマイナージャンルが売れないわけではありません。

『ヒカルの碁』は囲碁を題材にしていましたが、囲碁ブームを起こしましたし、『ちはやふる』は競技カルタを題材にしてアニメ化・実写映画化され大ヒットしました。


■好きなものが売れるための工夫をする

「どうしたら売れるか?」「どうしたら受け入れてもらえるか?」を考え、実行することが大切です。

初心者にもわかりやすい内容にしたり、マニアックな内容を緩和したり、主流ジャンルの要素を取り入れたり、時間をかけて自分の好きなジャンルを広めたりする努力が必要です。

『ちはやふる』は部活動や青春恋愛要素を取り入れ、学生や女性に受け入れやすくしました。

ライトノベルでは、医療やコンサルタントなどの専門職を異世界転生ものに取り入れ、読みやすくした作品もあります。

さらには本格ミステリ要素+異世界転生ものを加えた結果、大ヒットしたのが『誰が勇者を殺したか?』です。

このように主流の要素とマイナーな要素をうまくミックスすることで、初心者でも読みやすく受けいれやすく、なおかつ新しさを生み出しているわけです。


■浸透するまでに時間がかかるものもある

WEBからヒットした作品の中には、何年も連載を重ねたものもあります。

広く受け入れられるまでには時間がかかることもあるため、すぐに損切りせずに時間をかけて見極めることが大切です。

小さいものから作り、市場やユーザーの反応を見ながらステップアップしていくことも重要です。

■まとめ

マイナージャンルやニッチな題材の作品は、そのままでは売れにくいですが、ヒットすればオンリーワンかつナンバーワンになれます。

しかし、受け入れてもらうための工夫が必要です。

商業商品は購入者ありきなので、どうやって買ってもらえるか、注目してもらえるかを意識しながら作品作りをすることが大切です。

最後まで読んでいただきありがとうございました。


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