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感覚統合の最終地点はここだ!

 子どもは生まれてから、どのようにして感覚を統合させながら成長していくのか、ここまでシリーズにして記事にしてきました。
振り返ってみるとかなりの情報量ですねー。

 毎度おなじみのことなんですが、重力を感じること、筋肉や関節の感覚を感じること、色々な感覚を感じながら成長していくことが分かりましたね。さて、今回のシリーズはこれで最後です。

 1歳~6歳の幼児期は、いろんな運動が出来るようになり、目まぐるしく成長する時期です。ひとつづつ確認してみましょう。

1歳

触られたの位置が分かる
 生まれてすぐの頃から、触られたことは分かるし、優しく、リズミカルに触られると愛情を感じて安心します。これらの触覚はとても大切なことを以前記事にしました。しかし、1歳くらいからようやく、『触られた部分』が分かるようになり、触覚の力が大きく成長していきます。

 また、目の前にあるモノで、見ているだけでは分からないような質感に関する情報なども、触覚を通じてわかりますし、自分の体がどこから始まってどこで終わるのかという情報もわかるようになります。

体の地図を作る
 
ブランコや肩車など体を使った遊びを、これまでよりも楽しむようになってきます。これらの重力を感じる感覚は、体のより細かい動かし方や体の部分同士の関係を脳に伝えてくれます。
 これが脳の中で、体に関する地図を作ってくれます。この地図は、さらに成長した時に、体をより細かく、正確に動かすための土台となってくれます。

子どもに体の絵を描かせると、頭から手が生えてるけど、そういうことかぁ(笑)脳の中に体に関する地図がまだ出来上がってないんだね。

https://teno-kyoshitsu.com/text/kodomono_e/kodomono_e02.html

登る
 
これまでは水平方向の移動が中心でしたが、感覚が十分に統合されていると、登るという行動(垂直方向)が出てきます。
 登ることで、重力の関する感覚と体の動きに関する感覚、視覚が統合されていきます。
 この登る動作には『感覚運動的知能』が必要であり、視覚的空間知覚の発達につながっていきます。

 感覚運動的知能・・・あ、ピアジェの発達段階につながってくるのか。

http://takashiusui.blogspot.com/

 ピアジェの知能発達に関しては、以前にも記事にしているので参考までに。

自我の芽生え
 
養育者から離れて、一人で移動できるようになったり、遊ぶことができるようになってきます。また理解できる言葉も増えますので、こども自身、環境や大人から独立した個人として気付いてきます。

 そうすると、いわゆる2歳の『イヤイヤ期』の入り口にやってきます。
この自我の芽生えは、その後のソーシャルスキルの発達において、とても大切な土台となりますので、親としてはとても大変でしょうが、大切にして欲しい時期ですね。

2歳~6歳まで

 この2歳以降の時期(おおむね7歳くらいまで)は、感覚統合の臨界期と言われています。
 この時期の脳は感覚を受け入れやすく、そして動きに変換しやすいと言われ、色々な動作が上手になりやすい時期です。

道具を使う
 
これまで蓄えた感覚をもとにして、ハサミや紙と鉛筆、ファスナー、ボタンなど、身近にあるものが上手に使えるようになってきます。

 7歳以降になると、子どもは抽象的な考え方が、少しづつ出来るようになってきます。しかし、それが出来るようになるためには、どれだけ沢山、体やオモチャを使って遊んだり、動いたりして具体的な経験が出来ているかにかかっています。

まとめ

 4回にわたって感覚統合の発達について記事にしてきました。
 いかがだったでしょうか?
 縄跳びや跳び箱が跳べません、定規やコンパスが上手に使えませんといった子どもたちの苦手感の背景に、感覚の偏りが潜んでいるかもしれません。
 また、その感覚の偏りが原因で登園渋り、登校拒否になっているお子さんもいるでしょう。二次障がいの背景にもつながっているかもしれません。
 今の状態だけを評価するのではなく、成長の中で感覚の偏りがなかったか確認することも大切ですね。

引用・参考図書


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