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我は湖の子

梅雨が始まる前に夏が来たような陽気が続く。
少し、爽やかな気分を味わってみようか。


われは湖(うみ)の子 さすらいの
旅にしあれば しみじみと
昇る狭霧(さぎり)や さざなみの
志賀の都よ いざさらば

          「琵琶湖周航の歌」

大正時代、第三高等学校(今の京大)のボート部の学生であった方が、
琵琶湖での合宿中に詩を書かれ当時あった曲に乗せて歌ったものだという。
それはそのまま受け継がれ、
現在も京大のボート部部員によって歌い継がれている。

私は歌を二番までしか知らなかったので、題名の意味合いが長い間わからなかった。
本来は六番まであり、きちんと琵琶湖を周航している。
当時、琵琶湖をボートで周航する行事(というか、特訓?)がボート部にはあり、その旅路の中で即興で作られた作品。
そんな成り立ちを信じられないくらい、なんとも清々しく雄々しい爽やかな歌だ。
これだけ心に残る歌を、
まだ学生であった方が、
しかも多分音楽を専門にしておられなかったであろう方が作られたことに、ただひたすら感銘を受ける。

一番の歌詞も素晴らしいが、私は二番の歌詞も好きだ。
湖に浮かぶボートの上から、青年の澄んだ瞳が見つめる風景の美しさ。
下段に二番の歌詞を書かせていただいた。
初夏の湖の爽やかな風が吹いてくる気がする。


松は緑に 砂白き
雄松(おまつ)が里の 乙女子は
赤い椿の 森陰に
はかない恋に 泣くとかや



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