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【フラメンコのサパテアードが上達する方法、①音、②リズム、③フォームと靴選び、と思います】

こんにちは、アキです。
京都でフラメンコを教えています。

今回はフラメンコの足の打ち方、サパテアードが上達するアプローチ方法をお伝えしたいと思います。

まず始めに、フラメンコの足を打つ時に大切な優先順位を考えたいと思います。
大切な順番は、こちらです。
【足の打ち方で一番大切な順番】
①つ目・・・【音】
②つ目・・・【リズム】
③つ目・・・【フォーム】と【靴選び】
です。

順を追って説明していきましょう。

フラメンコを習い始めた時に、一番最初に習うのが「姿勢」です。
「真っ直ぐ立ちましょう!」
「体を縦一直線にしましょう!」と、教わると思います。
そして、そのままの姿勢で基本的な足の打ち方を習います。
基礎打ちのプランタ(つま先)、タコン(かかと)、ゴルペ(足裏全面)、プンタ(足先)などの単発で打つ方法は難なく打てると思います。
しかし、問題は3連、4連のパソを打つ時や早いリズムのパソ、複雑な組み合わせのパソを打つ場合
●タコンの音が鳴らない・・。
●リズムが早くなってしまう・・。
●足に力が入って、すぐ足が疲れる・・。
いろんな、お悩みをお持ちの方もいらっしゃるかと思います。

まず、足を床に打ち込む動作。
これを【踊る】という感覚ではなく、【楽器演奏】をしている感覚を持った方が良いと思います。
【楽器演奏者】をイメージしてください。
ピアノでもギターでも何でも構いません。
ピアノを弾く人やギターを弾く人も、最初に習う基本の弾き方は同じだと思います。
しかし、リズムが複雑な演奏だったり、高度なテクニックが必要な演奏になると、演奏者は自分の弾きやすい体勢で楽器を弾くと思います。

ピアノ演奏者なら、背中を丸くしてピアノに顔を近づいて弾く人もいれば、上半身を後ろに仰け反る人、飛び跳ねるように弾く人もいます。
ギター演奏者も、ギターを顔に近づいて弾く人もいれば、ギターを太ももに押し付けて弾く人、ギターのネック部分を激しく上下に振りながら弾く人もいます。
つまり、演奏者にとって最大の目的は【音を出す】ことです。
【音を出す】【音を奏でる】ことが、最大の目的なので、基本的な演奏スタンスとテクニックが必要な演奏スタンスは、体の軸や体重移動の速度、重心やポジションが多少違ってもいても構わないんだと思ったんです。

この考え方で、フラメンコの足の打ち方を考えてみます。
まず、基本打ちでしっかり音が鳴る重心とスタンス、そして3連、4連の早打ちや複雑なサパテアードを打つ時の重心とスタンスは、個人差があり、人それぞれ違いがあると思いました。

フラメンコの基本姿勢から基本的な打ち方が出来るようになったら、次は早打ちや複雑なパソを打つ時は「音がしっかり鳴るスタンスと軸と重心」を探し出します。

ここで、前回ご紹介した『4スタンス理論』を参考にします。
高度なテクニックが必要なパソの場合、体重はつま先にかけた方が良いのか?
かかとに体重をかけた方が良いのか?
両足は揃えた方が良いのか?
両足を少し開いた方が良いのか?
足の上げ下げの軌道は、膝下部分を後ろに振った方が良いのか?
小さく行進するように、膝の位置を上下して打ち込んだ方が良いのか?
自分の打ちやすい足の軌道と重心と軸とスタンスを探して行きます。

次に、片足立ちをします。
足の筋力が少し弱い方でも、筋力をあまり使わずに、楽に片足で立てるポジションがあります。
その位置を探して出してみてください。

片足立ちのポジションと軸を見つけたら、反対の足を打ち込んでいきます。
片方の足は地面に着いたまま、もう片方の足はゴルペ、ゴルペやタコン、プンタのように連続して打ち込んでいきます。
この時、体の重心や軸がブレにくい足の上げ下げの軌道と、綺麗な音が鳴る場所を探していきます。

次は3連、4連のパソを打って行きます。
パソの型は、何でも構いません。
この時に音が鳴らなかったり、リズムが崩れたり、足がすぐに疲れてしまう場合は、足のポジションを変えてみてください。

両足を閉じてみたり、開いてみたり、前後に足を開いてみたり、ガリ股やウチ股にしてみても良いと思います。
必ず、音がしっかり鳴り、尚かつ楽に打てるポジションがあると思います。
打ち込む足も床に打ち込む場所も軸足から少し遠くしてみたり、近づけてみたり、少し前に出したり、後ろにしたりして、音が綺麗に鳴る場所と、バランスがきちんと取れる場所を探します。
自分が打ちやすい軸足の位置と、打ち込みやすい軌道と位置をひたすら見つけ出してみてください。
高さも調節してみてください。
膝を少し深めに曲げた方が良いのか?
膝をより伸ばした方が良いのか?
自分のベストポジションと重心、スタンス。
足の上下運動の軌道、膝の角度を探してみてください。

次に行うのは、【リズム】を綺麗に均等に打ち込む練習です。
基本的なサパテアードのパソを、リズム良く打ち込む練習をします。
ここで大切なのが、先程と同じように自分が打ち込みやすく、音がしっかり鳴るポジションとスタンスと重心を保ちながら打ち込みます。
人によっては、基本姿勢からズレていたり、少し歪みがあるかもしれませんが、気にせず【音とリズム】を重視して練習してみてください。
リズミカルに打てない場合は、打ち込む足の位置をいろいろと変えてみたり、重心を前後左右に乗せかえながらリズミカルに打てるベストポジションを探してみてください。
軸足の近くで打ってみたり、右足だけ前に出してみたり、後ろにズラしてみたり、ガリ股ぽくしてみたり。
【音がクリアに鳴る&打ち込みやすい位置&リズミカルに打てる足のポジションや位置を探す作業】をひたすら行ってみてください。

そして、自分のベストポジションと軸&ベストスタンスを見付け出し、リズミカルに打てるようになったら、体全体のフォームを整えます。

と言っても、自分のベストポジション&ベストスタンスをしっかり保ったまま、シルエットを整える程度で良いです。
少し背筋を伸ばしてみたり、ブラソやスカートを使って装飾してみたり、顔の位置を変えてみたりして、シルエットを整えたら「出来上がり!」です。
後は、練習&訓練のみです。

【音が鳴るポジション&スタンス探し➡3連4連のリズム打ち➡シルエット作り&姿勢を整える➡曲種のパソ練習】です。

私がレッスンで教えている生徒さんの中に、何年も練習しているのに上達しなかったサパテアードが、この方法でアドバイスしてあげると、たった数分で打てるようになられた方が何人もいらっしゃいます。
ぜひ、お試しくださいませ。

そして、もう一つ大切な事が【靴選び】です。
今は、いろんなデザインのフラメンコシューズがあり、メーカーによっては色や型、ヒールの高さなどをカスタマイズして、自分好みのオリジナルの靴が購入出来るようになりました。
しかし、このデザイン重視や他人のお勧めを鵜呑みにして、靴選びを失敗している場合もあります。

先日、ある生徒さんにこんな出来事がありました。
その生徒さんは、フラメンコ歴10年以上の方です。
彼女がレッスン後、私にお悩みを相談されました。
「先生のアドバイス(①~③)を実践して、家でも毎日練習しているのですが、全然上達しません。どうしたら良いですか?」と、おっしゃってこられました。
私は「家で練習している動画を送ってください。練習姿を前からと、後ろからと、横から撮った動画を送ってください」と、彼女にお願いしました。
数日後、送られてきた動画を何度か見ている時、彼女の足首の角度に違和感を覚えました。
かかとを上げた時、足の甲に少し引っかかりがあるのを見つけました。
実はその方、ダブルベルト(ベルトが2本あるデザイン)の靴を使用していました。
彼女は、「〇〇先生に勧められたてダブルベルトを購入した」と、おっしゃったんです。
実は、彼女はつま先タイプの方で、ダブルベルトを勧めた先生は、かかとタイプだったんです。
つま先タイプの人は、かかとタイプの人より比較的足首の可動域が広く、かかとがしっかり上がる方なのですが、ダブルベルトのデザインによってかかとを上げる際に、ベルトが足首近くまであるため、足首の動きが制限されて上がらなくなっていました。
彼女はレッスンでも、3連や4連の練習の時に常に早く打ってしまう傾向がありました。
その原因が、自分に合わない靴選びをしていたのでした。
彼女の練習動画を見終わった後、靴を代えるようにアドバイスしました。
以前、使用していたワンベルトタイプの靴に代えた彼女は、「ダブルベルトの靴より打ちやすく、かかとも上がりやすい!」と、おっしゃってました。
彼女自身も、まさか靴に原因があるとは考えもしなかったそうです。

フラメンコシューズの選び方は、「楽器選び」と同じように考えて選んだ方が良いと思います。
自分の肌質、足の型、筋力、経験年数を考慮して、素材はスエードか、皮が良いのか?
ワンベルトか、ダブルベルトが良いのか?
ヒールの高さは、低い方が良いのか?
高い方が良いのか?

一番良いのは、試着して試し打ち出来るのが良いと思います。
東京にお住まいの方は、フラメンコ専門店がたくさんあるので試着出来る機会はあると思いますが、お住まいの地域によっては試着出来るチャンスがあまり無い地域もあるので、とても残念です。
(私が住む地域も、フラメンコシューズを試着出来るチャンスがないので残念です・・)

後、フラメンコシューズ(スペイン製品)あるあるなんですが、同じメーカーの靴でも、色やデザインによって材質が違っていたり、見本の色を見て注文したのに微妙に違う色の靴が届いたり、酷い場合は右と左のベルトの長さが違っていたりします。
購入するされる場合は、心構えと広い心で注文された方が良いと思います。
どうしても「嫌だ!」と思われる方は、シンプルな黒色のデザインを選ぶか、店舗に出向かれた方が良いと思います。

出来るだけ、ネットやSNSの情報を見ていただき、自分に合ったシンデレラサイズ&デザインのフラメンコシューズを見つけていただければ幸いです。

それでは、次回は【フラメンコのブラソ(腕)のアプローチ方法】をお伝えしたいと思います。
次回も、どうぞよろしくお願い致します。







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