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極めて緩やかな景気回復継続を示唆する、国枝慎吾氏の国民栄誉賞受賞―景気の予告信号灯としての身近なデータ(2023年4月24日)―

「ESPフォーキャスト調査」に一時的に出現した景気後退説が、4月調査で消える

日本のエコノミストのコンセンサス調査の「ESPフォーキャスト調査」によると、景気の状況が不透明な中、2月調査で景気後退説を唱えるエコノミストが初めて1人だが現れました。3月調査でも1人いました。
但し、2月・3月いずれの調査でも、他のフォーキャスターは「過ぎていない」と回答していました。そして、4月調査で、景気後退説を唱えるエコノミストは、いなくなりました。
景気後退説は、景気の山を22年8月としていました。景気動向指数の一致系列採用指標の第1系列である鉱工業生産指数が22年8月の100.2をピークに5カ月目に当たる23年1月の90.7まで低下基調だったことなどからの判断だったのでしょう。しかし、2月が94.9に戻りました。3月の生産指数の大幅低下はなさそうで、22年8月からの低下基調は23年1月までで一応止まった可能性が大きいとみられます。
鉱工業指数関連の採用系列が、年内に基準改定される予定であるなどの理由で、正式な景気の山の判断が最終的にどうなるかはまだわかりませんが、回避される可能性の方が大きそうです。
「足踏み」状態の日本経済ですが、政策などが足を引っ張らなければ、個人消費やDX投資などの設備投資を中心とした、極めて緩やかな景気回復継続は期待されると思われます。日銀総裁が植田氏に交代しても、金融政策はスムーズに受け継がるとみられるので、景気の波乱要素になる可能性は小さいと思われます。

過去、スポーツ選手が国民栄誉賞を受賞した時は景気の拡張か、低迷していた景気が拡張に転じるかのいずれかに

車いすテニスの国枝慎吾氏に3月17日、国民栄誉賞が授与されました。
国民栄誉賞は景気と深い相関があります。過去、羽生結弦氏までの国民栄誉賞のうち、スポーツ選手の受賞は13人(うち1つはチーム)でした。そのうち11回は景気拡張局面でした。景気拡張局面に当たらなかった2回は77年の王貞治氏と12年の吉田沙保里氏です。王氏の時は受賞の翌月が景気の谷となって拡張に転じ、吉田氏の受賞時は景気の谷で、受賞を境に景気は上向きました。
国民に夢と感動、社会に明るい希望や勇気を与えたスポーツ選手が国民栄誉賞を受賞する時は景気の拡張か、低迷していた景気が拡張に転じるかのいずれかになっています。なお、これに対し、文化人などスポーツ選手以外の受賞時は、景気の拡張局面と後退局面はほぼ半々です。

※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。