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5月有効求人倍率は4月とほぼ同水準か。5月完全失業率は4月から低下を予測。5月新設住宅着工戸数・前月比は反動増で増加を予測。―日本の主要経済指標予測(2023年6月15日)―

5月有効求人倍率は3月・4月と同水準の1.32倍程度か(6月30日発表)

5月30日に発表された4月の有効求人倍率は1.32倍で3月と同水準でした。厚生労働省がハローワークにおける求人・求職・就職の状況をとりまとめ、求人倍率などの指標を毎月公表しています。有効求人倍率の1.00倍は有効求人数と有効求職者数が同じであることを意味し、1を上回ると有効求人数が相対的に多いことを示唆します。
新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが2類から5類に変更されたことでの売上増への期待感から、宿泊・飲食サービス業の求人は前年同月比+8.2%と増加しました。一方、建設業や製造業では人手不足感があるものの、原材料費や光熱費の高騰のあおりを受け、求人を見送る動きがありました。
5月の有効求人倍率は1.32倍程度と4月の1.32倍と同水準になると予測します。
景気ウォッチャー調査の雇用関連の現状水準判断DI(季節調整値:50が景気判断の分岐点)は22年 10月の52.8をピークに1月の47.2まで低下基調にありましたが、その後2月51.2、3月53.9、4月53.4、5月は54.4へと振幅を伴いつつも改善基調で推移しています。一方、やや先行性があるとみられる新規求人倍率は4月2.23倍で、3月2.29倍に比べて0.06ポイント低下しました。

※2023年5月は筆者予測値

5月完全失業率は2.5%程度と4月の2.6%から低下を予測(6月30日発表)

5月30日に発表された4月の完全失業率(通常マスコミで報じられるものは小数点第1位までの季節調整値)は2.6%で、3月の2.8%から0.2ポイント低下し、3カ月ぶりに改善しました。完全失業者数(季節調整値)が180万人と、3月から▲15万人と減少しました。それまでの前月差は2月+13万人、3月+15万人と2か月連続で増加していました。内訳をみると、次の仕事を探すなど自己都合で職を離れる「自発的な離職」の前月差が2月+8万人、3月+6万人と2か月連続で増加したあと、4月は▲9万人の減少で、73万人になりました。「自発的な離職」の動きは、コロナ禍での自粛的な動きが緩和され元の生活にもろっていく中で景気が良くなっていく期待感が高まったことが背景にあるようです。区切りの良い年度末にかけて次の仕事を探すなど自己都合で職を離れる人が増え、4月には新しい職に就いた人が多かったようです。
4月の就業者数(季節調整値)は6,744万人で、3月より13万人増えました。3月の+17万人増加に続き2カ月連続の増加となりました。
5月の完全失業率(季節調整値)は2.5%程度と4月の2.6%からやや低下すると予測します。季節調整値の完全失業率を小数点第2位(景気動向指数・遅行系列に採用)まででみると、22年9月2.62%、10月2.57%、11月2.51%、12月2.48%、23年1月2.42%、2月2.60%、3月2.81%、4月2.59%と推移しています。原数値の完全失業率を季節調整値にするための除数である23年5月の推計季節指数は1.061で23年4月の1.055よりやや大きいため、季節調整値の完全失業率は4月の2.6%(2.59%)から大きくは上昇しにくいとみました。
また、自殺の原因には経済・生活問題も多く、78年から22年までの45年暦年の完全失業率と自殺者数(警察庁)の相関係数は0.91と、完全一致の1に近い強い正の相関があります。自殺者数の前年同月比は23年1月+7.8%、2月+8.6%の増加あと、3月は▲1.0%と11カ月ぶりの減少に転じました。そして、4月+3.1%と2カ月ぶり増加になったあと、6月15日に公表された5月暫定値は▲19.8%の減少に転じました。こうした情報を総合的に判断し予測しました。

5月新設住宅着工戸数の前月比は反動増が期待されるが、前年同月比は4カ月連続減少か?(6月30日発表)

5月31日に発表された4月の新設住宅着工戸数は、前年同月比▲11.9%減少の6万7,250戸で、3カ月連続の減少になりました。持ち家、貸家、給与住宅、分譲住宅の全利用関係別で減少し、4月としては2011年の6万6,757戸以来12年ぶりの少ない戸数です。季節調整済み年率換算値は前月比▲12.1%減の77.1万1千戸と1969年1月以降の54年4カ月間の中でワースト10の低水準でした。
5月の新設住宅着工戸数の前年同月比は▲0.5%程度と4月の▲11.9%から減少率は小さくなるものの、4カ月連続の減少になると予測しました。4月があまりに低い水準であったことの反動もあり、5月の新設住宅着工戸数・年率換算・季節調整値は83.2万戸程度、前月比は+8.0%程度の増加になるとみました。
景気ウォッチャー調査の住宅関連の現状水準判断DI(季節調整値)は、22年10月42.0、11月42.2、12月39.3、23年1月40.7、2月40.0、3月42.3、4月42.6、5月43.2と23年に入って50を下回る水準ながら、徐々に改善していることなどを参考に予測しました。

※2023年5月は筆者予測値

※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。