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4月有効求人倍率は3月から低下か。4月完全失業率は3月から低下を予測。4月新設住宅着工戸数・前年同月比は3カ月ぶりの増加を予測。―日本の主要経済指標予測(2023年5月17日)―

4月有効求人倍率は1.31倍程度と3月の1.32倍から低下か(5月30日発表)

4月28日に発表された3月の有効求人倍率は1.32倍と2月の1.34倍から0.02ポイント低下しました。3か月連続の低下でした。 厚生労働省がハローワークにおける求人・求職・就職の状況をとりまとめ、求人倍率などの指標を毎月公表しています。有効求人倍率の1.00倍は有効求人数と有効求職者数が同じであることを意味し、1を上回ると有効求人数が相対的に多いことを示唆します。
3月有効求人倍率の低下は、求職数が+0.1%増加したものの、企業からの求人数が前の月から▲1.5%の減少となったためでした。特に、建設業や製造業からの求人数の減少幅が大きく、原材料価格や光熱費の高騰で、人手不足であっても新規求人を出す決断ができないことが背景にあるようです。
4月の有効求人倍率は1.31倍程度と3月の1.32倍から低下すると予測します。
景気ウォッチャー調査の雇用関連の現状水準判断DI(季節調整値:50が景気判断の分岐点)は22年 10月の52.8をピークに1月の47.2まで低下基調にありましたが、その後2月51.2、3月53.9と回復した後、4月は53.4へやや鈍化という流れで推移してきています。また、やや先行性があるとみられる新規求人倍率は3月2.29倍で、2月の2.32倍から0.03ポイント低下しました。

※2023年4月は筆者予測値

4月完全失業率は2.7%程度と3月の2.8%から低下を予測(5月30日発表)

4月28日に発表された3月の完全失業率(通常マスコミで報じられるものは小数点第1位までの季節調整値)は2.8%で、事前の予想に反し前月から0.2ポイント高まりました。2カ月連続の上昇です。一見すると雇用状況が悪くなったように見える数字ですが、コロナ禍での自粛的な動きが緩和され景気が良くなっていく期待感が出てきたことが背景にあるようです。区切りの良い年度末に次の仕事を探すなど自己都合で職を離れる「自発的な離職」が前年を12万人上回ったことが、失業率の上昇につながっています。3月の完全失業者数は193万人で、前年同月に比べ13万人増加しました。
4月の完全失業率(季節調整値)は2.7%程度と3月の2.8%から低下すると予測します。季節調整値の完全失業率を小数点第2位(景気動向指数・遅行系列に採用)まででみると、22年9月2.62%、10月2.57%、11月2.51%、12月2.48%、23年1月2.42%、2月2.60%、3月2.81%と推移しています。原数値の完全失業率を季節調整値にするための除数である23年4月の推計季節指数は1.055で23年3月の0.994より大きいため、季節調整値の完全失業率は3月の2.8%から大きくは上昇しにくいとみました。
また、自殺の原因には経済・生活問題も多く、78年から22年までの45年暦年の完全失業率と自殺者数(警察庁)の相関係数は0.91と、完全一致の1に近い強い正の相関があります。自殺者数の前年同月比は23年1月+7.5%、2月+8.0%の増加あと、3月は▲3.6%と11カ月ぶりの減少に転じました。そして、4月暫定値は▲1.0%と2カ月連続減少になりました。こうした情報を総合的に判断し予測しました。

4月新設住宅着工戸数の前年同月比は3カ月連続の増加に転じるか(5月31日発表)

4月28日された3月の新設住宅着工戸数は、前年比▲3.2%と2カ月連続で減少しました。季節調整済み年率換算は87.7万戸でした。4月の新設住宅着工戸数の前年同月比は+0.6%程度と3月の▲3.2%の減少から3カ月ぶりの増加に転じると予測しました。4月の新設住宅着工戸数・年率換算・季節調整値は87.9万戸程度、前月比は+0.2%程度の増加になるとみました。
景気ウォッチャー調査の住宅関連の現状水準判断DI(季節調整値)は、22年10月42.0、11月42.2、12月39.3、23年1月40.7、2月40.0、3月42.3、4月42.6と推移していることなどを参考に予測しました。

※2023年4月は筆者予測値

※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。