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本を作るために書く文章。(2)
本は、何冊か作ったことがある。コピー機でコピーして、折って、束ねて、ホッチキスで止めるだけの本。
子供の頃は漫画を描いていた。だから、漫画同人誌を作った。しかし、ストーリー漫画を描き上げるだけのモチベーションはなかったので、イラストと文章だけで絵物語を描いた。内容はもう、おぼろげにしか思い出せない。クローゼットの奥を探せばどこかにあるはずだけど、億劫なのでそれはしない。
物語はこんなふうだ。--------砂漠の真ん中で夢を見ている少年。夢の中ではオアシスに居た。しかし目覚めると、そこはやはり砂漠の真ん中だった。ふと、手のひらに何かを握っている。見るとそれは夢の中で見つけた四つ葉のクローバーだった。夢の世界から持ち帰ってしまったらしい。そんなたわいもないファンタジー。
2冊目の本は、スケッチブックに鉛筆で描いた絵をコピーして作った。やはり、漫画は描けない。いよいよ、イラストだけの本になった。
3冊目は未完。ポップなイラストを何枚か描いて、ファイリングはしていた。しかし、その後が続かなかった。どこまで寡作なのか。
4冊目は社会人になってから。イラストと同時に、ぼくは詩も書いていた。中学生の頃から書きためていた作品が、ノート何冊か分になった。そこから、気に入っている作品だけを厳選して作った。タイトルは「レトロスペクティヴ*ヴュー」。家族や親しい友人たちに贈呈した。
5冊目も未完。2冊目の詩集になるはずだったけど、ファイルに綴じるだけで満足してしまった。というのも、当時はそれをステージで朗読することの方が楽しかったから。
6冊目は、2012年頃。ロンドンで暮らしていたパートナーと作った。彼が英国で撮った写真をメールで送ってもらい、それにぼくが詩をつけた。日本語と英語の2言語併記。展覧会場で販売した。
7冊目はつい最近。古書に関するエッセイと、初恋をテーマにした短い詩を収録した。いくつかのお店で無料配布した。後に、有料でも販売した。
ぼくが本を作りたいと思う動機は何だろう?本というメディアがすきだから、自分でも作ってみたいというのは確実にある。図書館に並ぶ古今東西の本。そのひとつひとつに、誰かの生きた証が記されている。それは気が遠くなるほどのロマンだ。願わくば、ぼくもその中の1冊を生みだしたい。
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