〈ライアーのおてくにっく〉7.アイソレーションで、丁寧に時をこなす
身体のひとつの部位に集中して動かす運動を
日本では、アイソレーションという言葉を使う。
フランス語は、同じ綴りで、
イゾラションと発音する。
動詞の「イゾレ(isoler)」は、
精神科用語でも使う、「孤立」という意味だ。
イゾラションは、たとえば、窓の結露工事で、
壁から窓を切り離して、独立させて、
結露を起こさないように、
機能させる時などにも使う。
ライアーグループのレッスンは、
すぐに楽器を触らず、
30分の体操をやり、古楽ダンスをする。
古楽ダンスというのは、私が現地で踊っている、
イタリアとかフランスの宮廷舞踊である。
時代は、ルネサンスとバロックの時期。
その時代の動きとリズムを身体に入れ、
ライアーの音楽に生かす、ということだ。
でも、なぜ、この時代かと言うと、
クラシックバレエの元祖であるけれど、
動きがよりソフトなので、
アイソレーションを意識してもらうために、
最適だからである。
また、ライアーの音色には、古楽も非常に似合う。
そしてそのソフトな動きには、
詩があり、言葉がある。
言葉のリズムはそのまま、古楽のオルヌモン、
いわゆる装飾音 (Ornement)に繋がる。
動きがソフトだからこそ、
心に浮かべる身体の動きのイメージと
実際の身体の動きとの意識の一致が、
よく感じられる。
丁寧に人生の時をこなすことは、
丁寧に生きることに繋がり、
等身大の自分と出会い、または発見し、
そこから、自分の人生を変化させることが
可能になるだろう。
それは、ゼロを見つけ出した自分の意識、確信だ。
そして、そういう内側にある平和な心持ちで、
ライアーを弾いていって欲しいのだ。
身体をほぐして温めたり、
古楽のリズムを身体で感じたり、
記憶を刺激したり、
ライアーの音の響きを豊かにする。
しかし、それだけでは、表面的である。
私が、目指していることは、もう一歩先。
ライアーを目の前にした時、
自分の肩がどのように動き、
肘が、手首が、どう動くのか?
それは、右か、左か?
アイソレーションにより、
1番居心地の良い動き、美しい動きを探して、
敏感に感じて欲しいのだ。
ある日、ライアーを辞めて、他の楽器を始めたり、
他の芸術やスポーツを楽しんでいくとしても、
そういう経験が、役に立てらるような、
「多面的な将来的展望」
を人生の中で、常に携帯して欲しいのだ。
まあ、こういうことは、
私の勝手な願いになるのだから、
人に押しつけることは、できないけどね。
ライアーを触った時、
指を弦にのせたその時、
心地良く置くことができたら、
きっと気分もいいだろう。。ということだ。
自分を見つけ、本当の音を探すのは、
ここから始まる。
そしてその答えは、
すべて自分の内側にあると、私は信じている。
それをはっきりと自分で認識し、
それをうまく人に後押しをしてもらった時、
まあ、こんな人生でもいいかな、
と受け入れられる時があるだろう。
それは、かなり曖昧で、
フンワリしたものかもしれない。
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