見出し画像

チャイのお店「CHAIYA」店主まなべさんに聞いた、本業と自分のお店のバランスの取り方。


インタビュー・ライター :
薩川 良弥 (空き家をスナックする会 主宰)


東京・深大寺にある元蕎麦屋の空き店舗「いづみや」。
2018年から空き家をスナックする会が運営を行い、イベント企画やオリジナルメニューの提供など、新しいチャレンジを支える場所として様々な方の活動拠点になっています。

東京・深大寺の参道にある元お蕎麦屋さんの空き店舗を活用したスペースです。

いづみやでスパイスを使用したチャイのお店「CHAIYA(チャイヤ)」の屋号で活動を行なっているまなべさほりさん。平日は食品系の企業に勤めながら、週末の時間を使ってCHAIYAを営んでいます。
まなべさんが大切にする本業とライフワークのバランスやCHAIYAを始めた理由。また今後の展望などをお聞きして「本業と自分のお店のバランスの取り方」についてお話を伺いました。

  • 自分らしい働き方を見つけたい

  • 新しい環境に身を置いてみたい

  • やりたいことがあってきっかけを探している

というような方々の応援を込めてインタビュー記事をお届けします。
ご興味がある方は是非お読みいただけると幸いです。


ーまなべさんは本業の傍らでCHIYAをやってらっしゃるんですよね。

まなべさん : 
はい。私は普段キユーピー株式会社で人事に所属して働いています。
本業では研修プログラムの考案と実習を行なっていて、その中でワークショップを企画することが最近は多いです。
平日は仕事、土日はCHAIYAという形で活動しています。

CHAIYAのまなべさほりさん

ーチャイは元々お好きだったんですか?

まなべさん : 
そうですね。中学生くらいの時からチャイのお店をいつかやりたいと思っていました。
あとはマトリョーシカが大好きなので、いつかチャイが出せてマトリョーシカを展示できるカフェギャラリーの様なお店をやってみたい思いはありましたが、老後に時間ができたらやってみようかな?程度に考えていました。

ー老後にですか。それがなぜこのタイミングでチャイ屋をやることになったんですか?

まなべさん : 
きっかけは、空き家ッカソンという空き家問題を考えるワークショップに参加したことです。それで登壇されていた薩川さんの話を聞いて「空き家をスナックする会」のことを知りました。
それで、昨年COMORI(空き家をスナックする会が運営する宿)の改装ワークショップの募集の情報を見て参加した際に、空き家をスナックする会の皆さんから「何かやりたいことあるの?」とか「やっちゃえばいいじゃん!」と背中を押していただいて 笑
何か新しいことにチャレンジしたいという気持ちはあったんですが、じゃあ具体的に何をやろう?と考えて、
そういえば、チャイ屋をやりたいと思ってたな、と。

ーなるほど!確かに空き家をスナックする会の皆さんは前のめりですしね 笑

まなべさん : 
なので、CHAIYAは空き家をスナックする会の皆さんに育てていただいている感じです。皆さんがいなかったらそもそもやってないですし。
以前いづみやでチャイを出しながらマトリョーシカの展示も行わせていただいて、早くも夢が叶ってしまいました 笑

いづみやで行ったマトリョーシカの展示 (写真 : まなべさん提供)

ー展開が早いですね...!チャイを淹れ方はどこで学ばれたんですか?

まなべさん : 
スパイスのインストラクターと、スパイスソムリエの資格は元々取ってたんですけど、チャイを淹れる実践の経験は当時ほとんど無くて…。
どこかで学びたいと思ってた矢先、インドの留学生を紹介してくれるという方がいらっしゃって、美味しいチャイの淹れ方からお客さんへの提供方法まで手取り足取り教えていただいたんです。
また、私がいつもスパイスを仕入れているお店で出会った調布のカレー屋さんの方に「チャイの淹れ方を教えてあげるからうちのお店においでよ!」と誘ってもらったり。
本当に調布の人は暖かい人が多いです。そうやって色々な方に支えられてなんとかやっています。

ーご縁がつながっていったんですね。すごい。。ちなみにCHAIYAは具体的にどんなお店なのですか?

まなべさん : 
厳選した有機栽培のスパイスを使用しているチャイ屋です。
店内でお飲みいただくことはもちろんテイクアウトも可能です。いづみやは深大寺店という位置づけで、他にも府中で出店しています。また不定期ですが野外マルシェ等のイベントにも出店させていただいたりしています。

夏の定番はアイスチャイ。チャイの香りとミルクの相性は抜群!
厳選したスパイスを使用。「恋しちゃい」など可愛らしいネーミングもCHAIYAの魅力。
ゆっくり会話を楽しめるお店です。
店内にはお子さま連れでも楽しめるようにと絵本や、スパイスの本も。

私自身は、元々スパイスに興味があったのですが、スパイスに触れられる環境が生活の周りになかったので「スパイスを身近に感じていただけるお店」にしたいと思って始めました。
そのために、体験型の取り組みとしてワークショップも行っています。

ーどんなワークショップを行なっているのですか?

まなべさん : 
チャイをスパイスを自分で選んで、自分好みのチャイを淹れる方法を学ぶワークショップや、カレーをつくるワークショップもやりました。
あと最近人気があるのはクラフトコーラをつくるワークショップとか!
スパイスつながりで色々なワークショップを行っています。

以前いづみやで行ったワークショップの様子 (写真 : まなべさん提供)

ーそういう経緯でやりたいことに対して一歩を踏み出したわけですね。
まなべさんは本業を辞めずに両立しながら進められていると思うのですが、本業とCHAIYAのようなライフワークに対してどのようにバランスを保っていますか?

まなべさん : 
私は平日はサラリーマン、休日はCHAIYAという毎日でお休みは月に1〜2日くらいですが、自分の中で仕事とCHAIYAは完全に切り分けています。
平日はデスクワーク中心。休日はお店に立ってチャイを作ったりワークショップをやったりと、頭で考えることが全然違うということが自分に合っていると感じてます。毎日に新鮮味を持てるというか。
お休みは少ないかもしれませんが、楽しくやらせてもらっています。

CHAIYAの月間スケジュール。平日のお仕事の傍ら週末だけでこのスケジュールはすごい…。

ーまなべさんはそもそも色々やり続けていたいタイプなのですか?

まなべさん : 
はい 笑。自分から"変化"を作らないと生きていけない人間だと思っています。
人に変われって言われると変われないくせに、常に変化を求めてる感じ...。
また子どもも大きくなってきて時間もできたし、仕事も慣れてきたタイミングで。

ー何かを始める転機だったんですね。

まなべさん : 
転機といえるほど大きく生活の環境を変えるほどではないかもしれませんが、常に新しい刺激は欲しいと思っています。
CHAIYAをやってて特に新しい人との出会いが刺激になっています。もちろん本業も同じ業界の人との出会いはあるけど、チャイ屋で繋がる方はすごい多様で、ワークショップをやるたびに色々な人との繋がりができるんです。
お店をやっていると、向こうから新しい出会いがやってきてとっても新鮮に感じています。

こだわりのスパイスが店内に展示されています。

実はCHAIYA以前にHRコンサル(人事系のコンサル)の副業を始めたんですが、本業でも副業でも誰かの課題の解決に頭を使い続ける毎日になってしまって...。もちろん本業も副業のコンサルもやりがいはありますけど、休日は別の方向に頭を回すというか、新しい刺激が欲しいなと思って始めました。

ーそれでスパイスの勉強を行なっていたというまなべさんなりの強みを活かしているわけですね。

まなべさん : 
私は農業系の大学で食料学科にいたので、もともと食べ物のことについては勉強していたのと、今いる会社も食品の製造を行うので衛生関連のことも叩き込まれてます。なので飲食店をやることについてもあまり抵抗なく始めることができました。

ーなるほど!ご自身のバックグラウンドから考えるとチャイ屋さんに辿り着くのは必然的な気がします。ちなみにつかぬことをお尋ねしますが、収支状況はうまく行っているのでしょうか?

まなべさん : 
私の場合はCHAIYAで食べていこうと言う気持ちはなくて、その点は本業と住み分けしています。趣味としてプラスになればいいかなという程度でやってて目標は1日売り上げ1万円。そこから経費を引いてプラスになればOKというスタンスでやっています。
いづみやも良心的な形でやらせてもらっているので何とかやっていけているという感じです。

良い意味でまなべさんの肩の力を抜いた雰囲気が、落ち着いたお店の空気をつくっているのかも。

収支の面の工夫としては、チャイ(スパイス)は保存が効くのでロスが出にくいというところもチャイ屋に決めた時の検討材料になっています。やっぱり飲食はロスが怖いので…。趣味とはいえプラスにはしたいと考えた時に、リスクが比較的少ないチャイはすごい始めやすいと思います。あまり背負わずに始められるのもチャイの魅力だと思っています。

ー勉強になります!まなべさんが考えるチャイの一番の魅力ってなんですか?

まなべさん : 
私の中で、チャイはコミュニケーションのツール。言葉がなくても不思議と仲良くなれる魅力的なものだと思います。
当たり前ですがCHAIYAにチャイが嫌いな人は来ないので、チャイが好きな人同士が集まる場になっています。
好きなものが共通している方同士が集うので、必然的に仲良くなるんです。

チャイが好きな方とは不思議と仲良くなれるとのこと!

ー日本では一般的な飲み物というよりは少しニッチな分野だからこそ、好きな人同士が集まりやすいのかも。面白い目の付け所ですね!
今後の展望などはあるのでしょうか?

まなべさん : 
少し大きな話ですが、私は将来的に場所にとらわれずに生きていきたいと思っています。
チャイはポットひとつあればどこでも淹れられるというところも魅力だと思ってて、例えば海外の知らない地に行ったとしても私がチャイを淹れることができれば現地の人と仲良くなれるかもしれない。そういう面白さがあると思います。
あと私は広島出身なので、広島にいつかは帰りたいなという気持ちもあります。その時にはチャイのポット持っていきたいなと思っています。

ーまなべさんの中で、そんな理想につながっているのがCHAIYAなわけですね。それでは最後になりますが、これから何か新しいことにチャレンジしてみたいという方に対して一言お願いします。

まなべさん : 
お店をやる時に一人で始めるってめちゃくちゃハードル高いと思うので、
まずやるならシェアキッチンなど「コミュニティ」がある場に入るのがいいと思います。
先輩がいるので色々教えてもらうこともできると思うし、私も周りの色々な方に支えられてなんとかできているので、本当にそう思います。

ーなるほど。人の繋がりの中で形にしてきたまなべさんが言うから説得力があります。
今回はありがとうございました!

まなべさん : 
ありがとうございました!


▶︎まなべさんが営むCHAIYA

▶︎空き家をスナックする会

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?