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外出禁止中の手間ひま


まるまる太ったにんにくをみると、細かく刻みたくなりませんか。にんにくが2株もあったので、なんとなく刻み始めた。

べとべとになる指を見てふと、「手間」とはなんだろうと考えた。

「手間ひまをかける」という言葉の意味を調べる。
手間は苦労、ひま(暇・隙)は時間のことで、時間をかけて労力を費やし丹念に作ることだそう。

そんなところだろうとは思ってた。

でも、丹念と書かれているところを見ると、労力と時間だけではなくて技術や心も含まれているのだとわかる。

同じ手間暇でも、残念ながら私はこのところ、暇をやっつけるために手間をかけている。
ただ焼いてすむところを焼いた後で煮込んで煮崩してみたり、滑らんばかりに階段を一段一段ごしごし拭いてみたり、マテの茶葉を出しにくい瓶に移し替えてみたり。乾ききらない量のシーツを洗ったり。

この際手間暇の先に何が生まれるかは関係ない。目的は暇を減らすことなのだから。むろんその過程に技術や心はなく、手間をもって暇を泣かせ、職人お怒りの手間暇無駄遣い。無駄手間の暇殺し、暇処理の館。

そもそもこれまでの主婦生活、時短、簡単、楽、ずぼら、圧力、興味、思い付きの七要素で家事をいなしてきた私。

たまにめんどくさいことをすると言われることもがあるが、それは思いつきの興味でしかない。

しかし暇があると思っているのは私だけで、家族はとても忙しそうだ。

夫は未曾有の経済危機できりきりしているし、子どもたちも学校に行かないだけで授業も課題もある。うっかりしているとオンライン授業を逃してしまうので普段より自己管理が必要だ。

ところが、暇のなさそうな子どもたちが、合間にジュースを凍らしてアイスを作ったり、型から自作してケーキを焼いたり、洗濯物のかごをかぶってロボットになったり、タオルを投げて打って野球をしたり、「隙」のほうのひまをうまく利用して楽しんでいる。

ところで、一昨日の夕食はフォンダンショコラだった。

というのは、長女が急に気分転換にお菓子を作り始めて、夕食時までかかってフォンダンショコラを作っていたから。キッチンが占領されているのをいいことに私は何も作らず、甘いチョコと紅茶を、さもディナーの最後のデザートのようにみんなでいただきました。

長女が嬉しそうでよかった。

そんなやる気のない外出禁止第三フェーズ。外出禁止低迷期。

数日前は「暮らしの過程を楽しむと外出禁止もラクになる」とか、「さよなら時短、手間を愛しんで暇の本質を見つける」とか「閉じこもりこそ内面を磨くチャンス」とか、ナチュラル系雑誌の見出しみたいな言葉が頭をよぎる第二フェーズのポジティブ期でした。

その調子で続いてほしかったんだけど、白ワインにやられた。


外出禁止が延長されそうな気配。学校も4月から始まりそうにない。手間と暇の考察は続く。


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