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IMW「ジッラ 修羅のシマ」2回目感想(ネタバレ有り)

はじめに

前回の1回目があまりにも楽しくて(ヴィジャイさんは勿論のこと、モーハンラールさんも渋可愛いし、周りの面々も個性的で、全体的に楽しい)ので、2回目のおかわりも決めてきた感想です。
1回目と感想が多少被るかもしれませんが、関連リンクは別の角度からなるべく選びます。
前回の初見感想はこちら
一応、あらすじも再放送しておきます。

マフィアの右腕が警察官に

マドゥライを支配するマフィアの首領シヴァンに育てられ、その右腕として地域を仕切るシャクティのあだ名はジッラ(縄張り)。ある時シヴァンは、新しく着任した警視総監から犯罪集団の取り締まり強化を宣言される。危機感を感じたシヴァンは嫌がるシャクティを、介入抑止のため警察官にさせる。だがそれは、親子断絶の始まりだった。タミル語映画界の人気俳優、ヴィジャイ(ビギル 勝利のホイッスル)と、〝完璧俳優〟と称されるマラヤーラム語映画界の大スター、モーハンラール(ザ・デュオ)が共演。ギャングものでありながら、コメディ満載、ダンスもあり、家族のドラマにほろりとする。京都や鳥取で撮影されたソングシーンが含まれる。

インディアンムービーウィーク作品紹介ページより抜粋
https://imwjapan.com/2020-returns/index.html


ネタバレ含む2回目の感想

主人公が一目惚れした彼女にうっとりしながら歌うシーン、シヴァン一派の子分たち?それとも町の人?が演奏団に扮したり、一緒にお馬さん走らせてくれたり、楽しいシーンなんですが、
途中から突然出てきた青年「あなた、どなた?」ってなって、IMW垢さんのトリビアツイで解決しました。

ジッラをもう一度見たいと思った理由の一つが、勿論物語としての面白さなんですが、個人的にな好みでいうと、モーハンラールさんがドーティまくって見せてくれるおみ足をもう一度拝みたい、という理由でした。
なにかにつけてぱっと裾まくって歩いたりするのは、時代劇に通じる「粋」かと思ってます。

何故急に日本ロケのシーンが出てくるのか?と思った疑問も、下記のツイートおよび続くリプで納得。美味しいもの食べて帰ってくれただろうか……。

こういう情報嬉しいです……。
モーハンラールさん、ご飯美味しいって思ってくれたかな。

前半は主人公シャクティと育て親のシヴァンの仲良し親子っぷりを堪能。
それが中盤から、警察とマフィアという立場から親子断絶の危機に。
それでも実の親子と変わらず過ごしてきたから、シャクティが何度シヴァン一派の邪魔をしてきても、怒ることはあってもなかなか反撃には出ないんでうすよね。
そういや警察に一旦逮捕された後のシヴァン、焦りとも怒りとも戸惑いとも思える絶妙な表情で、何故かシヴァンはお家の中でブランコにのってゆらゆらしているシーンがあるんですが。
え、ブランコあるお家って、マフィアでは一般的なんですかね。親分がブランコのっているなんて、可愛い。


ところで、主人公の妹の結婚は結局どうなったのか。破談なのか、そのまま嫁ぐのか。父親への復讐のため、自分の息子との結婚をゆるし、その嫁が家にやってくるまでずっと燻っていたのかと思うと、ジッラに出てくる面々は割と我慢強いというか、復讐のためには結構長く我慢しているなぁ……と。
この妹ちゃんの場合、義父がまた狙ってくる可能性もあるし、何より花婿がビンタされる花嫁を全く庇おうともしてなかったので、嫁いでも辛いだけだろう。
あと妹が脅されて電話かけたあと、シヴァンの代わりに若い男が来たときいた義父が「いったい誰を呼んだんだ」と詰め寄った時に、妹ちゃんが「私(の父)でなく、貴方のかもね」と字幕でされているが、この意味が今一つ判らない。それとも見間違えたかな。
当初、父親に賛同して、自分の結婚式にシャクティがこないことを悲観する母の言葉をバチーンと跳ね返す強気発言だけど、なんだかんだいって、いざという時にシャクティに電話かけるところ、本当に良い。
その前に、招待されていないからと、シャクティが一般参列席でごはん食べているところを目撃されて、「兄なんだから(妹の結婚式によばれてなくても)ごちそうくらい食べて帰るさ」と俯きながら語るシーンを見ているからこそ、妹も兄を頼ったと思えるけれど、このシーンがなくても、自分のピンチにはシャクティに電話したんじゃないかな、と信じている。

シャクティが勝手にシヴァンの口座から寄付金ひきだして、慈善家みたいな行為をして、その地域のシャクティのお株を勝手にあげて善人にしたてあげたあと、話が違うじゃないかと乗り込んできた面々に対しては、特に言い訳とかせず追い返すのに、自分の奥さんに「まさか息子が父親を変えるなんてね(※このお母さんは夫がマフィアから足を洗って更生されることに多分賛成派)」と言われると、「俺は何も変わらない!」と子供みたいにむきになるところも可愛い。奥さんに対して、関白なところはあるけれど、むきになる自分を隠そうとしないところ、いいなぁ。
冒頭で産気づいた奥さんを車で病院へつれていくところだって、ずっと手を添えているし、良い夫婦なんだけどね。ただ素直じゃないんだよね。
その素直じゃないところは、シャクティに対してもあるわけで、最後の最後まで、シャクティに負けることはプライドが許さないって感じだったんだけど、信頼していた側近の裏切り発覚後、シャクティとシヴァンが共闘するシーンを経て、シヴァンが最後は自ら警察を呼んで、逮捕されるってところに繋がるのがいい。
「息子に負けるのは、嬉しい」と言えるくらいまでには素直になったシヴァンが凄いよ。
そして警察よんでいて連れていかれようとすると、シャクティに「お前が連れて行ってくれ」って甘えるんだ。
その後、外にまたせたパトカー?にのるまで、二人手をつないでいくと思わせて、冒頭と同じく、肩をぶつけあって笑い合うの、見ているこっちまで幸せになってしまう。

ただ、心配なのは、親分が逮捕された後のこの一派の行方。
奥さんとか娘さん、大丈夫かな。
もうこの辺りのシマを手下に譲るのか、それともまるごともう消滅?
手下たちはどうなるんだろう。ちょっとそこが心配。
親分は納得していても、今まで長年仕えてきていた面々がどうなるか。
とはいえ、シャクティが警察になって反旗翻した後に、シヴァンがシャクティの荷物を全部燃やしたシーンは、子分たちも「あぁ……」って悲しそうな顔していたから、この親子を近くで見守ってきた面々にとっては、この結果は受け入れられる最後なのかな。もっと末端の子分たちにはそれは通じないだろうけれど。そういうところが少し気になってしまう。


上のツイートのシーン、「Pattu Onnu」という曲のことですかね。
巻き舌気味に歌うのが、癖になる曲ですよね。
この曲大好きです。

シャクティが父親を亡くして天涯孤独になった後、シヴァンに引き取られてまもなく雇われたと思われる警備の人。
カーキ色の服を着ていたことで警察と思われ、少年シャクティに石をぶつけられるゆえ、警備中はアロハシャツみたいな派手なシャツで警備するはめになって。
それから20年。シャクティが警官になれと命じられたことで「やっと派手シャツをやめられる!」とめちゃくちゃ喜んでいるシーンがあるんだけど、そんなに長くこの家に雇われていたのか。意外とこの人、気に入られているのかな。
そもそもマフィアの家の門番なんて、物騒な役目、こんな普通の警備のおじさんで務まるのかが謎。敵対勢力が襲ってきても、この人じゃ対処できないよね。そういう意味では20年務められたってことは、20年間平和だったのかな。この辺りが。
警察はいったシャクティが、こそっと家に戻ってくる時に、門からちょっと顔出した瞬間、この警備のおじさんが「あ!」て感じで、口をあんぐり開けて驚きの表情を見せるんだけど、それをシャクティが、人差し指と親指を重ね合わせて(お口とじてね)って仕草をすると、それと一緒に警備のおじさんの口がぱくんと閉じるところが好きなシーンです。

あと、最後、シヴァンとシャクティが共闘するシーン、シヴァンが年をくっても相変わらず強いボスであるのが感じられて良かったし、なによりドーティまくって惜しげもなく太腿さらしてくれるのが最高でした。←
あとそんなシヴァンを狙う犯人を、シャクティが投石の応用で、槍投げで仕留めるところも最高。槍がささって、犯人がスライディングしてくるのを、シヴァンが足で留めるのもいい。

一連の黒幕だった大臣さん(名前わすれた、ごめん)、本当に可哀想な境遇だったんだけど、復讐の最後で、やはりシヴァンの息子を狙ってその罪をシャクティに着せるのは許せないし、でも可哀想な人だし、って真実が明かされた後のこちらの気持ちが大変でした。
とはいえ、今までの行いで、シヴァンには沢山敵が居るわけだし、こういうことは日常茶飯事だっただろうな。
シヴァンの科白で途中、「敵よりも、裏切る味方を許さない」みたいなところがあったので、余計に、この人はどこまで相手を信じて、どこまで疑っているのだろうか。自分の子分たちをどこまで信頼しているんだろうかとぐるぐる考えてしまう。
それを踏まえても、シヴァンの、シャクティに対する絶対的な信頼がすさまじかった。
「(自分の)息子がシャクティを殺したというなら信じたが、シャクティが息子を殺したなんてことは有り得ない」と言い切るシーン、いやそこまでいれこんでいるこの絆、親子よりも深いの、何?とぐらぐらしてしまう。

あとシヴァンを連れ出して、5時間放置した警視総監?、インド映画には珍しく髭が全く生えていないキャラ、珍しいな……
と思ったけれど、大臣さんも髭なしキャラでした。

そういえばヴィジャイさんの映画での劇中歌、何本か見る内に「これ本人ボイスじゃないかな」と思う事が度々あったので、このトリビアツイート本当に助かります。あの甘い声、やはりご本人だったんですね。

俳優さんは自分の主演作で歌わない印象でしたが、大将は自ら歌う事もあるってのがいいですね。ファンにはたまらないと思いますよ。

ジッラを映画館で見る機会を逃しても、日本語字幕配信を買う事ができます。視聴時間は72時間ですが、DVDもないし、つべには日本語字幕ありませんので、是非。

追記

最近のモーハンラールさん。

https://twitter.com/Mohanlal/status/1669339421819432968