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IMW「サルカール 1票の革命」を見てきた(ネタバレ有り感想)

はじめに


インディアンムービーウィーク、ヴィジャイさん特集5作品のうちの最後の1作品も見てきました。
(先日のインド大映画祭のヴィジャイさんの「Theri/火花」も合わせると、私には6作目)

社会を変える1票。痛烈な政治ドラマ

米国在住の大富豪スンダルは、タミルナードゥ州議会選挙への投票のため一時帰国でチェンナイを訪れる。投票所で彼が知ったのは、何者かが彼に成りすまして既に投票を終えていたということだった。スンダルは司法に訴えて再投票の権利を勝ち取るが、その過程で既存の政治家たちの腐敗を目の当たりにして、さらなる行動に打って出る。「1票の重み」のテーマから始まり、現実世界の既成政党への批判を縦横に繰り広げたため、現地での封切り時には物議をかもした。強面なヴァララクシュミ・サラトクマールの迫力ある悪役ぶりも大いに注目された。IMW2019上映の人気作品。

監督:A・R・ムルガダース
出演:ヴィジャイ、キールティ・スレーシュ、ヴァララクシュミ・サラトクマール、ラーダー・ラヴィ
音楽:A・R・ラフマーン2018年/タミル語/162分/PG12(焼身自殺のシーンあり)/原題:Sarkar/©SUN Pictures

https://ttcg.jp/cineka_omori/movie/0988500.html
インディアンムービーウィーク・キネカ大森の作品紹介ページより

事前に見てきた人のツイートをちらちら見かけていたんですが、皆揃って、学校とかで上映した方がいいとか、日本の投票前にテレビでやって欲しいとか、好印象のツイート多かったので期待していた。

ここからネタバレ有りの感想

あらすじは上記の引用文書の通りなんです。
とにかく、詳しくは映画を見て、としか言えないんですが。
主人公が世界的に有名なCEO・大富豪であることゆえ、不正投票で自分が投票できない事に対して、時間もお金も使って、きちんと正したいと行動をし、裁判で自分の再投票を認めさせる話。
……だけに終わらず、腐敗した社会を間に辺りにして、自分も立候補し、自分の出馬する選挙区だけでは世の中は変わらないと知って、更に人々を巻き込んで、政党?として政治に切り込んでいく……という話。

今まで地元ぽいキャラのタラパティ映画を連続して見てきたので、こんなにセレブな主人公初めてでした。
冒頭のダンスシーンは、NYということだし。スーツ姿が見られる。

主人公スンダルが不正投票に対する裁判を起こしたことから、今まで不正投票で恩恵をうけていた面々が反発し、敵対してくるわけですが、その選挙区の大物政治家……本人よりも、帰国してきた娘の方が強烈でして。
帰国前から電話で父親にあれこれとスンダル対策の入れ知恵をしてくるんですが、帰国したらしたで、今度は家を守るため、父親に大量に薬を飲ませて死亡させ、自分がかわりに立候補するという悪女ぶり。普通にしていれば父が大物政治家のお嬢さん……なのに。
演じているの誰?と思ったら、ヴァララクシュミ・サラトクマール……。え、なんか見覚えが思ったら、タミル版「ヴィクラムとヴェーダー」のヴェーダーの弟プリの幼馴染のチャンドラー役の人?チャンドラーも割と強めな女性よね。
スンダルは富豪ゆえ、立候補にあたって下町の人達に苦労知らずとして反感を買うんだけど、父親は貧しい漁師で苦労した過去を離し、民衆の支持を受ける。順調に支持率を伸ばすも、対立候補として名乗りをあげたお嬢さんが罠をしかけて、彼は一気に支持率を落とす。
しかし彼女の躍進を食い止めるのは、実の母親であり、父親を薬で死に追いやった場を見ていた彼の妻。
彼女にとっては母親なのに、このお嬢さんはその人すら事故に見せかけて始末しようとする……怖い怖い。今までの悪役で、血を分けた家族を手にかけた悪役、数人いることはいたけれど、激情にまかせてでなく、こんなに淡々と始末をつけようとする人はじめて見たよ。

最終的に彼女の悪事がバレるが、既に投票率は50%以上で彼女の圧勝。
スンダルは、ネット中継を通じて、未投票の有権者に「いますぐ投票所へいって、彼女の政治をとめろ」と呼びかける後半は熱量が凄い。


キネカ大森のポスターより

実際には、こんな大富豪でないとここまで大きな改革はありえないので、現実味は薄いエンタメ作品ではあるものの、
1票の積み重ねが政治を動かすという点はとても伝わるし、やはり色々な人に見て欲しい。
見た上で、投票をどう考えるかは、結局は個人の判断なのだけど。
知らないで投票しないよりは、この作品を知って欲しいと思える作品。

テーマは重いけれど、ちゃんとタラパティ映画なので、ダンスシーンあります。敵対勢力から送り込まれた悪党たちと戦うスンダル。金持ちだろうが主人公は腕っぷしも強いのはもう必須ですね。
あと今回はスーツシーン多い。


色々考えさせるけれど、エンタメ性とのバランスも良くて、また好きな作品が一つ増えました。

それにしても……お嬢さん……怖い……。