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第215回: 「ソフトウェアテストしようぜ」30 GIHOZ(18. まとめの後編)

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≡ はじめに

前回は、これまで見てきたGIHOZの6つのツールのうち、お気に入りのほうの3つのツールについて「おすすめポイント」、「使用上の注意点」、「GIHOZの開発者へ」を書きました。

今回は残りの3つについて同様なまとめをします。



≡ GIHOZの6つのツール

前回の繰り返しとなりますが、GIHOZの6つのツールについて、(私の好きな順番の)確認をします。

※ 技法そのものの好き嫌いではありません。

1. 状態遷移テスト
2. ペアワイズテスト
3. デシジョンテーブルテスト


4. CFD法
5. クラシフィケーションツリー法
6. 境界値分析

そして、こんなことを書きました。

1, 2, 3は仕事で使うといいかなあと思うツールで、4, 5, 6は技法のトレーニング用にいいかなと思っています。

ということで、以下では、前回に続き、「CFD法」、「クラシフィケーションツリー法」、「境界値分析」について、ツールごとに「おすすめポイント」、「使用上の注意点」、「GIHOZの開発者へ」の3点について書きます。


■ CFD法ツール

・ おすすめポイント

組織にCFD法を導入するときに使うと良いです。
CFDを描くのは手書きがベスト(CFD法の集合教育の時にも手書きがお勧め)ですが、誰でも最初のうちはきれいな図を描きたいものだからです。
手書きのCFDは、ちょっと恥ずかしい気がして、他者と共有しにくいものです。(CFDはみんなと共有し、どんどん直していくところに価値があります)

もちろん、なかには、手書きのCFDに対して全く恥ずかしくないという人もいます。また、“最初は恥ずかしくても、すぐに慣れるから問題ない”というご意見もその通りです。

それでも、折角ツールがあって、ツールに入力して、デシジョンテーブルを自動生成して、それが自身が納得のいくものだったら(※)、CFDを描いた人も一安心して自信をもってレビューに臨めるというものです。
※ ツールを用いたセルフレビューです。

要は、ツールがCFD法導入の心理的な敷居を大きく下げます。


・ 使用上の注意点

GIHOZが生成したデシジョンテーブルやテストケースを過信しないことです。CFDの描き間違いがあるかもしれませんし、細かなツールの仕様がわからない点があるからです。

ただし、私が試した範囲では、GIHOZのCFD法ツールは最低限実施すべき組合せは出力していると考えてよいと思っています。
したがって、GIHOZが生成したデシジョンテーブルをCSVにして、Excelなどで条件の組合せを追加すると良いです。


・ GIHOZの開発者へ

まずは、有効系と無効系の実装を希望します。これがないと実務にガッツリ使えないからです。

つぎに、結果アイコンですが、もっと小さくするほうが良いと思います。今の半分くらいの大きさ(面積で言えば1/4)を希望します。

最後に、リンク(曲線)に名前をつけることで、パス(デシジョンテーブルのルール)をつくる機能は面白いと思うのですが、仕様が良く分かりません。例えば、途中から処理が分岐するパスのときにどう描くのかについてもわかりません。
仕様化そのものが難しいかもしれませんが、改善を希望します。


■ クラシフィケーションツリー法ツール

・ おすすめポイント

クラシフィケーションツリー法の教育のときに使うと良いです。クラシフィケーションとクラスの違いについて意識することは大切ですし、クラスの網羅基準についてもこのツールを使いながら理解すると良いと思います。
(3時間くらいのワークショップで手を動かしながら課題を解いて発表しあう形式が良いと思います)


・ 使用上の注意点

実務で使おうと思わないことです。実務ではマインドマップツール(EdrawMind(エドラマインド)等)を使う方が良いです。

一般に、テスト対象のクラシフィケーションとクラスはとても多く、それを整理するためのツールとしては使いにくいからです。

超巨大ディスプレイをお持ちで、小さな文字が苦にならない人なら実務でも使えるかもしれません。
でも、レビューのためにプリントするなど、情報の共有は大変そうです。


・ GIHOZの開発者へ

キャッツのFOTのように制約を追加できるようにするなどして、ペアワイズツールのパラメータ、値、制約の設計ツールへ進化する手もあるかと思いますが、FOTも成功しているとはあまり思えません。したがって、テスト業務への適用はあきらめて教育用のツールとして見栄えや操作性の向上をすると良いのではと思います。


■ 境界値分析ツール

・ おすすめポイント

ありません。
境界値分析結果をドキュメント化
するときに使えるかなあくらいです。
正直、今のツールには使い道を見い出せていません。

教育時に使うことを考えても、例えば、FizzBuzzの「1~100の自然数のうち3の倍数の境界値」といった単純な仕様すら表現できません。


・ 使用上の注意点

使わないと思います。
良い使い方をご存じの方、本記事のコメントで教えてください。


・ GIHOZの開発者へ

私も以前、似たようなものを作ったことがあり、誰にも使われなかった苦い思い出があります。数値の境界値分析にツールは必要ないと思うので、もっと特化するほうが良いと思います。
特化というのは、例えば、「文字」の同値分割・境界値分析であったり、「時間(年月日時分秒)」の同値分割・境界値分析に特化するということです。



≡  おわりに

今回は、これまで見てきたGIHOZの6つのツールのうち、「CFD法」、「クラシフィケーションツリー法」、「境界値分析」について、ツールごとに「おすすめポイント」、「使用上の注意点」、「GIHOZの開発者へ」を書きました。

後半のツールなので「注文」が多かったかもしれません。前向きな提案が書けたらと思って書き始めたのですが。

これで、「GIHOZ編」はおしまいです。

次回は久しぶりの休憩回(前回の休憩回は、2022年10月9日でした)とさせていただいて、何か書きます。

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